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All My Lovingオリジナル盤と後発盤(Beatles UK盤EP)

初めて買ったビートルズのUK盤EPが「All My Loving」。

オークションで見つけた時は980円だったかな?たまたま見つけて、このお値段ならお試しに…と思って買ってみたら意外と楽しくて、それから他のEPもどんどん増殖してしまったのだけれど、

最初に買ったこの「All My Loving」は本当に何も知らずに思いつきで買ったものなので、後にこれがオリジナル盤ではなく後発なものである事を知り、ちょっと残念だったのと、

せっかくならオリジナル盤も欲しいよね!

という事で、状態良さげなものもGet!✊🔥てな訳で我が家には今、似たようなレコードが2枚。

ちなみに、
左が、最初に買った【後発盤】で
右が、先月買った【オリジナル盤】

せっかくこうして同じレコードのオリジナルと後発が揃ったので、今回はその違いを比べっこして見ようと思います。

(但し、あくまでも素人による比較考察なので、これが全てでない事はご了承頂きたいのと、もし間違い等があればご指摘くださいませ
m(_ _)m)



まず始めはスリーブを見比べてみます。

表面はどちらもコーティングがかかっている為、この後発の方も光に当てるとツヤが見て取れます。これ単体でならば、光沢も申し分ないかなと思います。

後発君です

が、一方オリジナル盤のスリーブはと言うと、

オリジナルちゃん、ツヤツヤ✨

更にしっかりと厚いコーティングが施され、まるで鏡のように、
窓の外に干してある我が家の洗濯物まで見事に映し出しています(笑)
まさにUKオリジナル盤の貫禄ですね。

*
次にスリーブ裏面を見比べてみます。

写真上が後発、下がオリジナル盤

表面は見た目ほぼ同じなのに対し、裏面に何箇所か違いが見られます。

まず気付くのが、スリーブ裏面左側の取り出し口形状の違い。

このEPの場合、後発の取り出し口には凹みがありレコードの出し入れしやすい形状になっていますが、オリジナル盤の方はというと、そこは真っ直ぐになっています。

全てのオリジナルが真っ直ぐという訳ではなく、年代を経ていきながら途中この凹みのある形状に変化していくのですが、

それはこの後の日記「Beatles UK盤EPの変遷を追ってみよう⑤」にてスリーブの変遷を追ってみたいと思いますので、そちらをご覧頂ければと思います。

そして取り出し口の他にも裏面に大きな違いが一点。
それはコーティングのかかり方です。

後発の方は裏側も全面にコーティングがかかっていますが、
オリジナルの方は、表面からの折り返し部分のみ、コの字型にコーティング部分があり、
コの字の内側にはコーティングがかかっていません。

↑↑↑
こんな感じに、光を当てると取り出し口を除く3辺のみ艶やかなのがよく分かります。

これはビートルズEP全てのオリジナル盤共通の仕様になっているので、たまに見掛ける、中身の確認出来ない「後発盤のシールド品」をきちんと後発と見分けるのにとても有効な手段だと思いました。



次に、肝心の盤を見比べます。
まずはレーベルから。


↑↑↑
こちらが再発盤で
↑↑↑
こちらがオリジナル盤


比較しやすいようにクローズアップして並べてみます。

↑↑↑上が後発で、下がオリジナル盤

細かく上げるときっと文字のフォントとか"EXTENDE PLAY"の有る無しetc...色々あると思うけれど、
きっと大切なのは印をつけた4点かなと思います。

①🟪紫で囲んだ四角部分。

②🟦青い下線部。

③🟨黄色い丸で囲んだ部分。

④🟥赤い矢印のある下線部

*

まず①。

上が後発、下がオリジナル

見比べて一番最初に目に付くのが、
上の写真🟪色で囲まれている、オリジナル盤センターホール周りの
プッシュアウトと呼ばれる所にある「SOLD IN U.K.SUBJECT TO~」という記述。

調べてみると、この記述は1964年2月から1969年春頃まで(私が知る限り、1969年5月発売の"The Ballad of John and Yokoまで)全てのEMIのシングル,EP,LPに記載されている文章との事なので、
70年代以降に発売された再発盤には、この記載がありません。

これは結構決定的な違い。

なので、この「SOLD IN U.K.~」表示は、一部輸出用なエクスポート盤には記載がない等例外はあるものの、年代判別の大きな材料となり得るかなと。

ちなみにEPだと1964年2月発売のこの"All My Loving"からレーベルに登場しているとの事。

ただし、ちょうどその表記が始まる移行期のせいか、Discogsを見るとこのAll My Loving最初期プレスには記載の無いものも存在するらしいので、ちょっと気をつけないとなのが面倒くさい😅
(これについては後述します)

*

次に②。

左が後発、右がオリジナル盤

レーベル左側、レーベル外周にある🟦色下線の記述。

本来「THE PARLOPHONE~」で始まる部分が、
再発盤は「EMI RECORDS~」になっていて、これもDiscogsによると「EMI」の表記は1978年~81年の再プレスを意味するとの事。

この「PARLOPHONE」と「EMI」の間にも「GRAMOPHONE」で始まるレーベルがあって、1965年途中にビートルズのレコードレーベルは「PARLOPHONE」から「GRAMOPHONE」に切り替わっているので、勿論オリジナル盤なEPもその切り替え後は記載が後者のものになっていて、
我が家にあるEPを調べてみると、「Million Sellers」から後者のレーベルになっていました。

まぁいずれにせよ、ここが「EMI」だったら後発である事は間違いないかな〜という事で。

*

また③の🟨で囲まれた部分。

上が後発、下がオリジナル盤

どちらにも「1963」の表示があり、一見どちらも1963年のものに見えてしまうけれど、
このAll My Lovingに関しては「RECORDING FIRST PUBLISHED 1963」
のある方がオリジナル。

ただ表記の仕方にも変遷があって、これも家にある他のEPレーベルと見比べてみると、

1964年の赤いHard Day's Nightまでは「RECORDING FIRST PUBLISHED 19xx」、
同じく1964年表記だけれど発売が1965年5月なBeatles For Saleは
「ⓟ1964」となっていました。

なので一緒くたにⓟ19XXだから後発…という訳では無い事も記しておきます。

そして④。

左が後発、右がオリジナル盤

🟥線部分、オリジナル盤にあるレーベル下の部分「MADE IN Gt.BRITAIN」が、後発はレーベル右側のレーベル周りにある記述の末尾へ移動してるのが見て取れます。

1967年、一番最後に発売されたEP「Magical Mystery Tour」も、ここの表記はレーベル下のままなので、EPに関して言えば「MADE IN GT.BRITAIN」がレーベル下にある事もオリジナル盤の判断材料となるのかなと思いました。

また、このAll My Lovingオリジナル盤のプッシュアウト部分とランアウト部分に確認できるこの

"KT"なアルファベット。

これはTax Codeと呼ばれるもので、 当時のイギリスの税金に関わる表示なのだけれど、大切なのはこの文字が税金に関わる物であるが故、KTに限らずそれぞれの刻印されている時期が決まっている事で、
ビートルズに関わる年代を調べてピックアップしてみると

1962.4.10~ ZT

1962.11.26~ PT

1963.1.1 ~ MT

1963.7.1 ~ KT

1968.11.23~ JT

1973.4.1~表示なし

このTax Codeは7インチレコードだと、プッシュアウト部分に書かれているものと無いものとあるけれど (ウチの赤いハードデイズナイトのプッシュアウトには無い)、Tax Codeが廃止になった1973年4月1日より前の発売のものであれば

ランアウト(レーベル周りの無音部分)には記述があるはずなので、年代判別の手がかりの一つとなるのは間違いなくて、

それぞれの移行期は刻印が交錯することもあるけれど、再発盤についてはその刻印はないで、見分けるポイントの一つになると思う。

…と、本当は書こうと思ってたんですが、実はうちの後発All My Loving君には

KT!!
何でお前さんここにおる!( °Д° )

我が家のこのEP、プッシュアウトに「SOLD IN U.K.」が無くて、レーベル周りが「EMI」で始まる、間違いなく1980年頃な後発EPなのに……謎にB面のみにある「KT」印💦

TaxCodeがあっても油断するな!という事なのだろうか…。
何となくこれは金型の使い回しだったんじゃないのかなぁ…というのが私的見解なんですが 確証は無いので、今後の研究課題と相成りました(^^;

そして刻印ついでに、ランアウト部分のマトリクス等も見比べてみますと、

上段右、後発のスタンパーが数字になってます。オリジナルのスタンパーはアルファベット表記なので、明らかに区別出来ます。

ですが、私はこの一枚しか後発を持っていないので、他の後発も数字なのかは不明です。
ただ、家にある他の80年代プレスはやはりスタンパーが数字表記になっているので、ここが数字ならば少なくとも60年代に作られたものでは無いと言えるんじゃないかと思います。


という訳で、せっかくなので
他のビートルズのEPについても、個々に実際のジャケットとレーベルを見ていきたいと思います。

(Beatles UK盤EPの変遷①につづく)

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