見出し画像

ウエスト・キャバレー・ドライブ(ザ・ミッシェル・ガン・エレファント)。

タイトルは、ザ・ミッシェル・ガン・エレファントの曲名である。

アルバム『ギヤ・ブルーズ』の、
1曲目を飾る。

私はこのアルバムで、ミッシェルのファンになった。

こんなカッコいいバンドがいるなんて!

叫ぶように歌う、チバさんのボーカル、
それに負けないバンドの演奏。

どこを取っても、カッコいい。

翌日、学校で友人にその話をすると、
「まゆこちゃんも、ミッシェル好きなの?!」
と、興奮気味に友人が言った。

その友人は、ミッシェルのファンが、
そうそういるとは思えず、
好きなバンドを聞かれたら、流行りの、
当たり障りのない(失礼)バンド名を答えて
いたそうだ。

そこに、私が「ミッシェルっていう、カッコいいバンドがいてね、」と言ったものだから、
同志見つけたり!と嬉しくなったらしい。

それからは、お互い、あの曲が好き、と
ミッシェルの話ばかりしていた。

ミッシェルの強みは、
バンド単位でカッコいいということ。

ギターがカッコいい、ボーカルが、
ではなく、バンドとしてカッコいいのだ。

チバさんのボーカルが演奏に負けていないように、演奏もチバさんに負けていない。

それは、凄いことだと思う。

ギター1本で、あの厚みを出せる、
かつ、ソリッドな音を出せる。

それぞれのメンバーが、
高い演奏技術を持っていて、更に、
それに収まらない、爆発力を持っていた。

そこに、チバさんのボーカルが乗れば、
もう完璧だ。

伝説の野外フェスの映像も観たが、
当時は邦ロックは洋ロックに敵わない、と
言われていた。

ところが、ミッシェルの演奏が始まると、
洋ロックファンが熱狂し、
演奏の一時中断を余儀なくされた。

楽しくやりたいから、というチバさんの
呼び掛けに、一度は平静を取り戻した観客も、再び演奏が始まると、また、前へと
詰め掛ける。

スタッフが止めに入っても、それを
押しのけて演奏を続けるアベさん(ギター)。

もう、誰にも止められない。

ミッシェルは、日本にも、これだけ
カッコいいバンドがいるのだと証明した。

しかし、ミッシェルの存在は、
メジャーにはならなかった。

知る人ぞ知る、凄いバンド。

そんな立ち位置だったように思う。

確かに、チバさんのボーカルは、
聞く人を選ぶ。

詞も、一風変わっている。

音楽雑誌を買うような、熱心な方は
ご存知だと思うが、
ライト層でミッシェルを知っていた方は
少ないと思う。

昨年、大ヒットした映画『SLAMDUNK』の
テーマ曲に、ミッシェル解散後、
チバさん、クハラさんが組んだバンド、
The Birthdayが抜擢されたことで、
にわかにミッシェルも注目された。

それは良いことだと思うが、私は、
ミッシェルが活動している頃から知れて、
良かったと思う。

あの、全てを吹き飛ばすような、
チバさんのボーカルを、現役で知れた、
それは幸運だったと思う。

昨年、チバさんは食道癌で亡くなった。

父親と同じ病気なので、どんな経過を
辿ったかが分かるからか、とても
苦しい。

どんどん痩せていく父親を見ているので、
元々痩せていたチバさんはどうだったろうか、と考えてしまう。

しかし、チバさんが亡くなったとしても、
作品は残る。

あの、誰にも再現不可能な、叫ぶボーカル、
それが後世まで残っていってくれたら、
いいと思う。

ロックとは、魂の叫び。

それを体現したチバさんのボーカルは、
永遠だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?