昏い欲望を宥めるライティング。
10分間のフリーライティングを今日もしてみます。参考書はこれ ↓
僕は小説を書いている。登場人物たちを、もっとひどい目に遭わせたいという昏い欲望があることを認めなくてはならない。
もっとひどい目。もっと悲惨な目。もっと惨めな目。
僕は彼らを踏みつけ、ギリギリと磨り潰す。堅い靴でギリギリと磨り潰しながら、もう僕の目は次の何かをいたぶろうとして、暗い街を探し始める。
暗い街にはもちろん明かりが灯っている。
僕の存在など、それこそ骨をひねれば一瞬で抹殺してしまえる、巨大な力の顕れである都市。だから僕は都市に憧れるし、都市のように不断の欲を次々と生み出したいと願うのだ。
ギトギトしていることがデフォ? きまり? 当たり前であるような場所。そういう都市においては、僕など下っ端も下っ端、最下層のグループにすら入れてもらえないだろう。
だから僕は街の片隅でひっそりと夜を過ごす。そうするだけで、僕はじゅうぶん慰撫されるのだ。安いことじゃないか?
誰も僕に特別なことをしてくれなくてもいい。僕はここで生きてさえいればいい。生きて、少しだけ頭が働きさえすればいい。そうすれば、僕は他人に支配されることなく、高潔に生きていけるんだ。
不思議かい? 路地裏のごみ袋のとなりに腰を下ろしている男が余裕こいて口にするセリフとしては、不思議だし、なにより意味不明だよな? いいんだ。誰にも僕の真似などしてほしくない。・・・・・・はずなんだけど。
村上春樹の『アンダーグラウンド』の冒頭部分をちょっとだけ頭に浮かべながら書いてみました。小説のキャラクターたちを極限まで困らせてみたいというのは、わりに風変わりな欲望なのではないでしょうか? そうでもないのかな?
僕が書くキャラクターたちが、僕の身代わりのようにして、グリーディな都市でのたうちまわってくれれば・・・・・・と願うのです。
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