見出し画像

映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』感想

 先日『サイダーのように言葉が湧き上がる』を見てきました。上映開始して1ヶ月ほど経っているので公開しているところが少なく、上映時間も朝早くにしかない状態でした。そのため朝起きることができずに冒頭5分ぐらい遅刻してしまいました。ごめんなさい。ただ見終わった後に、これほど爽やかに気分が高揚する見て良かったと思える作品はそうないと思うほどにはとても良かったです。

 この作品は一言でいえば17歳と16歳の高校生のボーイミーツガールです。(こういうことを言うのもアレだが、やはり夏の青春に高校生はぴったりですね。)それぞれがそれぞれのコンプレックスを抱えながら17回目の夏に一つの望みを叶えるという話なんですがこのコンプレックスがいいんです。
緊張すると赤面して声がうまく出ない。出っ歯が気になる。そんな大人からすると大したことないと思ってしまうような小さいこと。でも思春期の彼らからしたらとても大事なこと。そんな誰もが持っていたようなコンプレックスの扱いがとても上手かったのです。
90分という短い時間の中で向き合い方、その変化をしっかりとそして話の中心とならないよう絶妙なバランスで描かれているのです。ひと夏の高校生の成長がそこにはありました。

 その脚本の良さをさらにいいものにしているのが画面です。技術的なことや監督がやりたいことが一致した結果シティポップなイラストになったそうなんですがそれがいい。
映画に出てくる俳句は実際の高校生が詠んだ俳句なのだそうです。そして主人公も高校生。もしプロの大人の人が詠んだ俳句なら俳句が浮いてしまっていたでしょう。そんな拙い俳句だからこそ写実的でない画面と合わさることによってその瞬間の画面がものすごく美しいものに感じるのです。
 「夕暮れのフライングめく夏灯
この俳句のシーンがそれを1番感じさせてくれました。何か閃いた時に一瞬心が晴れ渡るように見ている画面が一瞬きらめいて見えたのです。


 正直他にも「良い」と思った点は色々あります。しかし残念なことに自分の語彙力ではそれら全てを語ることができません。そして残念なことに公開もまもなく終わってしまいます。ものすごい迫力のある画面でも音楽でもないこの作品を映画館で見なければいけないかと言われるとそんなことないと言わざるをえません。しかし夏に見るべき作品だと、1度は見て欲しい作品だと言わざるをえないのも事実です。見終わった後に主人公達と同じくらいほんの少しの勇気であったり湧き上がるものがあると思います。

サイダーのように心が湧き上がる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?