食べものの主義をつらつらと〜まずはベジタリアン的台所習慣へ

焼き肉。餃子。唐揚げ。

人生にこれらがないのはやっぱり寂しい。これらを食べる(そして合わせて飲む)時間は、本当に嬉しい時間である。しかし、食用の牛、豚、鶏の大量生産大量消費には、あまりにも大きな問題がある。

グリーンピースジャパンがまとめた工業型畜産が引き起こす問題は以下である。イラスト入りでとてもわかりやすい。

https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2021/07/05/52110/

・温室効果ガス

・水・穀物使用

・抗生物質とホルモン剤の過剰使用

・人獣共通感染症

・地球の4分の1の土地利用

・土壌劣化

・水質汚染

・森林伐採

もともと、食に関心はあったものの、2011年の『フードインク』というドキュメンタリー映画をみてからは、改めて工業型家畜の問題を実感した。

・・・でも。なかなか、なんらかのベジタリアン(ベジタリアンの種類もたくさんある)に踏み切れない。

世界約30カ国訪問・在住経験に加えた、アメリカ在住経験は、アジア全般、中東圏、とりわけ日本の食文化は本当に豊かだということだった(もちろんアフリカや南米にも素敵な食文化はある)。本当に、BBQ肉と芋とピザをよく食べる文化(ついでに甘いもの「だけ」の子どもたちのお弁当の衝撃は半端なかった)からすれば、日本の肉食なんて、可愛いものかもしれない!?なんて思ったりもした。「ベジタリアンメニュー」なるものが日本でないのも「ほどよいバランス」で食べているからこそ、だと。

でもそうは言っていられない。食を楽しむ文化だからこそ、ふんだんにお肉を使いながらの食があふれる。とはいえ、やっぱり食も楽しみたい・・・。そんなジレンマになかなか決意しきれない。

もう20年くらい前に、大学の帰国子女の先輩が、ゼミの懇親バーベキューで「一応ベジタリアン」だと言った。どうして「一応」なのかというと、「人に迷惑をかけない範囲でベジタリアン」なんだそうだ。

食事というのは、人と囲むことが多い。もてなしたり、もてなされたり。そんな中、必ずベジタリアン配慮があるわけではない場合に、楽しい時間や他者のもてなしを台無しにするほど、頑なに食べないことはしないのだという。

とてもなるほど、と思った。食べものの主義は、自分だけのことではないと気づいた。緩めの「できる限り食べない」的ベジタリアンはありだと思った。

そんな中、突然豚肉アレルギーになってしまった。食べた後にみごとにお腹を下してしまうのだ。アレルギー検査でも出てしまっていた。

豚肉。肉の中で最も愛していたお肉。牛肉はもともと家ではほとんど食べない。餃子や焼売、豚肉炒め物、ベーコン、ウィンナー、ハム、合い挽きハンバーグやミートソース、麻婆豆腐、豚骨ラーメン。突然のさようならであった。

こうなると、「迷惑」は家族に及ぶ。誰も文句を言わないで協力してくれるが、これはもうかけるしかない「迷惑」である。友人に招かれても、配慮をしてもらってしまう。先輩の「迷惑をかけない範囲で」が通用しない。本当に感謝しかないが、周りも「アレルギーだから仕方ない」という納得する「合意」があっての協力なんだと思う。そして、「鳥と牛が大丈夫」が配慮の幅を広くしているのも明らかだ。

さて、この合意。

「食べられるもので食べてくれ」と「あなたのために用意する」は大きな違いだ。

「ベジタリアンなんです」、「ビーガンなんです」。これは明らかに本人の地球への配慮や宗教的なものである。まさに思想信条。これに「合意」できるだろうか?誰のそれなら合意できるだろうか?地球への配慮は、誰にも共通する問題に対する崇高な行為である。でもやっぱり、その人の思想信条を尊重しようという思いのある相手でなければ、積極的な配慮は難しいだろう。

「ダイエットで炭水化物を食べないようにしている」。これはどうか。チャーハン、お好み焼き、パン、炊き込みご飯、飲茶、麺類全てNG。一度の食事が、中毒を招く恐れがあるなら、やはり協力するしかない。けれど、やっぱりその人のダイエットに「付き合う」準備をするほどの、他者への思いがなければ配慮は難しいだろう。

食べものの主義というのは、理由はさまざまである。けれど、思っている以上に人との関係に影響するように思う。生活を共にするパートナーや家族との「合意」も不可欠だ。最初からわかっていて家族をつくるなら「合意」もつくりやすいが、途中から始まるのは「合意」というより「呑むしかない」ところがある。友達づきあいはどうだろう。どうなるだろう。

そして料理の習慣も変えなければならない。何も考えずにつくれるくらいに日々材料をとりそろえ、慣れなければならない。

そう。それなのだ。外食だけなら突然ベジタリアンになれる気がする。

会食での配慮の合意形成は、アレルギーのおかげでなんとなくできる気がするようになった。お願いの仕方や断り方、持参すべきものなどなど。

では、今年は、なんらかのベジタリアン的台所習慣をつくってみよう。豆をもっと知ったり、レシピに慣れたり。なかなか今年の目標が思い浮かばなかったけれど、いい感じの目標な気がする。



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