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【マンガ業界Newsまとめ】大型予算を一気に投じるWebtoonのブロックバスター戦略とは?など|1/23-036

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タイトルが面白いのですが、個人的に注目したかった話題は2点ほど。

ひとつは「ブロックバスター戦略」すなわち、ひとつの作品を制作するにあたり大型予算を頭から投入して豪華キャスティングや、予めメディア展開を確約した状態で開始するモデルだそうです。

これは、日本の漫画起点の作品づくりだと、なかなか難しい戦略で、例えば超大ヒット作家が、2作目で確実にヒットするかというとそうでもなかったり、著名タレントやキャラが出ると判っているからと言って、その作品が必ずしもヒットしないのは、みんな経験済みだったりするからです。

もうひとつは、NAVERとカカオの国際戦略が予想されている中で、今年熱いのは北米だというところです。日本は、アニメと違い、マンガを北米に根付かせることに長い年月をかけました。結果的に根付きはしましたが、市場規模はまだまだ日本に比べると小さいです。Webtoonがネットビジネスらしく、どのくらい早いスピードで展開するのか注目したいところです。

それ以外にも、この記事はWebtoon Insightさんの2022年予想総括みたいな記事ですので、とても勉強になりました。Webtoon関係者は熟読推奨です。

--追記:
本ニュースを深堀りしたPodCastを作りました!ブロックバスター戦略について筋肉氏こと芝辻さんが詳しく語ってくれています!



先の記事におけるブロックバスターの典型例ともいえる、最初から最終兵器BTSを投入したWebtoonが大変好評という記事ですね。

一方、実際にこのBTS展開のWebtoonの「いいね」数を調べてみると、北米以外ではあんまり振るわなかったという芝辻さんのファクト調査です。渋い。さすがです。

先のWebtoon Insightさんの2022年予想記事から読み取ると、韓国大手プラットフォーム(以下PF)などは、ブロックバスター戦略をこれから打って行くであろうということと、国際展開では北米に力入れるだろうという見方がありました。

そう考えると、このBTS展開が、北米でのみある程度反応があったみたいなところは理解できるところではあります。国際展開を追いかける場合、例えば日本でパッとしなくてもそれ以外の国のどこかでヒットしたりすれば、一先ずはそれで成功と計れる部分もありますしね。

その辺りは、国際展開経験が豊かな韓国企業と競るには、必須の感覚と言えるでしょう。また、しっかり広報PRに予算を確保して、各国で重要なメディアにリリースするなどということも重要になっていくことも、記事の出方を見ても良く分かります。


こちらはクラウドファンディングによる資金調達から始まるスタートですが、ユニークな事例でした。

著名な映画監督のお3方が、クラファンで集めた資金を用い、Webtoonを作品作りのスタートとして映像づくりまで展開していこうというもののようです。

「著名な参加者」という意味では、映画監督として実績のあるお3方が中心になるという点がユニークなところですね。ちなみに、制作工程において、マンガにおけるネーム(下書き一歩手前)の部分のことを、Webtoonでは「コンテ」と呼びます。作りが映像作品に似てるからですね。

そうした意味では、映画・映像系の監督とWebtoonの相性は良いのかもしれません。


こちらはNAVERが新しい技術でWebtoon制作ツールを開発しているという記事です。

記事中に「創作生態系」という言葉が使われていますが、ここ2-3年でWebtoonについての制作ツールの話題が、作画や着色、翻訳などで急に動き出しました。

市場が急成長するためには作品供給量の確保が重要なわけですが、長年かけてコミケなどの豊穣な裾野を作ったマンガと違い、新進のWebtoonはクリエイターの速成が必須ですし、こうしたものが出てくるのでしょう。

制作手法についても、新しいものが出てくることを考えると、発想から変えていく必要はあるのかもしれません。


こちらは、レジンコミックの歴史という記事で、日本だとあまり知れない情報が満載です。

現在でこそ、WebtoonはカカオとNAVERの存在感が強いですが、2010年代前半までは、Webに掲載した作品のマネタイズは広告以外にあまり考えられておらず、Webtoonは他の有料サービスに向けてのユーザー獲得のツール。つまり広告の一種のような位置づけだったと記憶しています。

それが、レジンにおいてBlogによる作品紹介からの有料モデル(今でいうコミュニティ型ですね)登場を境に、現在のWebtoonビジネス隆盛期に繋がってきているわけですね。

勃興期にインパクトのあるビジネスモデルを作った人が罪に問われて市場からいなくなり、残った別の人たちが市場を大きくするというのは、どこかの世界でも聞いたことがあるお話ですね。レジンのハンソヒンさんは、Webtoon界のホリエモンみたいな人だったと言えるのでしょうか。惜しいですね。


既報の手塚プロが参加するNFTですが、現状世界最大のNFTマーケット、OpenSea上においてアトムのイラストに25億円超の値が付けられています。

ちなみにこれは、25億円で売れたという意味ではなく、この前の段階でこのアトムのイラストのNFTを購入した人が、25億円で売り出している。ということです。

ただ、なぜこのような一見バカげた値付けがされているかというと、このNFT界隈では、ビジネスを通じて億円を通り越して兆円レベルで急に資産を手に入れたプレーヤーも出てきており、こうした値付けの商品も、更なる流通が期待される場合、実際に売れてしまったりすることがあるのだそうです。(有識者談)

恐ろしいですね、NFT。売れたら手塚さんにどれ位入るのでしょう。


こちらは、集英社の少女漫画の取組ですね。

女性マンガ誌『りぼん』『マーガレット』『別冊マーガレット』『クッキー』『ココハナ』の5誌が、人気漫画家の作品を、集英社のWebメディア「yoi」上にオリジナル連載するというものです。

女性読者が多い女性誌集合体のWebサービスに、著名少女漫画家の作品が連載されるというものですね。他のNews媒体などでもみられる女性向けマンガの形ですが、ここでもかなり女性にフォーカスした内容の作品がラインナップされていました。


コミックシーモア上での漫画賞にあたるものですが、投票数が200万票を超えているようです。単独のPFでこの数は凄いですね。

また、年末年始には沢山の漫画賞の発表がありましたが、ここにランキングされている作品群がユニークで、すなわち明らかに女性向け作品で席巻されております。

コミックシーモアはもともと女性ユーザーが多く、少女漫画のマーケティング現場としても定評がありますが、その特徴が綺麗に表れていまして、ユニークさが際立ち良いのではないかなと思いました。


今後、韓国PFの台頭が予想される北米漫画市場ですが、そのまとめをされているlibroさんのNewsと、その中で日本漫画が好調なこと、及び集英社のコミックについては、アニメ化される前から売れているという記事です。

その影響は、集英社ジャンプ編集部が展開するMangaPlusにて、週刊少年ジャンプ本誌とサイマル(同じタイミング)で、連載作品が展開されている影響であろうとしています。


Newsということではないのですが、読み物として面白いのでご紹介です。

例えば『終末のワルキューレ』の中では、神様陣営の先鋒として「トール神」が出てきますし、ゲーム「女神転生」の中では、国際問題になるレベルで各国の神様たちが大量に出てきます。

どうして日本の創作はそうして北欧神話の神様などを日常的に扱うようになったかという源流に触れる記事で興味深いです。

個人的にはTRPGからの西洋ファンタジーブーム、和製の代表格ソードワールドの当たりが、ドラゴンクエストなどに広がり、今の異世界転生ブームに繋がってると考えてましたが、それだけではないのですねぇ。


これは単に私が知らなかっただけなのですが、書籍取次のニッパンが、「B+LIBRARY」というBLコミックガイドを出している記事です。もう11冊目みたいですね。

確かに、BLのように1ジャンルの中で多種多様な作品が出ている場合、こうしたガイドは読者にとって便利ですね。Webtoonや異世界転生など、こうしたガイドブックがあっても良いのかもしれませんね。

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1月に入って始めたPodCastですが、1/23現在は4本目まで公開しています。

取り上げた記事が、2021年振り返りのnoteのものだったため、2021年に大型投資を受けたピッコマ、快看、COPINなどの話題を掘り下げています。このnote以上に濃い内容が続きますので、よろしければリモートワークや通勤のお供に聞いてくださいませ。


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