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【マンガ業界Newsまとめ】NAVER系WEBTOON Entertainment米国上場!KADOKAWA第3報と犯罪者利する報道に物議 など|6/30-159

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

来週7/7は筆者がAnimeExpoのため渡米中で、お休みの予定です。ご了承ください。もしかすると簡易版など出すかもしれません。

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WEBTOON Entartaiment米国NASDAQに上場

NAVERの子会社で、米国のWebtoonプラットフォームWEBTOONを運営するWEBTOON Entertainment社(WE)が、米国ニューヨークの株式市場NASDAQに上場しました。同社は2016年にNAVERが北米及び世界に向けてWebtoon事業を展開するために、米国に設立しました。設立8年目での世界最大の市場への上場ということになります。

WEは、日本のLINEマンガを運営する、LINE Digital Frontier社(LDF)の株式を100%保有する親会社でもあり、WEの筆頭株主はNAVER(63.4%)次点がLINEヤフーです(24.7%)

株式の新規公開価格は21ドルで、初日の終値で23ドルまで9.52%上昇し、取引を終えたと。最高値では25.66$まで行ったようですね。

Google 市場概況 NASDAQ WBTN

時価総額で5000億円規模、上場によって調達できた金額は500億円程になったようです。

上場の式典とともに、NYタイムズスクエアでは、様々な作品が紹介されてプロモーションにもなっていたようです。日本の国産作品だと『先輩はおとこのこ』(LINE編集部)『神血の救世主』(No9)『かたわれ令嬢が男装する理由』(SORAJIMA)などが大画面で紹介されていました。米国のニュースを見ると当然『女神降臨』『入学傭兵』(ともに邦名)などの韓国作品も紹介されていたようです。

今回、日本語はもちろん、英語の記事がかなり沢山出ていました。だいたいは同じような上場情報関係の記事ですが、いくつか面白いものがありました。(和訳版記事も多々あり)

NAVER創業者にして代表のキム・ジュンクさんのインタビューです。氏はNAVER WEBTOONをディズニーのように育てる目標を持っており、今回のNY上場でその半分ほどに到達したとのこと。資金で人材確保を急ぎ100年続く企業にしたいとのことです。

米国や世界を拠点にする場合、確かにNY上場によりグローバル展開へ向けての人材確保に拍車がかかるというのは確かでしょうね。

*:英語記事です。自動翻訳など活用ください。

上場に当たって、そのNAVERのWEBTOONをどんなクリエイターが支えているのか垣間見える記事です。こういう記事が複数出て来るのは面白いですね。クリエイターの士気にかかわるものなんでしょうね。

日本人目線で見ると、やっぱり日本の漫画家さん達とはだいぶ違いますね。ここに出てる人が全員そうということもないでしょうけども、韓国の漫画家さんたちは、そのままスタジオの法人代表者として事業を経営していることも多いですので、そうした気質もあるのかもしれません。

タイトル意訳:WEのNASDAQ上場で、韓国Webtoon関連株の再評価に期待が集まる

現在の韓国Webtoon業界の一方の雄である、NAVER系WEの上場は、株価や士気など、様々な面で韓国Webtoon界隈に影響を与えそうですね。確かに。

わたしは20代でコンサルをしてた頃、日本のとある大企業のニューヨーク株式市場への上場プロジェクトで下っ端として働いていました。当時は米国会計基準が日本に入ったばかりでもあり、外国で上場する準備というのは本当に色々大変でした。

韓国発祥のエンタメを起点にビジネスを育て、ここまで来たというのは、確かに有形無形に大きな意味のあることであろうと推察します。


KADOKAWAシステム対応第3報など

KADOKAWA本営発表

この1週間で、本営KADOKAWAからの発表としては、第3報としてのシステムの回復状況や、情報漏洩についてのリリースが出ています。
先週、Newspicksによる内部情報告発記事が出たことへの対応も加味されて、情報と謝罪が出た流れとも読み取れます。

なお、今回の対応に伴い、7月1日までに作成予定だった有価証券報告書の監査報告書提出が遅れることを、同社が関東財務局に申請したとのこと。むべなるかな。

復旧状況

ニコニコの一部のサービスについて、ドメインを変更してサービス再開とのこと。ドメイン変更は無念でしょうね。

出版事業のうち物流を伴う紙の書籍については、平常時の1/3ほどの程度で進行しているとのこと。所沢の印刷工場の運用などにも影響が出ているのでしょうか。新刊優先で復旧しているとのこと。

電子書籍については、障害発生直後、一部に配信の遅れが出たものの現在は通常の水準とのこと。

NewsPicks報道と、ハッカー集団の声明

今週、SNS上でも話題になり、メディアでも記事なったのが、NewsPicksの内部情報記事についてで。各社論調としても、いくらなんでも犯罪者に利する上に裏も取れない記事を障害対応中にして、混乱に拍車をかけるというのはどうなのか?というところですね。

個人的にも、文章を書く人間として件の記事の内容や、その後の対応を見ると、考えが足りないなぁという印象です。正論(極論?)を盾に社会の迷惑を顧みず、自社の利益(PVと話題)を優先して、犯罪者に利する行動を取るとは、根本的に世のためになってないですね。

そもそも、犯罪者が社内にいる話じゃないですからね。被害者叩いてどうするんですかと。

もう一点の大きな動きとして、ロシアのハッカー集団BlackSuitが今回の犯行声明を行っている点です。しかもこれ、発表場所がダークウェブ(端的に言うと、インターネット界隈のスラムみたいなところ)で発表されていて、これを正式な情報ソースとして報道するのも善し悪しの判断が問われるところでした。ダークウェブについては、こちらなど。

このあたり、KADOKAWA発表とも突き合せが行われつつ、信ぴょう性が検証されていくことになっていくでしょう。しかし、本当に大変な事案になりましたね。


国内News

小学館と総合商社の丸紅が、マンガやアニメの世界展開を目的とした「株式会社MAG.NET」を2024年6月に設立とのこと。

業務内容的には、なぜ丸紅がというところもありますが、同社はPubteXという取組で、小学館、集英社、講談社などと、AI発注、RFIDを利用した流通改善などの取組を先行しており、そうした文脈からかなと。昨年小学館が子会社化したTokyo Otaku Modeもここに連携するとのことで、そこはシナジーがありそうです。

昨今のマンガ・アニメ産業の発展の結果、PEファンドや総合商社の業界参入が相次いでいきそうですねと。


集英社の少女・女性向けマンガポータルサイト「リマコミ+」がオープンです。8誌から45作品が配信される形でスタートとのこと。

各社の媒体、レーベルがアプリやWebでデジタル化する流れは、かなり見慣れてきましたが、実はこれ結構大きなマイルストンだと思ってます。

小集講角ス秋白etcetc、大手中堅の主要なマンガ出版社のうち、媒体関連の初出し先としてアプリやWebが未整備だった最後のゾーンが、この集英社×少女・女性だったと思います。

逆に言うと、現在紙の漫画雑誌やボンデジのレーベルなどの各社の中で、主要なマンガ出版社で作品の連載初出をデジタル化する点ついて、版元のおおよそが埋まったということになるかなと。(細かく言えば、まだありますけども、おおよそというところですね)

そういう意味では「マンガ版元DXの一巡」という、割と大きなマイルストンが、このリマコミ+なのではないかなーと、個人的に思っております。

次の業界DXのロードマップは、どうなっていくでしょうか。今週のこのあとのニュースを見ると、海外進出と翻訳あたりが焦点になりそうですが。


徳間書店が新レーベル「COMICユニコーン」とのことで、異世界系のWeb小説やライトノベルのコミカライズ作品を中心に配信とのこと。

個人的に推している『「勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。』の移籍連載がここで再開するというのもちょっと楽しみです。


カルチャエンタテイメントが出版社を買収ですね。これで、アース・スターエンターテイメント、徳間書店に続いて3社目となりましょうか。


その宙出版からメディアドゥに事業買収されたジャイブですが、同じメディアドゥグループ内のエブリスタが書籍出版事業を吸収するとのこと。紙以外ということなので、デジタルに親和性の高い編集部が異動するところでしょうか。


徳間書店の決算が好調のようです。何年か債務超過に陥りながら、CCCグループ内で支援を受けながらの運営だったかと思いますが、今年の利益を見ると、好調を維持できれば来年には債務超過を脱せますね。なによりです。


また同じCCCのアース・スターエンターテイメントですが、こちらも好調な決算だったようです。ラノベ・マンガのアニメ化が続いていたので、そのあたりが影響したのではないでしょうか。いいですね。


シーモア20周年で、特設サイトがオープン!
2004~9年の推し作品として『天は赤い河のほとり』があげられていますが、これガラケーのコマ割り提供時代ですよね。そして、そんな前からのスタッフさんもいるってことですか。味わい深いです。


第 48 回(2024年度) 「講談社漫画賞」が決定とのこと。
少年部門『葬送のフリーレン』
少女部門『きみの横顔を見ていた』
総合部門『メダリスト』


ニールセンの調査ですが、以下のような数字が出ています。

ニールセン調査より https://www.netratings.co.jp/news_release/2024/06/Newsrelease20240625.html

これは利用者数は良いのですけども、利用時間がちょっと実際の業界の見方と違うかもですね。数字の見え方として、販売をアプリでやってるサービスは長く、販売を主にWebでやっているサービスは、利用時間が短く出ているようです。


筆者個人の事業に関わる内容ですが、今年もIMART2025を開催します。
詳細は8月~9月くらいにまた発表します。
今年はリアル会場、アニメイト本店地下のアニメイトシアターでやります。


amazon Kindleインディーズの新しい取組

近年、好調が伝えられ、配当金が月額1.2億円を超えるなどしているKidleインディーズですが、「話課金」と「待てば無料」の仕組みが導入されました。これも面白い変化ですね。無料でも読み進めてもらったほうが収入なるところで、「話課金」はわかるんですが、「待てば無料」にはどういった狙いがあるのか。

詳しくはぬこー様ちゃんのポストが説明してくれています。それとこのまま、Webtoonのコーナーに渡って関連ニュースが続きます。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

AmazonのFliptoon(Webtoonレーベル)が、賞金総額1億円とも言っていた「縦読みマンガ大賞」の受賞作品を発表しました。賞金1000万円のグランプリは該当なしということなのですが、750万円の準グランプリの4名枠を6名に増やし提供とのこと。この750万円の賞金という点に、界隈がどよめいていました。普通にめちゃくちゃ高いですよね。ちなみに、400万円のカテゴリー賞も8人出ています。単純計算で総額6900万円です。すごい。

こちら、受賞作家のつのだふむさんのポストです。


また、このFliptoonの縦読みを、Kindleアプリでも読めるとのこと。「待てば無料」は、私も既に体験してるんですが、課金はスマホ決済なんでしょうかね。どうなのかな。


日本Webtoon界隈の始祖、夜宵草さんのReLIFEがアニメ化ですね。めでたい。


何度かやられているWebtoon研修プログラム、3回目の開催ですね。


海外News

*:ここから外国語記事の紹介が増えます。自動翻訳などご活用ください。

タイトル訳:Netflix の『ワンピース』シーズン 2 にバロックワークスの悪役 Mr.9、Mr.5、ミス・バレンタイン、Mr.3 が出演 

大分評判が良かったと言われているNetFlix実写第2弾、キャスティング出てきましたね。雰囲気有りますね。


台湾から見た日韓関係の一端ですね。なるほど、台湾から見るとそう見えるかもしれません。


今週7/4からロサンゼルスで開催するAnimeExpoということで、色んな出展情報が出ています。

どんな会社が出展してるかなど、なんとなく↓を見るとわかるかもしれません。


また、ちょうど今週末はドイツでDoKomi開催中みたいですね。


AI・画像生成関連

AI翻訳のMantra社が7.8億円調達です。今年、この分野が熱いですね。

集英社、小学館、KADOKAWA、スクエニの他にファンドも入ってるようですね。変なとこ指摘しますけども、出版社が出資した際に、出版社の方から出資のコメントをプレスリリースでもらうのって、なかなか難しいのですよね。他の業界の出資だとこうした形が多いのですけども。このあたりも、かなりしっかり準備した形の表れかなぁと思いました。

記事内で気になるところとしては、その翻訳のペースを月間500冊分(10万ページ)としていて、これは先日調達を発表したオレンジ社と並ぶ数字になっています。バチバチですね。

個人的印象だと、事業として先行していたMantra社は、サイマル配信をしているところの仕事も多いのかなぁなどと思いました。ここは、私も詳しくは知らないのですけども。


サイバーエージェントが、マンガの海外展開のローカライズ(通常、翻訳も含む意味)を、AIで実施とのこと。このために、独自LLM(AIのエンジンみたいな仕組み)を開発とのことで、この4月からの短い間で、また1社この分野に参入して鎬を削ることになりそうです。

サイバーエージェントは、自社でマンガPFも運営しますが、恐らくそれ以上の事業規模が、マンガに関わる広告出稿を大手PFから受託していますので、そのあたりも絡んできそうですね。こちらも強力です。


これ、作家さんまわりで話題になってましたね。AIについては、色んな考え方の人がいるなぁと思います。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等


記事のみ紹介

えらく面白い記事です


告知関連

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