漫画家支援2

#IMART2019 :(7)漫画家支援が仕事に変わったこの10年~現在のキープレーヤー達

(6)のマンガ教育セッションに続き、IMART2019のマンガ分野で自分が司会する最後のセッションのご紹介です。

筆者は2010年~2017年の間、漫画家支援のトキワ荘プロジェクトという事業を運営していました。この「漫画家支援」という言葉は、10年前にはあまり良い言葉として受け入れられていませんでした。

「何だか知らないが、あんたらに支援される覚えはない」実際にベテラン漫画家さんに言われた言葉です。確かに、まだ何も成しえてなかった当時、私に何かを言われるのは余計なお世話だったかも知れません。

あれから10年。漫画家を取り巻く環境は一変しました。

人々はスマホでマンガを読み、電子コミックの売上は紙のマンガを超えました。
SNSのおかげで、新人漫画家のデビューの仕方から、漫画家の普段の振る舞いも変わりました。
何より、アプリやWeb広告など、今まで新規参入の少なかったマンガの業界に、多くの企業が参入し、新しいビジネスモデルが多数生まれました。

漫画家のすることは複雑化し、ネットのおかげで読者に近づいた結果、それを支援する仕事の種類は増え、大切さも大きく変わりました。
2019年現在、単純なマンガビジネスという以外に、漫画家の支援を行うことに重きを置いた事業の中には、新しいモデルを持つ存在が次々現れました。

国際マンガ・アニメ祭 Reiwa Toshima(IMART)2019最後のセッションの一つとして、この新世代型漫画家支援の新鋭の皆さんに、セッションしてもらいます。


【Day3】
「漫画家支援」第2フェーズ、ブースト期に突入

1人目のご紹介は、検索結果イラスト制作・漫画制作の株式会社フーモア芝辻幹也さんです。
社長の芝辻さん自身が、漫画家志望者だった経緯から始めたこの事業。8年間で延べ5000人以上のクリエイターに、数億円の発注をしたと言います。
それだけに留まらず、様々な企業コラボ企画や、海外向けの自社事業などを行っています。どんどんスケールの大きくなる事業に期待です。

2人目は、電子コミックエージェンシー、ナンバーナインの小林琢磨さんです。
現在、多くの作品は電子コミック化されましたが、あらゆる作品が電子化された結果、例えばベテラン作家の旧作や、新作でも一定期間売れなかったもの、自主製作販売したものなどは、日の目をみることなく埋もれていることがあります。この時代、人の目に触れない作品は売れません。
渋谷のマンガサロントリガー(惜しまれながら昨年閉店)や、マンガアプリトリガーを運営した小林さんは、そこで得た経験から、電子出版権を預かり、作家の代わりに地道にしています。この活動は、作家にも、旧作の宣伝をサポートできない出版社の方にも歓迎され、多くの作品を預かり、現在はそれらを販売しています。

3人目は株式会社wwwaapの村田朋良さんです。
wwwaap社はSNSクリエイターのマネジメント会社として、宣伝をしたい企業と実力のある漫画家を結び付け、SNSで活躍する漫画家の仕事をより高付加価値な仕事にシフトしています。
この役割により、多くの漫画家の収入が上がり、また広告で使われるマンガの力をより大きく引き出すことに成功しています。また、ライセンス事業として、キャラクターを使った商品を、見せ方を工夫して同じく高付加価値商品化することなどおこなっています。

4人目は株式会社コミチの萬田大作さんです。
コミチは前進をコルクBooksというサービスで、文字通りエージェント企業コルクから生まれたサービスです。
「マンガ体験のデジタル・トランスフォーメーションを起こす」ことをミッションに、運営するプラットフォーム「コミチ」の中で、お題からの作品アップや作品ラリー、数々のタイアップ漫画賞、マンガ仕事依頼など、を行っています。連携するコルクラボの活動などから、既存のいわゆる漫画家志望者とは少し違う、デジタルシフトを既に体現しているような、活性化された漫画家コミュニティを持っているのが特徴です。

以上の、正に新進気鋭と言える4人を迎え、現在の複雑化した漫画家の仕事をサポートする新しい形のディスカッションをしていただこうと考えています。

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