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鍋島雅治先生を送る会開催報告 (2020/2/2)

2019年12月24日に心不全で亡くなられた、漫画原作者の鍋島雅治先生をお送りする会を、2020年2月2日に有志一同にて開催しました。当日の写真などを交え、ご報告します。

鍋島先生は『築地魚河岸三代目』『東京地検特捜部長・鬼島平八郎』『火災調査官』など、映像化された作品を含む、数多くの作品を残されたベテランの漫画原作者です。最近では東京工芸大学、京都精華大学やトキワ荘プロジェクトの講座などでマンガ制作技術を教えられ、多くの教え子がプロの現場で活躍しています。お酒好きで人懐っこいお人柄から、老若男女多くのお友達のいらっしゃるかたでした。

あらゆる面で惜しまれる方でしたが、56歳の若さで亡くなられました。多くの方がその突然の訃報に驚き、今回の送別会へいらしてくださいました。

筆者は、鍋島先生と関係した出版社、教育機関、トキワ荘プロジェクトなど、多くの関係者とたまたま繋がりがあったため、この送る会の幹事をつとめさせていただきました。

進める中で先生のお身内の方より「明るい性格だった鍋島のためにも、湿っぽく無い場で送って欲しい」とお話がありました。その為、自分に縁のある豊島区西池袋のクラフトビール工房Nishiikemart内の「スナークリキッドワークス」で開催することとさせていただきました。

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店内

(上:当日の外観  左下:店内奥のビール醸造タンク 右下:そのタンクを店内から見た様子)

なにかと一緒に飲みに行っていた鍋島先生とは、このクラフトビール工房でそのうち一緒にビールを飲むだろうとのんびり構えていましたが、もうそれはかなわぬこととなってしまいました。そのため、今回来場いただいた皆様には、代わりにここで醸造したビールを飲んでいただきたいと考え、この会場に皆様をお迎えさせていただきました。

送る会の様子

祭壇とご遺影の様子です。

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写真はKADOKAWAさまご協力のもと、取材で撮影されたとても良い写真をお預かりすることが出来ました。

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有志一同の他、多くの方からご供花をいただき、会が華やいだ形で行われることとなりました。誠にありがとうございました。


会場奥の建物の中に入ると、入り口すぐの場所で気さくな鍋島先生に迎えられるしつらえです。

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手前の紙は、鍋島先生とお母さまとのメール・手紙のやり取りです。今年の4月に京都精華大学で教鞭をふるうことが決まっていた鍋島先生からのお母様への報告メールと、それを喜ぶ気持ちを綴ったお母さまからのお返事です。お母様からお預かりしました。

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この写真の前では、多くの方が足を止め写真とお手紙を目にとどめていました。中には鍋島先生と飲みながら語らってくださった方もいらっしゃいました。


「送ることば」をくださった皆様

送る会の中で送る言葉をくださった皆様をご紹介します。

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京都精華大学 新世代マンガコース・漫画家 田中圭一先生

鍋島さんとは30年のお付き合い。とはいえ、この4月から京都精華大学の新世代マンガコースでともに教鞭をふるうことが決まっていた氏と、じっくり一緒に仕事をし、若い作家の指導を出来ることを楽しみにしていた。何か大きなものをぽっかりと失った気分で、未だに信じられません。

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NEWVERYトキワ荘プロジェクト 理事長 小崎文恵氏

先生が亡くなられた日の直前に漫画家向けの講習会を行いました。その日はスターウォーズの封切り日で、それを観に行った鍋島先生は講座に遅れて来られました。それをフォローするのも大変で、思い出になっています。これからスターウォーズを見るたびに先生のことを思い出すと思います。

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漫画家 高橋留美子先生

鍋島さんとは同門で、30年来の付き合い。亡くなった前の週に開催された小学館の謝恩会では、来年から京都に行って教鞭をふるう未来を本当に楽しみにしていると語っていたことが印象にのこっています。


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締めくくりの言葉はこのお2人から、左が東京工芸大学・漫画家のよしまさこ先生、右が鍋島先生と同い年の漫画家 鈴木みそ先生

みそ:鍋島さんとは同い年で「年取ってるほうが鍋島さんで若いほうが私です。」なんてのが持ちネタでした。とにかく同い年なのにショックです。こんなに早く小池御大を追いかけなくてもねえ。

よし:授業が終わって控室に戻ると「会えなくて寂しい ウータンより」なんてホワイトボードに絵が描いてあったりしたものです。教育内容の事など多くの場面でぶつかりました。鍋島さんといると、いつも彼のほうが面白いことを言い、私がそれを諫める真面目な意見を言うことになる。彼の言うことのほうが面白いというのが悔しかったりもしました。学生にも愛され、今日の会にも学生が見送りに来ています。

お母さまからは、出席者に宛てたお言葉をFAXでいただきました。

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会の中では司会の私が読み上げましたが、これはもう原文ママご覧ください。


会場の様子

こうした中で、来場者の皆様はクラフトビールでの献杯など重ね、和気あいあいとした雰囲気となっていました。

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送る会開催にあたり、長崎のご実家にいらっしゃるお母さまより、参加者に宛ててのお菓子をいただきました。その名も「鍋島さま」です。

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佐賀や長崎の名家、鍋島家ゆかりのものとのことで、ご来場の皆さんもお母様のお気持ちをうけ、美味しくいただいておりました。

沢山の送る言葉とイラストたち

多くのマンガ関係者が来場される中、鍋島先生への送る言葉&イラストを多く描いていただきました。

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ラムちゃんも気になりますが、代表作『築地魚河岸三代目』のはしもと先生のイラストも見えます。こちらは、後程ご遺族の方にお届けします。

最後に

冬晴れの快晴の中、多くの方にご来場いただき鍋島雅治先生を送る会を行なうことができました。「明るく送り出してほしい」というご家族のお言葉を支えに、オープンスペースで地のクラフトビールを飲みながら、SNSへの掲載なども推奨するカジュアルな形でご案内をしたため、多くの方によって各所に写真がアップされています。

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ご来場いただけた方々には、飲み交わしながら鍋島先生のお話が沢山出来たことかと感じました。個人的にも、念願だった「池袋で作ったビール」を鍋島先生に楽しんでいただくことも、かなった気がしています。

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(ご来場いただいた奥様に献杯をしていただきました)

ご来場かなわなかった方におかれましては、この記事やSNS各所での投稿を通して、ひとつの区切りと申しますか、お見送りすることによる心の整理の一助となれば幸いです。

鍋島先生、安らかに。


―――追記:2020年夏

こうして送る会にご来場いただいた皆様に描いていただきました色紙や写真などは、お盆に使われるとのことで、長崎のお母様のもとにお送りしました。ご自宅に色紙などは飾っていただき、お母様や地元関係の関係の方々に喜んでいただけているようでした。

いつかわたしも、お線香をあげにいきたいと思っています。



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