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【マンガ業界Newsまとめ】 アカツキ/ドコモ/メディアドゥ/MAL-4社で海外配信、このマン2024発表、各社年末の取組 など|12/17-132

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/)を運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。

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アカツキグループ、ドコモ、メディアドゥ、MyAnimeListによる海外向け電子コミック配信サービス提供に向けた業務提携契約の締結について

海外電子コミック配信に向け、横読み・Webtoonを統合した4社が業務提携する大座組になります。

・docomo:サービス提供主体(恐らく資金面含む)
・アカツキ(HykeComic): サービス開発/運営 
・メディアドゥ:作品取次
・MyAnimeList(MAL):マーケティング/作品選定データ提供

とのことで、海外配信を行うにあたっては綺麗に補完的な関係性となっており、体制的に良く作り込まれていると思います。先日Yahooの川邉さんが、孫さんは「構え(=座組)」にこだわった。とポストされてさすがだなと思ったのですが、今回の布陣も強そうな「構え」ですね。Webtoonという面では、各社領域が被るところもありますが、そこは些事というか調整可能でしょう。

少し踏み込むと、大きな資本・資金と信用を持つ意味で足腰の強いdocomoが予算を投じ、本業のゲームで『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』などで海外向けの運営に実績のあるアカツキが開発・運営を担うという所が配信運営面でコアとなりそうです。

また、作品調達でメディアドゥは国内最大手取次、そのグループ会社であるMyAnimeListは、現在日本のエンタメ企業が持つ海外の日本エンタメファンととなるユーザーとの接点では最大級です。これまで、日本からの海外配信においては、海外展開時のマーケティング、より具体的に言うとユーザー獲得に課題があり、出版社連合によるJMANGAはじめ、撤退したサービスもありました。

このあたり、海外向け展開においても熟慮のあとが見えると思います。というか、こういう座組作りは、ベストな形を追い求めても、あれこれ難しい各社の事情が関門になるなどなかなか上手くいかないもので、今回もどこかで誰かが大変な苦労をされて、まとめきったのではと推察します。

北米をはじめとした、グローバルのWebtoon市場において、韓国のNAVER、Kakaoの展開が先行しています。横マンガにおいては、この両社や日本勢もほとんど手を付けられてない状態です。

アカツキは世界11か国への展開に実績があり、MyAnimeListは英語圏ですから北米中心にかなり広い範囲にリーチできます。このあたり、どういった舵取りがなされていくか、個人的にも興味があります。期待したいところです。


【2023.12.11更新】『このマンガがすごい!2024』今年のランキングTOP10を大公開!!【公式発表】

このマンガがすごい!2024が発表され、書籍も発刊されています。

オトコ編『ダイヤモンドの功罪』・オンナ編『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』がそれぞれ1位ということで、このマンらしいチョイスになっているかなと思いました。

Top10を公開とタイトルにあるのですが、現時点のWeb上での発表は1位までですね。私も今年投票4年目で、全て異世界・ファンタジーで投票させていただきました。なかなかランキングには絡まないのですがw

その、「このマン」「つぎにくるマンガ大賞」「マンガ大賞」などの中の人に集まっていただき、現在の漫画賞運営について語りあってもらったセッションをIMARTで行いました。こういう人選はこれまであまりなく、漫画編集者、販売関連に携わる方には必見のセッションとなっておりますので、ご覧ください。


世界文化ブックス「コミックカルラ」リニューアル!1週間全作全話無料公開!Webシステムにコミチ+を導入

*: 筆者が営業・広報に関わる事業です。ご了承ください。

創業77年「家庭画報」などを長く提供してきた世界文化グループの世界文化ブックスが、創刊間もなかったレーベル「コミックカルラ」のWebサイトをリニューアル。コミチ+を導入しました。

これまで発表した全作品の無料公開。期間終了後もキャンペーンを予定しています。

プレスリリースより

コミチ+は、およそ2年前からのサービス開始で、2023年末時点で9社9サイト(媒体数で20誌弱ほど)をシステム提供・運用するに至りました。

徹底したデータ分析と、泥臭い運営を、システム開発・運用とセットで提供できるところが強みになっており、新作認知や既刊の掘り起こしに導入早々各社で実績を積んでいます。そのあたりを話している、セミナー動画がありますので、良ければご覧ください。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

年末を迎え、取組やセールの発表が盛り沢山で、先に紹介です。

3連複じゃなくて3連単なのが、なかなかハードモードですねw

ebjはん、なんや開き直っておまへんか?思い切ったフェア名。

スラダン強し

シーモアオリジナル作品の周年キャンペーンですね。ボンデジ作品は盛り上げるために各社工夫が見えるところです


この形は、BL雑誌なんかで良く見ますが、個人作家にお題を出すのも良いかもですね。

オンライン出張編集部、もう3回目なのですね

以上、さすが年末という各社取組や発表でした。


国内News

KADOKAWAのComicWalkerが「カドコミ」に改称とのこと。

KADOKAWAグループを見渡すと、電子書店(及び取次)としてBOOK☆WALKERが確固たる地位を築き、Web雑誌的な立ち位置に多くのレーベルを内包する形で、ComicWalkerがありました。

新生カドコミは、国内向けに大きなPVを持ち、新作認知に貢献してきましたが、先日のIMARTでは今後、海外向けの展開を強めていくというお話もありました。

IMART2023:デジタル起点のコミック海外展開

記事では特に、変更意図について触れているところはありませんが、そうした意味もあっての改称なのかもしれません。


インプレス社のオリジナル作品レーベル『Comic curea』スタートとのことで、先行配信はコミックシーモアとのことです。


アース・スター エンターテイメントのWeb「コミック・アース・スター」がフルリニューアル、ビュアーにはてなのGIGA viewer導入とのこと。

2010年度のマンガアプリブームから、2020年代はWeb雑誌ブームのようになっていますが、Web媒体がコモディティ化した結果、各社その分析や運用にどういった強みを持つかが成否となってきているかなとは思います。


毎度お馴染みに四半期に一度の不破雷蔵さんの部数動向まとめです。
これらの記事は基本「紙」の話題で「デジタル」は含まれません。

少年誌については、週刊少年ジャンプ約116万部の1強変わらずで、他目立った動きはありませんでした。ジャンプ+細野編集長によると、年内にはジャンプ+による週刊少年ジャンプのデジタル販売が、紙に追いつくという話もあり、そろそろなのかなぁというところです。

青年誌については、ヤングジャンプ27.2万部、ビッグコミックオリジナル25.3万部の2強は変らずというところです。

出版物全体の動向としては、コミックの減少率は1割ほど。一方、児童書は紙書籍の中では唯一伸ばしているとのこと。


講談社、集英社など13社が共同出資するアニメ配給のアニメタイムズ社から、インドのアマゾンに東リベやスパイファミリーなどのアニメを提供とのこと。

インドと言えば、最近では「終末のワルキューレ」のアニメが宗教上の問題で配信停止となりました。そうしたローカライズも考えての一手かなと思われます。


今度は図書館を通じての海外向けマンガ輸出にあたっての、OKNGリストを、各国の有識者とはかってつくっていこうという取組です。図書館に絞られるようですが、ひとつの指針になりそうですね。


『ダンジョン飯』終幕で大団円でしたが、ナタリー上でハルタWeb原画展もやってるのですね。

『ハクメイとミコチ』樫木祐人など、もちろん久井諒子さんもあり、楽しいです。


VTuber×マンガコラボですが、低年齢層向け上手く出来てるなと。


就活人気で、講談社が2位、集英社が3位というのが話題でしたが、就職先としての業界研究をしても、電子コミックと海外展開が有望ということなのですね。まぁ確かに。

私自身は、20年ほど前に外資系コンサルティング会社にいたのですが、外資コンサル出身者は、普通は好況な業界に転職する傾向があり、そういう人が入ってくる業界は好況であるというバロメーターみたいになってます。

10年前、マンガ業界で外資コンサル出身というと、フーモアの芝辻さんと私くらいしかいませんでした。(この2人は損得というより、完全に好きでこの業界で仕事をしてるタイプですw)

しかし、ここ数年、外資コンサル出身の人にマンガ関連のそこここで会うようになりました。学生に限らず人気なんだろうなと実感してます。


マンガチャンネルなどもあるスマートニュースで『SmartNews+』という初の有料購読サービスが開始しました。ただ、今の所ビジネス関連に限るようです。ビジネス関連のマンガもありますけどもね。


アニメ市場、3兆円ですね。この中に、漫画原作作品や、その商品化など、どれくらい派生があるのかということが非常に興味深いところです。


こちら、IMARTで渡辺由美子さんが企画&司会したセッションの記事なのですが、先週大変バズっていました。ベルばらの話など、大変面白いセッションになっています。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

DNPのWebtoonアプリ「ホンコミ」が、オリジナルレーベル「ホンコミックス」を開始とのこと。


恐らくこれは、後日またプレスリリースなどありそうですが、漫画家の樹崎聖さんが編集長として、文響社よりWebtoonレーベル「TOONTOON」がスタートとのこと。


Boichi氏の『SUPERSTRING』などを製作するYLABは、子会社ならぬ社内独立企業という形であった、韓国のYLAB EARTH社を完全子会社化するとのこと。YE社はローカライズ事業等を担っていた企業で、両社の連携を強固にするもののようです。


先日、コーヒーショップのWebtoon用(カラー)背景アセットを発表したロケットスタッフ社ですが、今度は神社とのこと。狛犬に手水場、社殿に鳥居とこれ見てるだけでも楽しいですね。


個人的にも面白かった『外科医エリーゼ』ですが、アニメ版のPVやCVが発表になってます。失礼なことを言いますと、大変ベタな物語なのですが、そこが良いのですよね。アニメも期待しております。


Minto社の米国拠点スタッフによる海外事情noteです。現地の写真などは良いですね。文集紹介されていた「萌えるアメリカ」という本、アマゾンで12年前に買っていたようなのですが手元に無いため、もう一度買ってしまいました。


海外News

*:ここから外国語の記事も紹介します。自動翻訳などご利用ください。

タイトル訳:最新トレーラーでファンがソン・ジヌのアニメデビューに向けて準備を整え、ソロ・レベリングがリリース日を確認

俺レベのリリース日が2024年1月6日確定したというとこと、新たなPVなどが公開されています。もう少しですねぇ。


タイトル訳:WEBTOON Entertainment、グローバル展開とプラットフォームの成長に向けて経営陣を拡大

WEBTOON Entertainment社が、米国でグロースの実績があるCFOを迎え入れたとニュースになっています。この辺り、日本だとあまり聞かないスケールのお話ですねぇ。


タイトル訳:マンガはマーベル、DC、その他多くのコミック出版社の未来になるかもしれない

最近アメコミより日本の漫画のほうが北米で売れていると言われています。
記事では、DCやマーベルのアメコミも、流通も専門店に限らず、キャラクターも多様な日本漫画と同じ流れに乗るべきと書いています。そうすれば、漫画ブームの恩恵を受けるであろうとのことです。そうなのか、、

ともかく、アメコミの現状と日本漫画が彼らにどう見えているのか、興味深い記事です。


タイトル訳:2024年はアニメにとって特別な年になる

2024年アニメは、俺レベの他、ワンパンマン、転スラなど、期待できるものが沢山あるという観測です。


タイトル訳:仏出版社オノ社がケナズと戦略的パートナーシップを締結

ケナズは、NAVER、ピッコマとも違う第3勢力的な韓国Webtoonレーベルですが、フランスのオノ社と共同展開をはかるとのこと。


タイトル訳:LINE WEBTOONの収益は60%増加 台湾人に人気のLINEサービスを分析

台湾のLINEマンガも大きく成長しているようです。


タイトル訳:現代作家は実際にはスーパーヒーローを愛していないというコミック書店オーナーのコメントが話題に

このコミック店主さんが、歴戦の古参オタクのたたずまいで、どうにも他人の気がしないのですが、ありそうな話です。


AI・画像生成関連

AI活用をしたゲームの制作現場事例ですね。構図やデザイン案を複数出して比較したり、画質の検討にやセリフの仮ボイス設定など、上手に使っていますね。


一つの絵から、複数のパターンの画像を作る仕組みです。便利そうです。


テキスト系のChatGPTと、画像生成のDALL-E3が連携して、テキストからの画像生成をしやすくしているようです。


これはあかんですねぇ、、


2023年のAIを振り返ると、とにかく色んな事がありましたね。


*: 英語記事です。

パワポなど、プレゼンの「スタイル」に、アメコミヒーローをはめ込むというので、権利大丈夫なのかなと良く見たら「アメコミヒーロー風の画像、デザイン」ということで、これをAIで作ったということなんですね。なるほど。で、どこで使うんだw


記事のみ紹介


告知関連

12/27 19時~ youtubeliveなど配信
・出版業界ニュースまとめの古幡さん
・電子書籍ニュースまとめの鷹野さん
・メディアニュースまとめの大西さん
・マンガ業界Newsまとめの菊池
と、まとめ人4人を、西田宗千佳さんがまるっとまとめるという年末総まとめです。だいぶ今年がまとまるんじゃないかなと思います。
皆さんも、まとまりに来てくださいませ。


12/29 21時半~
まつもとあつしさんのアニメの門DUOでお話します。
こちらは資料作って、もうちょっとゆっくり話すと思います。
これが、今年の仕事納めになりそうです。


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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。

基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。

アーカイブ配信のチケット購入がこちらになります。

インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

筆者個人へのお問い合わせなど、以下まで。


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