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【マンガ業界Newsまとめ】中東、中国、北米のマンガ国際展開など|9/9-017

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、とても嬉しいです!誤字脱字のSNS上での指摘も喜びます。

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サウジアラビアのマンガ・アラビア社が、国内の出版社各社とライセンス契約を結んだというニュースです。

中東地区においても、日本のマンガ・アニメが人気であることは以前より認知されておりました。しかしながら、自由な表現を尊ぶ日本の作品は、数年に一度のペースで宗教上のタブーが作品に描かれたまま、気づかずに販売・放映・配信されてしまうなど、国際問題になりかねない形でニュースになることもありました。

この契約を通し、そうしたローカライズ時のリスクをしっかりと排除した形で作品が中東地区に提供されれば、実りあるパートナーシップとなるのではないでしょうか。


小学館マンガワンなどの開発などを請け負うLink-U社が、中国のマンガを日本向けに輸出するライセンス契約を結んだというものです。

一昔前は考えられなかったことですが、現在は快看漫画やbilibili動画など、大きなプラットフォーム上で、中国オリジナルの縦スクロールカラーマンガが多く発表されています。当然それが日本に輸入されてもおかしくないわけで、これを国内マンガアプリ開発大手のLink-Uが担うということですね。

食マンガにおける『孤独のグルメ』しかり、WEBTOONにおける『俺だけレベルアップ』しかり、マンガの新ジャンルはヒット作品が出ることで牽引され、拡がっていきます。中国マンガの中で、日本国内でヒット作品が出ると、様相も大きく変わっていきそうです。


ジャンプ作品を海外へ翻訳して届ける、集英社MANGAPlusの続報ともいえる記事で、海外エンタメ事情に詳しい数土直志さんのものですので、非常に具体的な内容となっております。

MANGAPlusを通して英語で届けられている作品を中心に、北米におけるマンガの売上がアップしたというポジティブなニュースがあります。以前より『SPY&FAMILY』など、アニメ化を経ずに海外でヒットする作品が生まれていたことは知らされていましたが、順調に推移しているようです。

そうした実績を見ても、国産作品を国内企業が直接海外に届ける、海賊版に対抗できるシステムが育ってきていることは、歓迎できる状況でしょう。今後は、縦スクロール漫画との直接的な市場争いにもなっていくでしょう。国際舞台へのマンガの先兵たるジャンプ+の動きは今後も注目です。


集英社マンガテックのアクセレータープログラムにも参加した、マンガのAI翻訳システムのMantra社が、大日本印刷(DNP)社との共同開発を発表しています。

座組としては、印刷物・電子書籍に限らないマンガの版面を作る最大手のDNPと、AI翻訳のMantraの座組ですから非常に相性の良い相方同士と思います。

マンガの海外展開は、翻訳、カラー着色、縦化、などが現在の課題です。今回は、エディトリアル(編集)システムと言事で、翻訳だけに留まらず、構成や、日本漫画の課題となる漫符(描き文字、「ドカーン!」「バキッ」「ピカ!」などの、吹き出し外の文字)の調整などを視野に入れているものようです。こうしたシステムの確立は海外展開などに有用と思います。


無料で使えるイラスト・漫画制作ソフトMedibangPaintを運営するメディバン社が、制作に使用する画像素材の有料版を使い放題となるサブスクリプションサービスを始めたというニュースです。

国内の漫画制作の現場などでは、セルシス社のクリップスタジオ(コミスタ含む)のシェアが圧倒的です。しかし、後発ですが無料のツールということもあり、海外の漫画家の中ではメディバンペイントはかなりの普及率で、既に4000万回もアプリケーションがダウンロードされています。

その膨大な海外ユーザーに、このサブスクリプションが使いやすいものとしてチューニングされていけば、なかなか大きなモデルに成長するやもしれませんね。


『終末のワルキューレ』などの話題作を出版するコアミックス社が、高校の立て直しを熊本で行うというものです。

新人発掘や漫画家教育に熱心で、サテライト編集部を置くなどコアミックス社ですあ、代表の堀江信彦さんの出身地ということで熊本で様々な活動をしています。熊本マンガミュージアムPJの活動など、地域としてマンガ振興に熱心な熊本県の県立高森高校のコラボということのようです。

高森高校では漫画学科(未定)の設置を予定しており、ヒット作品の版権を持つ出版社による学校建て直しということで、文字通りマンガのようなストーリーです。注目したいところです。


広告漫画大手のシンフィールド社が、いわゆるマンガのコマをSNS画像やバナーなどに使用できるように「企業に提供する」というものです。『キャンディキャンディ』のいがらしゆみこ先生の画像もその対象になっているということで、キャンディの画像もサンプルの中にありますね。

商業作品のコマを使用してSNSで使うといったモデルは、AluやLINE(LINEマンガではなく)でも過去ありましたが、これらは無料で使用できるもので、商業利用は不可だったと思います。

こちらは、企業が費用を払ってマンガのコマを使うというものですね。うまく行けば、クリエイターにもお金が戻しやすいでしょうし、あとは法人のSNS担当者などがどう使うか?というところでしょうか。良くシンフィールド社でも開催されている活用セミナーなどが行われると、企業のSNSやWeb担当者も助かるかもしれませんね。


Twitterでバズり、現在はヤンマガWeb上で『月曜日のたわわ』を連載中の比村奇石さんの新作『がんばれ同期ちゃん』がABEMAでアニメ化されます。

この同期ちゃんは、実は同人誌として、しかもこのご時世に電子書籍販売も無しに「紙の同人誌」のみの販売されていた作品となります。

同人誌即売会、別けても最大のコミケは長期間の休止(今冬復活予定)を余儀なくされ、マンガ専門店も本調子とは言えず、頼みは虎の穴など専門店のECのみという厳しい状況下で、映像化まで持ってきたというのは、縛りプレイで好成績を上げるYoutuberのような力技と言えるかと。わたしもよむさんの描く女の子は魅力的で好きなのですが、恐るべき突破力と言えましょう。

虎の穴が製作委員会まで請け負った「嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい」もショートアニメながら同人誌発のアニメ化となりますが、こうした既存ルートと違ったり、敢えて縛りを設けた展開については、その狙いや、後の推移が注目されます。


以前もお知らせした、日野市に35人の漫画家が共同生活をしている「多摩トキワソウ団地」の続報です。古巣の話なので完全に中の人の話になります。

もともとのトキワ荘プロジェクトは(今も一部残っていると思いますが)一軒家都内に二十数カ所それぞれでシェアハウス生活をする中で、個々の一軒家に別々に住んでいる作家同士の交流が難しかったです。

やはりこのモデルは、大きな建物に沢山の人が住む形ですので、交流が活発に行われていることが記事から良く分かります。しかし30人も漫画家志望者が住んでいたら、日々の暮らしはどんな感じなんですかね。楽しそうです。

ちなみに、記事で菊池さんというスタッフが紹介されてますが、私とは特に血縁などそうした関係はございません。一度だけお話ししましたが、ステキなお嬢さんでして、私と同じ名前で返ってご苦労されているのではないかと、いつも心配になります。菊池さん、がんばって!


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