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【マンガ業界Newsまとめ】 「地獄が呼んでいる」大ヒット後の原作WEBTOONの売上は?など|11/28-028

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。堅い内容だからか反応がなかなかいただけなくて、SNSシェアや感想いただけると、とても嬉しいです!

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NetFlixにて公開わずか1日で全世界1位を獲得し、あの「イカゲーム」のスピードを超え、それ以上のヒットとなりそうと話題の「地獄が呼んでいる」ですが、これがWebtoon原作となっており、その展開が気になります。

まず、大元の原作Webtoonの邦題は『地獄』で、掲載してるLINEマンガによると、原作:Yeon sang ho 作画:Choi gyu seokとなり、全51話が公開中です。

日本において、映像化された作品のヒットは、その原作であるマンガ単行本の販売に繋がるヒットの前奏曲となっています。しかし、これまで実は、NetFlix上でヒットした日本漫画の海外販売がそれほど奮わないケースが多々ありました。

なかには、Netflixで世界展開されることを見越して、翻訳・カラー化した作品を、海外の電子書店に置いても、配信で跳ねたアニメの勢いがどうしてもそこに引火していない実績も残っています。

今回のケースでは、LINEマンガ・NAVER WEBTOONをベースとして日々世界展開規模を大きくして言ってるWEBTOONがある中で、この映像作品の大きなヒットです。タイトルを微妙に変えているあたりがちょっと気になりますが、これにより原作の『地獄』にどんな影響があるのか?

これまでWEBTOON最大のヒットと言われてきた『俺だけレベルアップ』の月商2億円(日本のコミックにすると、およそ40万部販売に相当)を超えるヒットが出てくるのか?注目したいところです。


こちらは韓国WEBTOONの中で、「LEHZIN COMICS」について触れています。日本ではレジンコミックスとして運営している同社ですが、WEBTOONには珍しく成人向けの作品も扱っています。

少しデータが古いですが、2015年ベースで有料会員700万人、売上300億ウォン(30億円)は、韓国の市場規模を考えれば十分に立派だと思います。

しかし、表現に過激なところがあり、政府により接続遮断(これは日本で言うサイトブロッキングになるのか)が行われるも、ユーザーの抗議から1日で復旧したことや、男女比で女性ユーザーが7:3で多いことなど、興味深いデータが載っています。

電子書籍では、女性ユーザーを狙っていくというのは日韓変わらない実情なのかなとも思いました。


今度はマンガに限りませんが、中国のメディア規制の話題です。

抜粋すると、中国ではネット上でニュースを配信できる機関は全部で1,358、同じように出版社は583というホワイトリストがあるようです。それ以外は要は記事であれ作品であれ、自社オリジナルを出してはいけないというわけですね。

当然、認められてるからと言っても、出版や表現には規制があり、いわゆる検閲は常時行われています。

思想信条で言えば、文中で筆者も述べられているように「到底許しがたい」と感じるのが、日本をはじめとした民主主義諸国家では当然のことでしょう。ドライにビジネスの目で見ると、残念ながら中国は当面我々の市場ではないとみる以外に無いようにも思います。

とはいえ、最近になって大きく動き始めたものであり、過渡期と見て変化を見守る以外に考えようも無さそうです。対中のコンテンツ輸出については「しばし保留」なのか「長期的な仕込みを準備」といったところでしょうか。


ちょっと面白いアンケート結果が2つありました。

まずは、小学館とバンダイがタッグを組む「TOON GATE(トゥーンゲート)」の調査です。サラっと書いてありますけど、老舗小学館によるWEBTOONのレーベル名が公になるのはこれが初めてじゃないでしょうか。12月3日スタートとのこと。

以下抜粋引用すると。

(1) 一度でもマンガを描きたいと思った経験がある人は約7割!
(中略)
(4) “縦スクロール漫画”が人気傾向に!? 4人に3人以上が、縦スクロール漫画を読む。毎日読むは約3割

最初のは良いですね。とても日本らしいです。そして、恐らく一般向けの調査だと思うのですが、その中で縦スクロール漫画を読む人が75%(これはマンガを読む人の中ででしょうか?)そして、毎日読む人は3割とのことです。これは凄い数値ではないでしょうか。

そして、もう一つがスリーエム社の白髪染めトリートメント等関連の調査(?)で、どうやらマンガを読むとリラックスできて抜け毛に効くという趣旨のようです。

すでに5年以上前から完全に坊主頭も身についている私としては、イチ漫画業界人としてこのニュースとどういう姿勢を取って良いのか迷うのですが、さておき。

データとしては、一般向けのネット調査で20代が漫画を読むという回答が8割。うち、読み方としては6割が単行本とあります。ムムムと思うところもありますが、どうやらコロナ禍でマンガを読む人が増えたということを、データから読み取っているようです。なるほどですね。


こちらは、マンガアプリ”マンガボックス”の自社媒体noteにて、現マンガボックス編集長の松崎氏のインタビューです。氏はスクウェア・エニックス社において、『月刊ガンガン』と『ガンガンオンライン』の編集長を10年ずつ勤めたとのこと。

ちょっと長いですが、それだけにかなり深く色々と考えが読めて面白かったです。

興味深かったのが2点で、ひとつが実際にマンガ業界で編集者として長く働かれた松崎氏が、マンガボックスにおける業務のスピード感などに好意的というところです。

読む限り、業務の進み方は所謂ネット系の企業で行われているオペレーションに近いのですが、こうした業務の形をとると、いわゆる出版社の優位性ともいえる、編集者と漫画家が向き合いで、とことん作家を作りこんでいくスピード感とはなかなか合わない所があり、出版出身者がIT企業で苦労しがちでもあるのですが、上手く新しい形に順応されているようです。

もう一つが、先日もお伝えしたTBSとの資本関係をポジティブかつ具体的にとらえられていることです。当然、マンガ媒体の編集長は製作するマンガの映像化を意識しているとは思うのですが、ここまで出ていく作品と映像作品のつながりを意識されるケースは少ないのではないでしょうか。

これは、現在のマンガボックスの状況を考えれば、らしいと言えばらしいことで、新しい形なのではないかなぁと思います。


こちらはフジテレビ系ですが、同系列の映像配信サービスFODでは、電子コミック配信サービスを行っており、『スイートリベンジ』などオリジナルマンガを製作し、それを映像化するなどしています。

その一環として、FODからマンガアプリがリリースされたということですね。これは、映像配信サービスと電子コミックのサービスがかなり近接した国産サービスですので、電子コミック周りのサービスのバリエーションとしては、やはりユニークなものではないでしょうか。


書店員はなさんが話題という記事が続いていましたが、この記事では、はなさんがTiktok配信をするにあたり参考にした本や、書店としての課題なども書かれていて興味深いです。

人気TikTokerのはなさんが、発信にあたり何度も何度も読んだ本は、ジャパネットたかたの高田明氏の『伝えることから始めよう』だったとのこと。テクニックというより心構えが重要というところから「本当に面白いと思った作品以外は、伝わらない」という境地にもなられたとか。

私も、マンガレビューサイトの運営や、自身もレビューをしていた際に、ほぼ同じように「ほんとに好きと思ってない人の書くマンガレビューはおもしろくならない」と実感していました。共感できるところです。

また、瞬間風速の強いTikitokは、リアル書店で一度本が売り切れると、重版などして次の入荷があるまでに熱が冷めてしまうとのこと。

この点、電子書籍が有利にも思えますが、Tiktokerの書籍紹介は実本を使っての質感がまた良さとも言えそうですし、ここはなかなか難しいところですね。いずれにせよ、制作・流通側にはスピードアップやDXがより求められていくところなのでしょう。


日本電子出版協会(JEPA)は、電子出版アワード2021の候補作品を発表しました。マンガに関わりそうな所はかいつまむと以下あたりです。

■エクセレントサービス賞
・ピッコマ(カカオピッコマ)

■チャレンジ・マインド賞
・FanTop(メディアドゥ)
・Skeb(Skeb)
・集英社マンガアートヘリテージ(集英社・スタートバーン)

■エキサイティング・ツール賞
・コミなびVR(メディアドゥ)
・コミチ(コミチ)
・WorldMaker

などです。詳細はリンク先をご覧いただき、是非投票を。以下のようにSNS上で投票を促す発信をされてるサービスもあります。


最後は、私が運営しておりますIMARTにて告知2つです。まず一つ目は、12/5に新宿ロフトプラスワンにて、マンガ・アニメの業界人を集めて今年を振り返る忘年会を、せっかくなのでリアルでやりましょうというものです。登壇者のみなさまは以下。軽いノリの企画の割りに、大変豪華です!(敬称略)

<アニメ>
前田久(ライター)、川瀬浩平(ワーナーブラザースジャパン プロデューサー)、本多史典(プロダクション・プラスエイチ 代表取締役社長)、中山英樹(ワクワーク代表/MC兼任)

<マンガ>
・竹村響(元竹書房の自由人)、さやわか(ライター)、カメントツ(漫画家)、あとわたくし

この豪華な業界人・業界通の方々が、今年の印象的だったニュースや作品などについて、いわゆるひとつのロフト的に語るというものです。最近こういうのなかなかできなかったですからね。

恐らくポロリもあって面白い感じになるんじゃないかと思います。個人的には竹村さんとチキンレースをするのが楽しみです。


もう一つは、IMARTの中でも私自身が企画しているもので、こちらは配信のみのイベントとなります。

中東で一番有名なサラリーマンこと、先日「激レアさん」にも出演された鷹鳥屋明さんと、実際に中東でのアニメプロジェクトを形にされた実績もある、アーチ社の代表P平澤直さんの2人をお迎えし、恐らく史上初となるでしょう、中東のマンガアニメビジネス事情を実務者視点で語っていただきます。

ナビゲーターは吉田尚記さんです。このお3方はほとんどお友達みたいにお話し出来る仲の良い方々で、尚且つプロとしていつもしっかり話を引き出す力を持った吉田さんがナビゲートしてくださることで、今回は企画と配信のみ裏方でやれば、安心して見ていられる状態です。

先日、マンガ・アラビアも設立され、今後の動向が期待されるマンガ・アニメの中東事情について、お聞き逃しなくです。今の所アーカイブを配信する予定はありません。


--11/29追記 タイミング的にここで追記しないと意味がない情報にて

12/4(土)23時放送の日本テレビ系マツコ会議にて、多摩トキワソウ団地が紹介されます。実は以前にも、同じマツコ会議で、プロ漫画家メンターがいる「甲斐谷荘」が紹介されたのですが、今回は総勢38名が住む多摩トキワソウ団地が紹介されます。

前回もマツコさんが上手にいじってくださいました。生活の様子や人間関係は勿論、神保町での打合せまで追いかけてくださって、業界の人にも「あーこの喫茶店、はいはい」みたいなところまで放映されました。

今回も楽しみです。

この話題も出たのでこちらの記事もご紹介です。韓国漫画映像振興院が、住環境から仕事環境、スキルアップにビジネスチャンスまで漫画家を支援しているというニュースです。

こう言った支援については、韓国ではとても力を入れていることは以前より言われていることで、クリエイター向け支援の他ビジネス向けの助成などもかなり大きな予算で行われているため、逆に助成している分野は伸びるが、してない分野は衰退するくらい、力強い動きになっています。具体的には、韓国ではWebtoonの伸びの裏で、紙のマンガ出版がかなり弱っているというようなこともあるようです。

とはいえ、現在のWebtoon伸長の勢いに、振興院の力が寄与していることは間違いないでしょう。

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