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【マンガ業界Newsまとめ】ついにあのDMM社も「ウェブ縦読みマンガ」に参入!! など |12/04-029

マンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。感想付きでSNSシェアなどしていただくと、とても嬉しいです!著者が!!

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各社、続々とWebtoon参入を続けている中、DMM社が「ウェブ縦読みマンガ」に2022年から参入です。特に謡ってはいませんが、先日60億円の赤字を出したとして話題になった、DMMブックスの事業において、参入されることが想定されます。

かなり大きく成長しているDMMブックスで事業も気になりますが、DMM社は電子書籍においてもう一つ大きな事業を営んでいるということも知られており、一般向けのみならず、成人向けなどにおいても同様のチャレンジがあるのかなど、気になるところです。


先週発表のあった、小学館×バンダイ主催の『TOON GATE』についての続報で、人気芸人とともに番組内で「縦スクロール漫画」を作るという企画のようです。

業界目線で目を引いたのが、番組内で縦スクロール漫画の講師として出ているのが、小学館の編集者ではなく、フーモア社の井本氏であるところでした。

フーモア社は、早い段階からWebtoonへの進出を表明し、そこに大きな投資をしていることもコメントがありましたが、今回の座組の中で制作周りでの参加をしていることが想定されます。

もともとは広告漫画の制作やゲームイラストで実績を上げてきた同社ですが、こうした大手出版社の座組の中でも名前が出ており、Webtoon制作において存在感を増してきていることが判ります。


SMARTOON(スマトゥーン)の売上大幅増などで好調なピッコマが、GooglePlayベストオブ2021で「ベストアプリ2021」を受賞して評価されています。ちなみに、ベストゲーム部門は「ウマ娘」だったようです。


ここまで3つのニュースで、「ウェブ縦読みマンガ」「縦スクロール漫画」「Webtoon」「SMARTOON」と、関連する各社が使用している名称で書き分けましたが、基本的には全て同じ意味です。

厳密にいうと、WebtoonはNAVER系(日本だとLINEマンガ等)の商標で、SMARTOONはカカオ系(ピッコマ等)の商標です。それ以外が一般名称となります。宅急便(商標)と宅配便、ゼロックス(商標)とコピーみたいなものですね。2つ目のはちょっと古かったですかね。


毎度、不破雷蔵さんのグラフ化記事です。日販の「出版物販売額の実態」(2021年版)のまとめとのこと。

書籍流通額について、書店、コンビニなどの流通額は近年下落傾向も、インターネット販売が上昇しているとのこと。これは電子書籍を含まない紙書籍(マンガ以外含む)の通販・ECに当たる部分の流通量ですね。

2020年のインターネット販売市場規模は2636億円、直近5年では2倍弱の伸びです。直近2年の紙出版物の販売額は横ばいで、その中でも他の下落分をインターネット販売が吸収しているというグラフもあり、興味深いです。安定の不破さんグラフ記事でした。


リアル店舗ネタを続けまして、今度は週刊少年ジャンプの専門店「JUMP SHOP」が上海に進出するというニュースです。昨今の中国コンテンツ事情を考えると、若干不安のあるところですが、とは言え大きな中国市場に、リアル物販を積極的に進めることは重要な仕込みとも考えられます。

なお、国内においてJUMP SHOPはベネリック社が運営しておりますが、今のところベネリック社のリリースや店舗網に本件は出ておりませんでした。同社は2015年に上海に現地法人なども設立しており、その展開でしょうか、どうなのでしょうか。


アニメイトの聖地、池袋のアニメイト本店がグランドオープン時に、この画像のようにビルのデザインを大きく一新しますというNewsです。

このデザインについては、実際にアニメイト周辺の現地に赴いたことがある方にしかピンとこないやもですので説明すると、このアニメイト本店のある一帯は、ハレザ池袋と呼ばれます。旧豊島区役所庁舎などがここにあったことから、豊島区長の号令で統一したデザインの外観を持ったビルが並ぶ一帯で、実際に以下のようなイメージの建物が並んでいます。

画像1

ハレザ池袋Webより:https://hareza-ikebukuro.com/ 

アニメイト本店はこの統一したイメージの建物群の真横、お隣さんに位置していたのですが、この度のリニューアルでその外観イメージに合わせにいくということになります。

元々アニメイトグループと豊島区・池袋一帯の連携は強く、豊島区のイメージキャラクターの一つ、フクロウ戦士トシマッハの中の人たちは、アニメイトグループのムービック社が担っていたりするなど、枚挙にいとまがないくらいコラボをしています。

コンテンツビジネスにおいて、聖地巡礼的な、地域と事業者が一体になるビジネスの数は、増えては来ているのですが、大きな取組として継続的に行われる形はそう多くはありません。

その点アニメイトグループは着実に豊島区との関係性を深め続けているなぁと、豊島区出身者かつ地方のコンテンツビジネスに携わってきたものとしては感心する所であります。


DLSiteの運営するエイシス社が、関連する会社の事業をとりまとめ、グループ会社として組織化するというニュースです。

面白いのは、販売を担うプラットフォームであるエイシス社に対して、
・販売:エイシス社(DLSite)
・電子コミック:forcs社
・音声コンテンツ:zowieQ社
・ゲーム:トライシス社
と、機能別にあった各企業を、横並びのグループ化しつつも、全体としては機能の垂直統合をしてグループでSPA化したという点でしょうか。

動きの中心となっているエイシス社は、ビデオレンタルなどの大手ゲオグループ(非上場)のグループ会社です。また、今回の発表において、ゲオグループ内や各社における資本関係は明示されていないため、資本の動きや資本政策的な狙いは見えません。

なにがしかの更なる大きな動きの準備をしているのか、経営的なインセンティブを狙っているか、いずれにせよ積極的な施策や戦略的行動を次々とっている同社グループのことですので、その戦略の方向性や行く末は今後注目し続けたいところです。


個人的に、なるほどこれはー!と驚いたニュースです。

実業之日本社にバイアウトされ話題になったスケブ社ですが、アパレル企業のシーズメン社と資本業務提携を行ったとのとこ。これはかなりハイコンテキストなニュースなので簡単に紐解きます。

まず、スケブ社の創業者なるがみさんは、早くからVR界隈に通暁し、その筋のビジネス案として、ポリゴンテーラーというサービスの構想を温め、ことあるごとにその話をされていました。

VRチャットなどのVR空間の中で、ユーザーは、好きなキャラクター、デザインしたキャラクターを着せ替えるなどの行動をします。このキャラクターが着る服や小物など、身に着けるものをデザイン、販売するという構想です。(と、理解しています。言いきれてますでしょうか。あくまで私の理解の範疇です)

このジャンルでは、例えばPixiv社のBoothなどでは、アバターの他にもカバンや小物がVRグッズとして販売されたり、VRの即売会、VirtualMarketなどでも同様にVR造形が展示されたり販売されたりしています。

という新たな市場というか価値観がVR上では展開されていたわけですが、facebookによるメタバースへの全振り宣言などもある中、この分野への注目度は世界的に加熱しました。

そして今回、リアルなアパレル企業であるシーズメン社のアバターの服を現実の世界で販売する「ポリゴンテーラーファブリック」という事業に、なるがみさんがCMOで関わるということですね。Chief Metaverse Officerとはまた、新しいです。

これがどう業界に影響しているかは、文脈としてはCreatorEconomy文脈だと思うのですが、漫画家・イラストレーターの新たな仕事して、VRアバターのデザインをするクリエイターも増えてきています。

この過程の中では、当然自動的に服などのデザインもクリエイターが行っているわけですが、メタバースという概念が注目され、浸透していく中で、こうしたリアルとVRの中で、服を媒介に商品が行き来するようなモデルも生まれてきたというわけです。

そこに改めてクリエイターが関わることになっていくという未来があるということですね。当然こうしたが流れが作品世界と近接していくのは、そう遠くない未来のことであるとも考えられます。

なるがみさんについては、実業之日本社・白井社主との対談形式の、こちらの記事も興味深いです。リンクしてない3編なのでリンクを並べます。

日本のクリエイター業界で、高品質商品が「あまりにも安く」設定されてしまう本当の理由—根底にあるのは「自信のなさ」?
記事(1)記事(2)記事(3)


書き手は違うのですが、約7年の長きに渡り週刊少年サンデーの編集長をつとめた市原さんの振り返りと、新編集長に就任した大嶋さんの記事で、並べて読むと流れがわかって興味深いです。

通例サンデーの編集長はおおよそ4年で交代してきたということで、市原さんが編集長に就任された当時からその期間を意識されていたのは、ご本人から就任当時にうかがったことがあります。

『葬送のフリーレン』など、ヒット作輩出の形をつくり、恐らく仕込んだ作品の中ではこれから出てくるものも多々あるでしょう。記事を読むと確かに、多少長引いても、市原さんに区切りまで任せようと思った上層部の判断も判るような気がします。とにかく気合入ってますね。

後任の大嶋さんは、記事の通りサンデーうぇぶりなど、サンデーのデジタル面を主に担当されてきた方です。デジタル関連のお願い事で、かなりの回数メールでやりとりをさせていただいたのですが、毎回嫌な顔一つせず感じの良いやりとりで、速やかに対応してくださいました。とても良い方です。

両記事については記事そのものがしっかり書きこまれておりますので、通しでじっくり目を通されることをおすすめします。


毎度おなじみ鳥嶋節が読めるAERAの記事なのですが、記事中にAERA編集部作成の「週刊少年ジャンプの主なヒット漫画」という年表がありまして、これがなかなかよくまとまっていて良いなと思いました。特に、各ヒット作品の年次と媒体部数の相関は判り易くて興味深く、ジャンプの話をする際に使いやすい画像だなと思いました。

なお、界隈で来年鳥嶋さんはどこにいくのか?という話題がチラホラ聞こえてきておりましたが、結論的には白泉社相談役を退任され、同社顧問に就任されたようです。

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違法マンガサイトの月間アクセスが依然上昇中というニュースです。記事としてはデータを中間報告で出しているという位置づけの簡単なものです。しかし、あの漫画村の4倍ですかぁ。。。


先日募集をさせていただいた、漫画家のデジタル制作状況の実態調査結果が発表されました。漫画家と編集者の調査結果がそれぞれ出ておりまして、個人的感想はツイートにまとめております。

こちら、多くの方に調査のご協力をいただきました。回答や作家さんへの紹介などしてくださった皆様、誠にありがとうございました。


12/8(水)に主催させていただく配信イベントです。

マンガ・アニメのビジネスにおいて中東での実務経験者がビジネスイベントで語るというレアなイベントになっております。サウジアラビアにおける「マンガアラビア社」の設立や大手出版社の相次ぐ提携など、中東向けのビジネス展開は動き始めています。

このあたりをじっくりご紹介できるイベントになればと企画しました。アーカイブをする予定について今の所決めておりませんので、生配信お見逃し無きようです。

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