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【マンガ業界Newsまとめ】マンガ出版社15社協力「マンガアーカイブ機構」始動。紙漫画にあってデジタルに無い宣伝方法は? など|8/27-116

マンガ業界ニュースのおよそ週1まとめです。
マンガ業界向けイベントIMARTを運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、多くの方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。


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マンガアーカイブ機構関連ニュース

マンガの原画保存を推進 集英社、講談社など協力「マンガアーカイブ機構」本格始動

マンガアーカイブ機構、増田まんが美術館の大石卓氏が代表理事に就任 事業内容明らかに

漫画の原画、大手出版4社などが協力し収集・保管へ…美術館と協力し5年で36万枚

マンガ関連資料のアーカイブ強化を目指す「マンガアーカイブ機構」が本格始動。9月に公式ホームページをオープンし、マンガの原画収蔵等に関する活動を開始。マンガアーカイブ機構には、講談社、集英社、小学館など、15の出版社が加盟しているとのこと。

古くは、古書店・古物店などに、膨大な原画の扱いに困った漫画家が原画を販売して流出、所在が把握できなくなるなどの問題に端を発し、ある大御所漫画家の死をきっかけにその遺族に対する遺産相続・相続税問題なども発生し、希少な原画をどう扱うか紛糾した経緯などもありました。

今回は、大手4社を中心としたマンガ出版社15社、大学や美術館、文化庁や地方自治体など、産官学が連携しての取組をもって、原画の散逸、保存などへ取り組んでいくとのこと。

課題はこの保存技術やリソース確保、保存後のIP展開などです。

現在、原画保存の形態の中には、単純に保存するものから、慎重な作業を経て作品をデジタルアーカイブする取組などありますが、マンガのアナログ原画は、原画には写植がされてなかったり、トーンやホワイト修正跡が劣化するなど、経年劣化が多く見られます。その対策は個々の収蔵先が頭を悩ませているところです。

フルデジタル作画の場合、そもそも原画と言う概念が存在するのかと言う観点もあります。

また、保存するのは良いがその資金や場所、収蔵技術の維持や処置など、様々なリソースをどうするのか?という問題もあります。一部の収蔵先では、預かった原画を原画展や商品化など、いわゆるIP展開してビジネスを行い、収蔵コストを賄いながら、著者や遺族にも還元する取り組みなどにも取り組もうとしています。

それはそれで良い取組なのですが、全ての原画がIP展開できるかと言うと、作品の人気度合いや、収蔵原画の状態、遺族の意向などもあり、全てに幸せな将来が約束されているわけではありません。

そうした課題に産官学がどう取り組んで行くのか?財源としての財団設立や共通フォーマットの規格化、IP展開ともなればその事業化、プロデューサー育成や許諾フロー確立など様々な準備や整備が必要です。そうしたところへの難しい取組を、機構には期待したいところです。


WEBTOONの宣伝はどうすべき?最新事例と最適解

アナログマンガにあってデジタルマンガにないものとは?

*: このトピックは筆者が関係するIMARTの取組です。

8/23に、エスカレーターの手すりでWebtoonのプロモをしたことで話題になった、No9のころくさん、竹村響さん登壇、司会に新鋭ちゃんめいさんということで、Xスペースを開催しました。

多くの関係者の方に聞いていただいたようで、翌日には沢山のポジティブな反響を直接いただきました。この話題、単なるWebtoonの宣伝と言うことだけではなく、紙のマンガとWebtoonの宣伝はどう違うのか?それは「帯」という、そりゃそうだというか、コロンブスの卵的な竹村さんの指摘から、色々と盛り上がったとrこでした。

単純に、紙とデジタルだからそう違うということに留まらず、ビジネスモデルや、業務をするプレーヤーの違いなど、様々な差が浮き彫りになり、個人的には快心のトークだったなぁと楽しんでおります。

竹村さんからは、様々な事例ご紹介の捕捉などでnoteも書いていただきました。ありがとうございます!!

作品プロモーションに関係する方には面白い内容となっていると思います。音声アーカイブはあと9月中旬までは残っておりますので、是非聞いてください。


国内News

リブレ社が、pixivコミック内にて新雑誌「ピクリブ」を創刊とのこと。
新連載やコンテスト、ゆくゆくビーボーイレーベルのアーカイブ作品の掲載も始めるとのこと。これもレーベル・雑誌の新しい形ですね。


講談社のWebやアプリを、広告出稿先として活用したり、講談社作品を宣伝素材として提供するなど、積極的にIPまわりの広告利用を推進している同社「マンガIPサーチ」の記事です。

そもそもに、講談社の中で色の無い無色のWeb・アプリ媒体としてComicDaysが立ち上がり、2023年アイにはオリジナル連載が50本を超えるとのこと。広い世代をカバーする中で、効果的な出稿先となっているようです。なるほど。

また、風疹が世の話題になったら、関連する『コウノドリ』の無料話キャンペーンを行ったり、『宝石の国』の連載再開で、無料話配信枠を広げて提供するなど、反響を呼び実売にもつながったとのこと。

2本目の記事は、転スラのビジネス事例を紹介していますが、スーツや温浴施設にドンキなど、なんとなく作品に親和性の高そうな使われ方、イラストとなっており、上手いなぁと思わされます。作品性の維持や活用は大事ですよね。


こちらは小学館版の、いくえみ綾さんのコスメブランドコラボですね。
こちらはまた別の方向性で、トップのイラストの気合の入り方が凄いですね。一枚で語り切ってしまっており、これもしっかりマッチングしている印象が強いです。
こういうクオリティの宣材活用は、昔は少なかった気がしていまして、出版社のIP展開も次のステージに来ているところなのでしょう。


スターツ出版の増収増益文中にレーベル別の売上推移グラフがあるのですが、コミック関連レーベルの伸びが良く表れています。


学習マンガ、別けても韓国製学習漫画が日本でも伸びています。

朝日新聞出版の科学マンガ『サバイバル』シリーズは、国内累計1300万部(世界で2000万部)を発表、記事のマガジンハウス『つかめ!理科ダマン』。日韓で累計140万部を突破、世界文化社の科学マンガ『Why?シリーズ』も韓国発とのこと。

日本の学習漫画とどう違うのか、興味深いですね。


アフリカで読まれているマンガはフランス語(≒バンドデシネ?)で出来ているフランスマンガで、京都国際マンガミュージアムでその展示を実施とのこと。

経済規模・人口規模の割に、日本漫画があまり進出できてない2大地方がありまして、一つが中南米のスペイン語圏、もう一つがこのアフリカのフランス語圏です。

中南米は北米で英語からスペイン語化されたものが展開されたり、ポルトガル語圏最大のブラジルは、そもそも日本作品に最初から強い関心があったりという地政学的・歴史的経緯はあります。

ただ、アフリカは経済圏的にも日本からは遠いのですね。最も接点として強いのは、パリのJAPANEXPOあたりがポイントだと思うのですが、アフリカで日本のコンテンツが支持され、集積して展開している例はなかなかありません(スポット的にはあります)

その日本コンテンツの鬼門、アフリカマンガの展示で、バンドデシネみたいに高精細なものというよりは、アメコミタッチに近いですかね。興味深いです。来年2月までやっているそうで、是非一度チェックしたいですね。


これはニュースではないのですが、今週漫画家・編集者界隈で話題になったsho-comi編集長畑中雅美さんの一問一答です。グッときます。


こちらも話題になった、元マンガワン編集長の石橋さんのWebtoonに関するツイートです。読み応えがあります。


今週のWebtoon新規参入・新たな動き

J-MANGA CREATE社によるプレスリリースで、Webtoon制作の受託サービスのリリースなのですが、中国に制作現場となる子会社を固定でもっており、そこで制作受託をするとのこと。共同創業者/JMCスタジオ統括に浜田ブリトニーさんがいるそうです。

特にWebtoonのスタジオ制作においては、海外のアニメやゲームの制作下請けスタジオなどに作画などを外注することは良くあると思うのですが、最初から海外に制作拠点を固定でもつというのは思い切っているなと思いました。


先行して少年サンデーで横漫画を連載、後から並行してLINEマンガでWebtoonを連載し始めているYLABの『スーパーストリング』ですが、毎日新聞で比較記事を書いています。そういえばありそうでなかったですね。

龍的な巨大キャラの登場シーンを比較していますが、見せ方の違いが興味深いですね。


広告出稿でかなり広がっている『小悪魔教師サイコ』ですが、Webtoon化するようです。ネットに強い横漫画の縦化ですし、この後の広告展開も含めてどうなるのか注目ですね。


ジャンプTOONのWebtoon制作入門が複数コンテンツ化されています。ジャンプからこうした発信がされるのは強いですね。


Webtoon原作で、ディズニープラスで実写化された『ムービング』ですが、今週大量に様々な場所で日本語で記事になっています。

実は数週前から英語などの多言語で、ムービング関係の記事が大量に出稿されていました。今週からは日本でも仕掛けていくというところでしょうか。内外のNews見てる回っていると、そうした一連の仕掛けがなんとなく感じ取れたりします。

それにしても、韓国のマーケティングはそうしたことを愚直にしっかりやりますね。ちゃんと売るための作業をしていて偉いなと思います。


海外News

タイトル:Momo Film と Bros Studio がケナズのウェブトゥーンをシリーズ化するために提携

NAVERでもカカオでも無い韓国の第3勢力、KENAZの作品がシンガポールの制作会社によりアニメ化されるとのこと。先日AppleでWebtoon独占配信を発表した同社ですが、第3勢力でももうここまで海外展開するのですねと。


タイトル:アマゾンがウェブトゥーン市場に参入

ともに、アマゾンがWebtoonに参入と言う記事なんですが、一本目はアメリカ、二本目はイタリアの記事です。このイタリアのメディアは先日、ジャンプがWebtoonに進出するという記事も書いていて、アンテナ高いです。


アニメ化済の「Tower Of God」の第2期はいつかね~?という記事なんですが、英語ですけどインドメディアの記事です。

インドにイタリアと、今日も元気にWebtoonの記事は世界中に配信されています。


AI・画像生成関連

よりAIとの親和性の高い業界であるゲーム業界からのAIの話題ですが、先週末に開催された業界イベントCEDECの中で、生成系AIの問題と可能性について語られています。


2010年代前半に、インターネットによる情報が爆発がったと言われていますが、生成AIによる画像爆発は、1年で訪れたようですね。


Appleも生成AIに進出とのこと。iphoneにダイレクトに載る感じは強そうです。


そのiphoneだけで作られた動画とのこと。もう驚かなくなりましたけど、クオリティが日進月歩で上がっていく感じですね。


こういった、ハードウェアの適応も進んでいくのですね。やたらとサイバーですねw


今週のセール・キャンペーン・新人賞

ー拾えたものだけですが

https://bigcomics.jp/special/0819_manganuma


記事のみ紹介


告知関連

インプレス社が『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。

本書発刊にあたり、私からの紹介で本書を著者割引10%で販売できます。本noteご覧の皆様にはコードをお送りいたしますので、私の連絡先をご存じの方はご連絡ください。または、こちらの私の個人会社問合せフォームか、Twitter(X)のDMも解放しましたので、ご都合の良い方法でご連絡ください。


購入時に送付先など入力していただくことになりますので、私へのお問合せの際は匿名でも構いません。クローズでメッセージさえいただければOKです。主に法人向けの高価な本とはなりますが、よろしくお願いいたします。



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主に週末に週1更新ペースで書いています。たまに別途特集を書きます。マガジンTwitterのフォロー、よろしくお願いします!

現在私は、マンガ編集部やWebtoonスタジオが自社で作品の販売をできるWeb雑誌の仕組み、「コミチ+」の営業をしています。

コミチ+は、来年に向けて大手出版社やWebtoonSTUDIOなどの大型受注を複数控えておりまして、絶賛エンジニア、Webディレクター(運用担当・データアナリスト等)などを募集中です。サービスがどんどん大きく広がっていく、これから滅茶苦茶楽しくなっていくタイミングです。一緒にやりませんか!私も力を出し切るつもりですし、一緒に働く方には私の持ってる知識や人とのつながりを最大限提供したいと考えています。詳細は以下より。

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