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【マンガ業界Newsまとめ】コミックスマート28億円資金調達、夏コミc104閉幕2日間で26万人来場 など|8/12-164

マンガ業界ニュースの週1まとめです。
マンガ・アニメの業界カンファレンスIMARTを主催するMANGA総研代表の筆者が、マンガ・Webtoon関連のニュースを、ビジネス系を中心に、短時間でチェックしていただけるようにまとめています。

来週8/18は、ニュースが少ない週であることも予想され、お盆休みを取らせていただく予定です。

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コミックスマート、シリーズAラウンドで総額28億円の資金調達を実施

マンガアプリ「GANMA!」を運営するコミックスマート社が、複数VCから28億円の資金調達を行いました。調達目的は以下です。

コミックスマートは今回調達した資金によって、より魅力的なクリエイターが集うスタジオ環境への投資を積極化し、多くのお客さまへ優れたエンターテインメント体験を届けることで、マンガ、アニメ、ウェブトゥーンによるヒットIPを創出し、日本国内ならびに海外での強固な事業基盤を確立してまいります。

コミックスマート社プレスリリースより

GANMA!編集部は運営開始から約10年、筆頭作品の『山田くんとLv999の恋をする』は、2023年4月にアニメが放映され、作品は450万部を超えるヒットとなっています。

今から10年前、2014年の電子コミック黎明時代に大手企業から4つの新たなマンガアプリがスタートしました。

今年、親会社のWEBTOON Entertainmentが米国NASDAQ市場に上場した「LINEマンガ」、DeNAの運営で始まり、現在はTBSグループ傘下にある「マンガボックス」、韓国ゲーム大手のNHNから生まれたcomico、そして大手ネット広告代理店セプテーニグループの中から生まれた「GANMA!」です。

この4社はそれぞれ、10年経った現在もそれぞれの強みを活かした運営を続けています。中でも、LINEマンガでは『先輩はおとこのこ』GANMA!では『山田くんとLv999の恋をする』と、自社生え抜きの立上作品で、アニメ化にまで至ったヒット作品を擁しています。

コミックスマート社は、元々セプテーニグループ内で現代表の、佐藤光紀氏が立ち上げた事業です。2023年12月にセプテーニHDが持つ株式56.8%が複数のベンチャーキャピタルに譲渡されることで、グループの連結対象を外れ同グループ持分法適用関連会社となっていました。

今回の資金調達を経て、より独立独歩した佐藤氏のもとでの体制となっていく思われます。謡っている調達目的の通り、エンタメ企業としての基盤を強化していくのでしょう。

マンガの他にも、Webtoonやアニメにも注力していくとありますので、出版社が新しく出来るというよりは、今時で言うCP(Contents Provider)が、より強化されるという見方が出来るかなと。

個人的には、まだブランド名も公表されて無かった10年と少し前に、立上げ担当者のKさんと顔合わせをして以来、イベントを共催するなどのお付き合です。10年かけて基盤をがっちり作ってこられたんだなぁという感慨があります。

第2段階へ進まれたということなのだと思います。
おめでとうございます。


夏コミC104 2日間で26万人来場

今年も大層暑かったでしょう、参加者の皆様お疲れ様でした。

これから記事も出て来ると思いますが、このタイミングだと、x(Twitter)で、「C104」「コミケ」と検索すると、様子が色々判ってようございます。

この夏コミは大過なく終わった様子で、なによりでした。

このタイミングで東京新聞のコミケ特集の更新がありました。
この特集そのものはだいぶ前からやっているのですが、この一覧で言うと第5部以降が、今回更新されているようです。

このあたりなど、記事タイトルとしてはキャッチ―ですが、知財周りでは著名な福井健策弁護士がコメントするなど、さすがちゃんとしています。


KADOKAWA:ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせ

他、関連記事

ランサムウェアによる個人情報漏洩数が、20万人にのぼったこと、悪質な情報拡散行為の件数が、1000件弱に上ったことなどが開示されています。

各種サービスは復旧に向かっているとのことで、ニコニコ漫画のPC版も復活したようです。


国内News

「旧ComicWalker」から、「カドコミ」にリブランディングしていた、マンガ配信アプリ・Webサービスですが、これをそのままアプリオリジナル作品の刊行レーベルとしても「カドコミ」とするとのこと。こうなると、書店などでもわかりやすいレーベル名ですね。


先週、特定ジャンルの一部作品の決済差し止めが話題になったとらのあなですが、コミケ直前のこのタイミングで、Visa/Mastercardブランドのクレジットカード決済を12日いっぱいで停止すると発表。「Visa、Mastercardクレジットカードの利用を停止せざるを得ない状況となった」と説明しています。

これはしかし、決済企業側から一方的に通達されてしまうと、どうしようもないのかなとも思います。対処方法が、現時点では思い浮かびませんね、拒否したところでどうなるものでもないでしょうし。

3つ目の新潮の記事では、国内唯一の決済大手「JCB」の広報の見解なども記載されています。ただこの記事、ちょっと広告がうるさいです。

この問題は、一企業でどうなるものでもなく、有効な手段をどう模索していくか、難しい所かと思います。


いくつかのエンタメ関係企業から四半期や期末などの決算情報やの情報が出ています。


海賊版サイトの話題です。2つ目の記事は、海賊版の撲滅により、紙の書籍の売上向上もあったということで、興味深い記事です。海賊版対策は、海外各国や各ローカル出版社、書店、そして政府や警察機関などの連携が重要です。こうした、実効を算出しながら、各方面に働きかけていくことが重要になるでしょうね。


個人的には、マンガづくりや販売を事業として捉えると、自作IPのために作家さん自身が投資や事業をやることは、良いことではないかなと思います。皆が出来るというわけではないですけども。


夏目房之介さんは、文豪夏目漱石のお孫さんです。
話題になっている「ビッグコミックオリジナル」は、創刊50周年を迎えていますが、本誌「ビッグコミック」とともに、高齢の方、今だともう60代以上の世代もターゲットにする稀有な媒体です。この系譜もこれからどうなっていくのでしょうね。


アニメーションスタジオが集まる武蔵野市吉祥寺で「ANIME FANTASISTA JAPAN2024」が行われました。

映画「ルックバック」の押山清高監督と同作アニメーターの井上俊之さんなど、かなり深いところのトークセッションがおこなわれたようです。


Webtoon関連

CCC傘下のWebtoonスタジオSZ Mediaが、めちゃコミで配信した『略奪婚』が、開始3か月半で売上1億円突破とのこと。国際Webtoonで1億円の声を聞く作品も増えてきましたね。見る限り、縦横問わず、こうした単独プラットフォームでの大台突破作品がだいぶ増えたように思います。


WEBTOON Entertainmentの米国上場に伴い、その子会社で、LINEマンガを運営するLINE Digital Frontierの高橋社長のインタビューのようです。

高橋氏としては今後の目標として「日本のクリエイターがグローバルの読者に対ししっかりと作品を提供していけるクリエイターファーストのマーケットを作る」ことを一つとしてます。

まさにそうですよねー。Webtoonの潜在的魅力ですし、LINEマンガとしてど真ん中の役割になると思います。頑張っていただきたいところです。


海外News

タイトル訳:WEBTOON Entertainment Inc.、2024年第2四半期の好調な業績を発表

WEBTOON Entertainmentの第2四半期決算が好調とありますが、読み込むとLINEマンガの成長が11.5%と、日本市場が変わらず大きく影響していますね。


タイトル訳:[ウェブトゥーンのグローバル化 3] 台湾作品の国際市場参入は、ウェブトゥーン制作の商業的可能性が複利効果ももたらすことを証明

こちらは台湾の記事なのですが、既に台湾発で50以上のWebtoonがLINEマンガ台湾から海外へ展開しているとのこと。新しい流れですね。


タイトル訳:伊藤潤二ファンがこのホラーアンソロジーWebtoonを読むべき理由

米国でカルト的人気を誇り、その影響でNetFlixで映像化されるほどの伊藤潤二ホラーですが、そこから繋げて「Webtoonだとこれがおすすめという記事」です。なるほどそう来ますか。

個人的には、若い頃にその伊藤潤二作品を先述の夏目房之介さんの記事にあるビッグコミック系で読んでいたんですよね。不思議な感覚です。


libroさんの北米エンタメニュースです。今週も盛り沢山。

タイトル訳:CrunchyrollはZ世代と予約制アニメ視聴のおかげで繁栄しているとCOOが語る

クランチロールで『怪獣8号』などのアニメがZ世代に見られているという記事です。このサービスが、若い世代へのドアノックになってるのですね。NetFlixの実写の影響で、『ワンピース』のアニメも見られるようになったとか。なるほどー。


タイトル訳:カートゥーンネットワークのウェブサイトが閉鎖、ワーナーブラザーズディスカバリーが訪問者をマックスに追い出す

ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーは、運営していたcartoonnetwork.com の全コンテンツを、別サービスであるMaxに移管して一気に有料化したとのこと。これ、割と大変なことになりそうですが、その後どうなるのかしら。


ドイツの、ドコミでもブックフェアでも無い別イベント。3.5万人とのこと。結構色んな人が日本から行ってます。伊藤潤二さんもいったとか。


タイトル訳:サンディエゴ・コミコン:あらゆる行き過ぎの大会に参加したが、ほとんど立ち直れなかった

タイトル訳:サンディエゴ コミコン 2024 最大のマーベルニュース

タイトル訳:ウィル・アイズナー スピリット・オブ・コミック・リテーラー賞 2024 受賞者

サンディエゴ・コミコンの記事が引き続き色々出ていました。個人的には3つ目のコミックショップ(もとはアメコミ専門店、今はマンガも売る)のアワードが興味深かったです。こういう取組をIMARTでもやりたいです。


タイトル訳:コミコンの性的人身売買摘発で14人が逮捕され、10人が救出される

この記事が、なんなのだろうと目を引きました。良く読んでも具体的なことがわからないのですが、深刻な悪徳業者オフパコみたいな感じなのでしょうか。恐ろしいですね。


AI・画像生成関連

ペイウォールがあるので全部読めませんが、ご勘弁いただきたい話ですね。記事がじゃなくて、海外からの日本の見方という意味で。


最近話題になった、一連のAIマンガ周りについて、まとまっています。


今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等

ユーザーレビューじゃなくて、ユーザー推薦文施策。なるほど。


記事のみ紹介


告知関連

この刃牙キャスティング写真やばいですね。

このすがや先生の本はAIの本では無く著作権実務の本です。
ジュンク堂池袋のイベント、私も参加予定です。

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