【マンガ業界Newsまとめ】NAVER WEBTOON米国上場に様々な影響、シーモアで新レーベル続々 など|2/24-142
マンガ業界ニュースの週1まとめです。マンガ・アニメ業界向けイベントIMART(https://imart.tokyo/) を運営する筆者が、動きの早いマンガ業界・Webtoon界隈のニュースを出来る限り一か所に集め、マンガ業界の方が短時間で1週間分の情報をチェックできることを目指しています。
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NAVER WEBTOON、早ければ6月に米国上場
NAVER WEBTOONが、主幹事証券ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーという強い座組で、今年2024年の夏には米国証券市場NASDAQに上場というニュースが先週から報じられ始めました。
*: 海外ニュースが続きます。自動翻訳等ご利用ください
タイトル訳:ウェブ漫画プラットフォーム、米国夏のIPOで40億ドルの価値に注目
これに対し、金融誌ブルームバーグでも時価総額40億$(6000億円)とのことで報じています。紹介する中でも、最も堅い金融業界筋の記事です。
この件で、様々な影響やが出ていることが記事になっています。
タイトル訳:低迷していた株式市場の劇的な好転…ネイバーが助けてくれました。
Wi-Lab、DNCメディア、Kidari Studioなど、複数のWebtoonSTUDIOが韓国市場KOSDAQに上場していますが、最近はこの株価が低迷したようです。これが、今回のNAVER WEBTOON上場のニュースで株価を上げているようです。
タイトル訳:ネイバーウェブトゥーンのナスダック上場計画は賛否両論
一方で、グループの長となるNAVER本体の株価は低迷を続けていたとのこと。
また、2022年~23年にかけてWebtoon業界の業績があまり芳しく無く取引量が低下し、今回の評価額40億$(6000億円)というものも、NAVER本体の3兆円を超える時価総額に対してインパクトが低いとみているようですね。
海外でブームのKウェブトゥーン···「マンガ強国」日本にまで影響力拡大
また、こちらの記事によると、
「2023ウェブトゥーン実態調査」によると、Kウェブトゥーンの海外輸出全体比重で日本は半分に近い45.6%を占めた。
とのこと。KakaoとNAVERの違いはあれど、今回の米国上場には韓国Webtoon勢の日本での売上も大きな影響を与えていそうです。
タイトル訳:韓国のウェブ漫画アプリが日本で成長、年間取引額は6億6,500万ドルに達する
先月日本でも報じられた、日本のカカオピッコマ売上が年間1000億円を超えたことを韓国でも報じていました。
韓国目線で見ると、日本での売上もしっかりあげないとというところですが、同時に脱日本というか日本以外のよりエンタメ市場の大きいところで、Webtoonの存在感を伸ばしたいところでしょうね。
それにしても、こうして海外企業がマンガやアニメに近接するところで、米国上場などをする様をリアルタイムで眺めていると、日本企業からも米国上場するような会社が出てきてくれたら、、、とも思ってしまいますね。
各社新レーベル立上げが続く
KADOKAWA-「コンプエースコミックコネクト」
文藝春秋コミック編集部-「Seasons」
光文社-「シーモア×ポタージュ」
KADOKAWAは、コンプエースのWeb版で『オーバーロード』の新章が始まるようです。
文藝春秋は新設が伝えられていたコミック編集部からの新媒体で、こちらもシーモア上で開始されるようです。国内最大のテキストメディアサイト「文春デジタル」を抱える同社ですが、レーベルをこのサイトとは別にシーモア上に置いたという点は、狙いがあるように思います。
そして、光文社も伝えられていたコミック事業の取組として、同じくシーモア上に新たなレーベルを立てるようですね。作風は女性向けのようです。
「マチ★アソビ」“今春は民間主導で開催を”徳島 後藤田知事
端的に言うと、知事が変わり、運営側に色々ありもし、これまでマチ★アソビを主導していたufotableを外し、対象顧客もマンガ・アニメファンや業界人みたいな狭い範囲ではなく、一般の人を呼ぶようなイベントにする。
ということなんですが、阿波踊りみたいな昔から続く価値あるイベントじゃないんだから、今時そんな無味無臭のイベントをやっても、どうにもならないでしょうと。実際にマチ★アソビに関わった方々内外から声が聞こえる1週間でした。
私も行政の仕事は良くやっておりますので、こういう首長や行政幹部人材のすげ替えによる諸行無常な方針変更は経験してきているのですが、それにしてもマチ★アソビはもったいないですねぇ。あれは、奇跡の調和でできた良いイベントでしたのにと惜しむわけです。残念。
『セクシー田中さん』関連ニュース
今週も沢山の関連ニュースが出ました。
特に、最初の2つ、小学館原作作品の映像化見送りというニュースは実務への影響がダイレクトに出たものですね。
引き続き、先週発表された日本テレビが小学館協力のもとで行う調査の報告待ちが続くところかとは思います。
国内News
版権収入が内外で上がり、一方投資期のKMANGAなどのコストが、営業利益に影響を与え、売上は下げてないというところでしょうか。
2つ目の日経の記事ではコミックが落ちてるとあり、紙かデジタルかどちらか判然としないですが、大ヒット作のあった翌年かつコロナ先食い後を、版権収入でカバーしたともいえそうです。
KADOKAWAが「先行読書サブスク型サービス」「カクヨムネクスト」を開始とのこと。同グループ内のBOOK☆WALKERでもラノベ等を多数入れたサブスクサービスを行っておりますが、それとは別にラノベのサブスク展開ということのようですね。
先述のBOOK☆WALKER上のサブスクサービスが、他社に比べ大胆な展開をしてきたと思いますので、ちょっとこの狙いが読みにくいところですね。カクヨムは、近年に利用者数を急造させており、作家獲得かなにかか、販売のみなら無い別の狙いがあるのやもですね。
より突っ込んだ目線ですと、Web小説サイトを「はてな」と共同開発とありますが、はてな社はマンガビュワー(文字ではなく)に実績のある会社で、最近BOOK☆WALKERが取り込んだ旧アクセス社の「PUBLUS(パブラス)」のほうが、文字物(EPUB)ファイルの実績があるのではなかろうか?など、今の所良くわからないところも多く、実際どんなサービスになるのか続報やローンチを待ちたいところです。
国内の紙書店が苦しい中、2023年決算を15年連続で黒字決算で最高益も出したという紀伊國屋は海外に42店舗を展開し海外事業が好調です。そんな中で、その海外店舗を「本屋から日本屋」へという掛け声は面白いですね。国内の各県物産店の海外版というようなイメージを持ちました。
特に米国は日本の紙コミックが好調と言いますし、各国で日本・韓国の漫画の紙展開が広がっている中で面白い存在です。小説やビジネス書の英訳展開なども期待できるのではないでしょうか。
メディアドゥグループMyAnimeListは、英語圏を中心に1800万人の会員登録を持つ巨大サイトで、世界のアニメ・マンガトレンドを知れるデータベースとなっています。
このデータを持って、データアナリスト向けの分析環やマーケティングレポートを行うプランが用意されたようです。
続く「エンタメビジネス全史」著者中山淳雄さんの記事は、そのデータベースをもってのトレンド分析の記事で、2023年にファンの増加率が一番だった作品は『鬼滅の刃』を抑えて『推しの子』が一番だったとのこと。そうしたことがわかるわけですね。
紙雑誌から電子書籍へのデジタルシフトが難しそうな児童向けの漫画誌ですが、コロコロはその辺り克服して、新しいヒット作品を作っています。その中で、Youtubeやコロコロオンラインを通じて登録者数がすごい勢いで増えているグラフが見ものですね。
ちなみに、こちらも記事も書いている中山淳雄さんは、そのコロコロの動画施策の一翼を担うplott社の社外取締役もされているので、この辺りかなり詳しい記事になっています。
Webtoon関連News
映像制作の東北新社からは、初のWebtoon作品提供開始です。ちなみに、WEBTOONという全て大文字の表記は、NAVERが商標を持つ同サービスの表記に近すぎるので、一般名称と言えるかどうか微妙で、注意が必要です。
studio73からは、新レーベル「マサロメリア」での初作品がリリース、Bookliveも「ブックライブfun」独占先行で『地獄猫のグルグルギータ』が配信開始です。妖怪漫画ということで独特のタッチのWebtoonになっており、ユニークですね。
新設媒体のMANGA Watchから、かなり作り込まれた記事が2本出ています。
1つ目の記事は現状のまとめとしては、丁寧に作られていると思います。
2つ目の記事、まだ数の少ない国産Webtoonの注目作記事ですね。こういったものもこれから沢山出て来るのでしょう。ここでの作品チョイスを見ると、こういうところに『神血の救世主』が入ってくるのは、当然の流れみたいになっていきそうです。
これまでのマンガ業界ですと、成功の起点は作家や編集者で、そのうえでアニメの座組が、、みたいにヒットを深掘りしていたところが、こういうトータルプロデュースの話がいきなり出て来るのが、Webtoonっぽいサービスだなと思いました。
海外News
*: 外国語の記事が続きます。自動翻訳などご利用ください。
タイトル訳:2023年秋北米マンガ販売ランキング
1位に白泉社の『ベルセルク』6位に伊藤潤二さん8位に『進撃の巨人』とあり、それ以外全部ジャンプというランキングになっています。強いですけど、気を吐く存在も光りますね。
タイトル訳:ICV2 インタビュー: VIZ MEDIA のケビン・ハムリック氏、漫画の売上動向、チャンネル別、アニメ別、デジタル別の違いについて語る
好調に推移した北米の日本漫画ですが、2023年は2割くらい落ちるかも、、という記事です。
タイトル訳:カカオエンターテインメント、違法ウェブトゥーン、ウェブ小説配信業者を記録的に取り締まる
2億以上のサイトURLをダウンさせたとのこと。力技が凄い。
タイトル訳:リディ、グローバルウェブトゥーン購読サービス「マンタ」でフランス語をサポート
韓国WebtoonプラットフォームのRIDIが、自社サービス内でフランス語のサポートを開始とのこと。NAVERやKakaoを追いかける形ですね。
タイトル訳:TacoToon は、新しい Webtoon スター Brandon Chen による VoyceMe の新しいタイトルを発表します
イタリアのWebtoonアプリTacoToonのニュースです。米国Webtoonをイタリアで売り出すとのこと。売るも作るも当事国が増えて行きますねー。
タイトル訳:マクドナルドはWcDonald'sでアニメファンに(再び)求愛中
今時のIPとしてのマックは「ワクドナルド」というそうです。絵がポップで今時です。
今週も、私の拾えないニュースを沢山参考にさせてもらいましたー。
AI・画像生成関連
クリスタのセルシス社ですが、2つほどAI関連でニュースが出ています。
ひとつが、「データセットがクリーンなものしか使わない」とのことで、当面クリスタにはAIを載せないとのこと。
その一方で、AIに強いアクセル者と資本業務提携を結ぶとのこと。
AIに強い企業と組んで、独自の仕組みをしっかり作り込んでいく姿勢を読み取りました。
タイトルが面白かったんですが、出来れば漫画家が作品作って、AIが確定申告してくれる未来が良いですね。
先週から話題になった動画生成AIですが、この動画はやたらと味わいがあるなと思いました。
今週のセール・キャンペーン・新人賞、取組等
こういう特集の観点もあるんですねぇ。
記事のみ紹介
告知関連
これ見ると、えなこさんが人気なのもわかりますねぇ。
トリケラトプスの構え。
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主に週末に週1更新ペースで書いています。原則日曜、月曜以降が休日の場合は、週初めの平日の全日公開にて。たまに番外編も書きます。
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今年2023年11月24日~26日に、第4回IMARTというマンガ・アニメの国際カンファレンスを開催しました。
基調講演に鳥嶋和彦さんを迎え、マンガ・アニメの現場から22のセッションやピッチが行われました。
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インプレス社『電子書籍ビジネス調査報告書2023』のWebtoonパートの執筆を担当させていただきました。
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