初めて飼った犬が、いなくなった日のこと。

明け方、サブが亡くなった。
朝起きたら旦那さんが
「サブが死んだ」と言っていた。
リビングのソファで静かに泣く
旦那さんの気配を感じて
やけに冷静になっていた。

今から約6年前、旦那さんと出会って
サブと出会った。
社会人1年目の男子の一人暮らしには
似つかわないけれど
旦那さんに飼われていたそのトイプードルは
ひどく臆病な犬だった。

恋仲の男女はその後夫婦になり
娘が生まれるまでの約2年半、
サブと私たちは一緒に過ごした。

私はたったの2年半だったけれど
15年を共にした旦那さんは
ひどく落ち込んでいた。
それが分かっていたから、
気丈に振る舞っていた。
達観したように。

朝から心のどんよりが晴れなくて
Ed SheeranのSupermarket flowersを
聴いてみる。
ハレルヤ。
サブ、そっちの世界はどうだい?

カメラロールで「犬」と検索してみた。
2015、2016年あたりの写真たち。
けむくじゃらのサブがいた。

サブと、旦那さんと、私。
2人と1匹が過ごした時間が確かにあった。

サブは臆病だったから、
それゆえ凶暴なところがあった。
私たちは3人と1匹で暮らす選択肢を
選ばなかった。

娘が産まれてから交代するように
義実家に帰って行ったサブ。

娘と、旦那さんと、私。
気づけば3年の月日が過ぎて
2人と1匹の日々は記憶から遠ざかっていた。

カメラロールに埋め尽くされた犬を見て
涙がこみあげてきた。
サブがいなくなってしまったからだけではない。

悔しいけど時は前にしか流れないから
どこかのアーティストが歌っていたけど
もう戻らない時間軸上を進んでいることを
実感して泣いた。
突っ伏して泣いた。

サブ、かけがえのない時間をありがとう。
涙にくれた時間、確かに意味のある日々を
歩んだことを実感していたよ。
旦那さんに出会って、あなたに出会って
私の最後の惚れた腫れたの時期を、新婚の時期を
共に過ごしたことを忘れません。

またいつか、会おうね。
どうか、安らかに。

2020.5.29
Rest in Peace 三郎

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