【場の理論】生成汎関数の指数の肩には連結グラフのみが現れる

修論書いてたら自由エネルギーが連結グラフの和で表されるのってなんでだっけ、となってしまったのでメモ。坂本場の量子論(II)を参考にしたのでここよりそっち見たほうが早い。

導出

導きたい式

$$
\displaystyle  \frac{Z[J]}{Z[0]} =\exp\left( \sum_{j=1}^{\infty} \frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right )
$$

ここで$${Z[J]}$$はソース$${J}$$の生成汎関数であり、$${\mathcal{C}_{j}}$$は連結グラフで、$${S_{j}}$$はそのグラフの対称因子である。生成汎関数は次のように定義する。

$$
\displaystyle Z[J]=\int \mathcal{D}\phi\exp\left[i\int d^{4}x \mathcal{L}(\phi)+J(x)\phi(x)\right]
$$

$${n}$$点Green関数は$${\phi_{i}:=\phi(x_{i}),J_{i}:=J(x_{i})}$$のようにおいて

$$
\displaystyle G(x_{1},...,x_{n})= \frac{1}{Z[0]}\int \mathcal{D}\phi\,\phi_{1}...\phi_{n} e^{i\int d^{4}x \mathcal{L}(\phi)}= \left. \frac{(-i)^{n}}{Z[0]} \frac{\delta }{\delta J_{1}}... \frac{\delta }{\delta J_{n}}Z[J] \right|_{J=0}
$$

である。
次に生成汎関数のうちソースに関わる部分をTaylor展開し、Green関数を用いて書き換えることを考える。まず

$$
\displaystyle   \frac{Z[J]}{Z[0]}=\frac{1}{Z[0]}\int \mathcal{D}\phi \left[\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}\left(i\int d^{4}x J(x)\phi(x) \right)^{n}\right] e^{i\int d^{4}x \mathcal{L}(\phi)}
$$

と書ける。ここで

$$
\displaystyle  \left( \int d^{4}x J(x)\phi(x) \right)^{n}= \int d^{4}x_{1}...d^{4}x_{n} J_{1}\phi_{1}...J_{n}\phi_{n}
$$

と略記している。これを考慮していい感じに中身を並べ替えると

$$
\displaystyle \frac{Z[J]}{Z[0]}=\frac{1}{Z[0]}\sum_{n=0}^{\infty} \frac{i^{n}}{n!}\int d^{4}x_{1}...d^{4}x_{n} \int \mathcal{D}\phi \, \phi_{1}...\phi_{n} e^{i\int d^{4}x \mathcal{L} (\phi)}J_{1}...J_{n}\\
 \qquad =\sum_{n=0}^{\infty}\frac{i^{n}}{n!} \int d^{4}x_{1}...d^{4}x_{n}G(x_{1},...,x_{n})J_{1}...J_{n}
$$

この表式においてGreen関数の端点$${x_{j}}$$は$${J_{j}}$$をかけて積分されているためFeynman図でによって展開した場合に各グラフの端点は区別されない。また、非連結グラフは連結グラフの積で表すことができるので、一般の次数におけるFeynman図は、連結グラフの積と対称因子を用いた形で表せる。ここでの設定では$${j}$$番目のグラフが$${n_j}$$個ある場合、それらは区別がつかない。したがって、一般のグラフは

$$
\displaystyle  \prod_{j=1}^{\infty}\left[\frac{1}{n_{j}!}\left(\frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right)^{n_{j}} \right]
$$

と表す事ができる。ただし、すべての$${n_j}$$が0のとき1と定義する。Feynman図の展開ではすべての$${n_j}$$について足し合わせるから

$$
 \displaystyle \frac{Z[J]}{Z[0]}=\sum_{n_{1}=0}^{\infty}\sum_{n_{2}=0}^{\infty}...\prod_{j=1}^{\infty}\left[\frac{1}{n_{j}!}\left(\frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right)^{n_{j}} \right]=\prod_{j=1}^{\infty} \left[\sum_{n_{j}=0}^{\infty} \frac{1}{n_{j}!}\left(\frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right)^{n_{j}} \right]
$$

総乗の中身は指数関数になるので結局

$$
\displaystyle \frac{Z[J]}{Z[0]}=\prod_{j=1}^{\infty} \left[\exp\left(\frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right) \right]=\exp\left(\sum_{j=1}^{\infty} \frac{1}{S_{j}}\mathcal{C}_{j}\right)
$$

のように肩の部分には連結グラフのみが現れるような形式で書き表せる。

自由エネルギーとの関係

統計力学では自由エネルギーは分配関数についてそのまま対数を取ることで得られた。ここで経路積分で表された分配関数の表式を見ると分母には$${Z[0]}$$がいる。これは、ソース(外場)$${J}$$が存在しないことを表し、すなわちこの部分によって真空泡グラフが打ち消されることを意味する。したがってこの式の対数を取ることで自由エネルギーを得られる。よって、自由エネルギーは連結なFeynman図の和で表される。

間違いがあったら教えてほしい。


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