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ツノがある東館 毎週ショートショートnote

「ツノ出せ! ゴラァァ! おとこみせぇ!」

朝もやにじっとりとした空気を切り裂くようにヒロシの声が響いた。

ヒロシは知っていた。この東館には今の時代にはお目にかかれない『漢』が集まると。

そしてそれはヒロシが憧れていた姿なのだ。

漢の中の漢は普段はさして動かない。

ジタバタすることはない。しかし動くべき時は動く。その全身を使って事に当たるのだ。

傍から見ればそれはゆったりとしている。

しかしやるときはやる。殻に閉じこもったままの根性なしではない。

本物だ。

だから、ヒロシは叫ぶ。

今がその時だ。漢を見せろ。

お前のその秘めた強さを、ツノにも見立て、今こそ目の前の敵を倒すんだ。

「いけぇ!ツノを出せ!」


「ヒロシ!朝っぱらからうるさいわよ。せっかくいい温泉旅館でのんびりしてるのに」

「いや、ほら、見て、かあちゃん、ほら、カタツムリ同志がケンカしてるんだよ」

「あほかいな、お前な、それはツノみたいやけど眼がついてんの」

「なんやガンとばしてたんか」


完410(ルビ含まず)


ツッパリ・ハイ・スクール・ロックン・ロール(登校編)
横浜銀蝿


たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「ツノがある東館」に参加させていただきました。
「一行目で惹きつけろ」? ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!
え? いつもお前がふざけとるやろって?
申し訳ございません……


新連載中です。暇で暇で仕方ない時、う〇こでもしながら読んでね~~~
根性なしが主人公で~~す。

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