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ケケケのトシロー

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うだつのあがらないサラリーマン人生を終え、現在は時給1070円で働くトシロー。家族は妻と娘が二人。収入が減少してますます家庭の中での存在感をなくす一方で彼は小説家を目指すも、才能… もっと読む
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記事一覧

ケケケのトシロー 17 

(本文約3500文字) 「先生、何があったんですか。ベストセラー作家が急に出家されてしまった…

ケケケのトシロー 16 

(本文約2740文字)  瀬戸内海小豆先生は言わずとしれた大作家である。数多くの文学賞を総な…

ケケケのトシロー 15 

(本文約2300文字)  キダローはカズを呼び戻したあと、またゴソゴソと長持の中を探り、ほぼ…

ケケケのトシロー 14 

(本文約2560文字) 「さあ、こっちへ来い」  キダローは俺とカズを例の物置の中へ手招きす…

ケケケのトシロー 13 

(本文約2500文字) 「権藤会言うたら、大きな反社のとこやろ? カズ君もそこにおるんか?」…

ケケケのトシロー 12 

(本文約3780文字) 「あんたー! 来てはるでー」  真由美の呼ぶ声に俺はキーボードに『あ…

ケケケのトシロー 11 

(本文約2600文字)  俺はつぶれたゴキブリをじっと見る。普段、真由美が台所で『出た~Gや、G! あんた、はよ、何してんの! 早く』と言われたら、スリッパでパチンとするのは俺の役目だ。そしてティシュで後始末。そりゃ殺生は良くないけど、ゴキなら正直、罪悪感なんてわかない。  けれどこのゴキは元プロボクサーのGだ。しかもササキという名前もついてた元人間。ゴキにしか今は見えんけど、元人間。 「あかんで、キダローはん、人、一人、殺してしもたやんか」 「甘いの、お前は」  キダ

ケケケのトシロー 10 

(本文約3600文字)  フキさんに見送られて俺とキダローは店を出る。辺りはそろそろ夕闇が迫…

ケケケのトシロー 9 

(本文約2500文字)  二人が歩く川沿いの道にはいくつかの橋が架かっている。そのうちの一つ…

ケケケのトシロー 8 

(本文約3400文字) 「ほれ、はよ立たんかい」  キダローが手を差し出す。それに掴まり立ち…

ケケケのトシロー 7 

(本文約2900文字)  カップの珈琲は随分と前からすっかり冷めてしまっていて、ただの苦い液…

ケケケのトシロー 6 

(本文約2600文字) 「わしは『キダロー』や。 ケケケ」    シルエットはそう言い、羽織って…

ケケケのトシロー 5 

(本文約2200文字) 「あんた…… 正直に言わんかいな!!」  怒号というのはこういう声の…

ケケケのトシロー 4 

(本文約3000文字) 「ほらよ、大根」 「え……」  俺の持っていたレジかごに放り投げられるように入れられた大根は、たいそう立派だった。ずしんとかごの重みが増す。勢いで肩の関節が外れなかったのは幸いだが、口が暫くポカンと開いていたのは、顎が外れていたのかもしれなかった。 「さっきはすまんかったのう、ほれ、これ、さっき落としたやろ」  兄ちゃんは口を開けたままの俺に200円を返してくれた。 「あわ、そんら、けっこうらのにすんわへん」(あら、そんな、結構なのにすんません)口