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失楽園ぼっち 伝承編 毎週ショートショートnote

昔、昔、あるところに、だいだらぼっちという大男がおったそうな。
その背は高く両手で天を差し上げてしまうくらい。
大きな足で踏みしめれば湖ができ、大きな手は山でも持ち上げる。

ぼっちが暮らす山間のある村は、大きな山がお日様を遮り、昼間も暗く作物が育たん。

村人たちはなんとか出来んかとぼっちに相談をした。
「あの邪魔な山をどけてくれんかの、日当たりがよくなるで」

ぼっちには簡単なことだが、山の神にも相談せねばなるまいし、そのためには貢物もいるぞ。

村人はその村一番の美人の娘を差し出そうと決めた。

「この子は器量も良いし働き者。あんたの嫁にしたらよいぞ。この子もぼっちさんならとまんざらでもない様子」

「ぼっちさん、おらでいいか?」
ぼっちはすっかりその子に惚れて、神様そっちのけで山を動かした。

怒った山の神は川を氾濫させて村を全部流してしまった。

村人は別の土地に。娘もぼっちに愛想をつかす。

ぼっちはぼっちになり、住み慣れた山を捨て消えた。

完410文字



たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週の裏お題「失楽園ぼっち」に参加させていただきました。

茨城県に伝わる昔話「だいだらぼっち」さんに登場していただきました。
あまりアレンジすると怒られそうなのでソフトめに。
ちょっと皆さんの作品読みすぎてアイディアが逆に浮かばない。なんか同じようなものしか浮かばない。いい作品ばかり読むから自分の書くものがつまらなくなる。どうやら、初心者第一の壁とやらに私はたどりついた模様です。なので書いたものはとにかく出す。



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