世界はここにある㊿ 第三部
ロセリストが手配したプライベートジェットはあと2時間ほどで羽田に着く予定だ。到着は日本時間で夜の10時を回る。彼女に日本での記憶はほとんどない。早くに高山に連れられアメリカに来た。いかにナオの頭脳が常人を超越しているとしても、赤子の時の記憶を鮮明に思い出すほど彼女の頭脳は完成されていない。しかし高山教授の顔や誰だかわからない女性の笑顔はな印象にある。空気の匂い、アメリカとは違う街並みや色彩。それは記憶というよりもデータベースから見た日本の情報に彼女が感覚として結び付けた故郷