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「お盆過ぎたら秋」が通用しない、北海道の夏

お盆過ぎたら秋」。
これはかつての北海道の夏の気候の流れだった。
以前の通説が通用しなくなってきたが、平年の仕組みと近年の状況を比べて説明したい。


【概要】平年の夏の流れ

まずは北海道の平均的な夏の流れを説明する。
分かりやすくするために時系列ごとに改行して記述する。

7/3-7/9:梅雨前線が岩手県沖まで北上して北海道にも軽く雨を降らせる
→7/10-7/26:カラッとした過ごしやすい夏がやってくる(最高気温25-27℃程度)
→7/27-7/31:最初の熱波がやってくる
→8/3-8/6:ここで暑さのピークを迎える(最高で33℃程度、真夏日集中)
→8/7:北海道に低気圧が通過して風向きが変わる
→8/9-14:曇りでどんよりする(最高気温も24-26℃に下がる)
→8/17:オホーツク高気圧が張り出して空が初秋模様になる
→8/22:雲多めの晴れでも最高気温が20℃止まりになる
→本格的な秋ムード

日時はアバウトで数日のズレはあるけど、これがいつもの北海道の夏だった。
「お盆過ぎたら秋」の根拠は、8/7くらいにやってくる低気圧の影響でガラッと気候が変わることにあった。

【現在】お盆以降も残暑が続く…

だが、最近はそうもならない。
お盆を過ぎても残暑が続くシーズンが増えているのだ。

2021年→8/8まで真夏日、8/10-19は肌寒いも8/20以降は残暑
2022年→8/28まで夏日傾向、9/10前後にも盛り返す
2023年→8月全部夏日、8/23に観測史上最高の36.3℃を記録、9/20まで残暑続く

特にここ3年は9月まで残暑が続いており、平年値を大きく上回っている。
8/7前後に低気圧がやってくることは変わりなかったが、それ以降に暑さが盛り返すようになっているのだ。

【要因】残暑が続く理由は高気圧にあり!


残暑が続く背景には、太平洋高気圧の張り出しが非常に強くなったことが考えられる。
太平洋高気圧が強い影響でオホーツク高気圧が南下しなくなり、冷涼な空気が送られてこなくなったのだ。
また、太平洋高気圧が8月末にせっかく後退しても、オホーツク高気圧が張り出さなくて9月まで残暑が続くケースも増えてきている。

【今後】残暑は長引く一方か?

近年は残暑が続いてきたが、今後はさらに長引く可能性が高い。

特に札幌だと建物の高層化が著しいことから、屋上からの熱の反射でヒートアイランド現象を加速させている。
ヒートアイランド現象がどんどん加速すると大気まで暴走して更に高温になるだろう。

時期で言うと9月末まで夏日継続、真夏日の回数も30-40回まで増えるケースも起こると予測される。

【終わりに】

今回は、北海道の夏の気候の通説が通用しなくなってきた話について説明した。
日本の避暑地だった北海道までが、「試される"灼熱な"北の大地」に変わる時期になっているのかもしれない。


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