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それは突然の退会ではありません

予期しない退会の時、保護者がその前にサインを出しているのにお気づきでしょうか?
サインを出しているのに、受け止めてほしいのに、指導者が自分の思い込みで相手の気持ちを聴かずにいると、すれ違いが起きます。

ピアノ教室の「ちょうどいい」を考える、ラポールで人間関係をマネージメント!のはるよ★学びです。

保護者が子どものピアノをやめさせようと決断するのはいつなのかを考えたことがありますか?

人は迷っている時に非言語というサインを出し、決断をするとそれまでと行動が変わるのです。


決意すると行動が変わる

私の個人的な「やめる」エピソードです。

自分の身体のメンテナンスに通っていた治療院がありました。身体の調子もよくなってきたし、そろそろ通うのをやめようと思っていました。

やめようと思ったきっかけは、身体の調子が良かったので、治療院をすっぽかしてしまったことでした。それで、治療を忘れるほど良くなったのだから、やめよう!と思いました。

ピアノ教室でも、退会を考えている時、保護者の行動が変わる。と、私は知っていました。ですから自分が「やめる」と決意した時、本当に行動が変わるのかを実験してみようと思いました。

治療院の予約をすっぽかした時、それまでは謝罪して、取り直しをお願いしていました。でもその時は、自分はもうこんなに調子が良いのだから、取り直しをする必要はないな、と思いました。そして、すっぽかした代金として「予約金はそのまま納めてもらおう」と伝えました。

治療師の先生は一瞬戸惑っていましたが、「それはせっかく時間をとってくださっていたのに、私の都合で行かなかった私のペナルティなので。」と強く伝えました。

そして、その後、治療院に置かせてもらっていたピアノ教室のチラシを撤去しました。

本当に、やめると思ったことで行動が変わるんだな!と思いました。

ですが、先生は何も気づいていないようでした。だから、私がやめると言ったらきっと予想外の反応をするだろうなと思っていました。

そしていよいよやめることを告知した時、先生はさ~っと、顔色が変わりました。そして私の目を見ないで、強い拒絶の言い方をしました。

この時点で、あ、私がやめることが先生への否定なんだな、と思いました。そして恐る恐る「時々、来てもいいでしょうか?」と言うと、嫌そうな口調で『でも、そのうち来なくなっちゃうんですよねえ・・・』

と言ったのです。

ん??それは私に関係ないよね?
と思ったのです。

悪い思い出に思考が支配される時、視線は下に落ちます。

私の教室でのある出来事です。私の教室ではいつもよく相談をしてくださる保護者さんがいます。ある時、いつものように相談をしてくれました。しかし、私はその相談に「ある経験」を思い出して、その相談の中身をよく聴かずに、自分の経験談を話しはじめてしまったんです。

なぜそのようなことになったかというと、私の中で悪い思い出がよみがえってしまったからです。(さきぼとの治療師の先生もこれと同じようなことが思考で起こったのですね。)

保護者さんは、私の話しを聞いて、相談しようと思ったことを早々に切り上げ、別れ際、私の顔を見ずに、
「ありがとうございました。」と言ったのでした。

その時、私は、「あれ?おかしい」と感じました。
そして、すごく悪い予感がしました。

それで、その態度が、さきほどの私の「相談をよく聴いていなかった」ことだとすぐに気が付きました。私の目を見ずに「ありがとうございました。」と伝えたのは、保護者が私が相談にのらなかったことで不機嫌になっていたからだ、と気づきました。

だから、保護者さんは私の顔を、目を見なかったんだ。
形式だけ、ありがとうございます、と言ったんだ。

これを放置していたら、これがやがて「やめるきっかけ」になるかもしれない。今、私はどうしたらいい・・・?

私の頭の中で、いろんな思いが錯綜しました。そして保護者さんが家に帰った頃を見計らって、連絡を入れました。

さきほどの話し、ちゃんと聞いていなくて申し訳ありませんでした。今後可能な限り相談に乗っていきますのでよろしくお願いします、とお伝えしました。すると、保護者さんは「こちらこそよろしくお願い致します」と言ってもらえたので、ホッとしました。

目を見ない。視線が落ちて話すことは「内的会話」をしている時の特徴です。内的会話は、自分との会話で、感情的なことです。そこで話す、話し方に特徴があります。たとえば、自分を卑下する言葉が多い場合、自分を否定的に思っています。

それは突然の退会ではありません

保護者の感情は、何かに反応した「その時に」出ています。

突然と思っているのは、ただ単に指導者が気がつかなかっただけです。

普段からラポールという技術を使って、保護者とコミュニケーションをとっていくと、五感が研ぎ澄まされていきます。
そして、いつもと違う変な感じ感じに気づきやすくなっていきます。

それ以前にも、そのような瞬間に立ち会ったことがあったのです。
それは保護者さんのメールでした。
やはり私は「おかしいな」と気づいていたのです。でも結果的には、放置していました。

そしてその結果、退会されました。

この変な感じは「五感」で感じます。
どんな人でも何らかの「いつもと違う」エネルギーは受け取っていると思います。でも、とても微妙なものです。

ですから、もし指導者が他のことに気をとられていたら、気が付かない可能性は高いです。

ラポールをとっていると、観察眼が養えて、ちょっとした違いにも気が付きやすくなります。

さて、治療師の先生。

私の告げた「やめます」という一言で、一瞬で不機嫌になってしまわれました。

その前にも、私が相談した時にも、私の事情も聞かず持論を展開されてしまいました。
私の事情に耳を傾けてくれない先生に、違和感を感じていました。この治療師の態度は、私が保護者さんにした態度と同じだったのです。

間違った思い込みがあると、信頼関係は簡単に壊れてしまうのだと、自分が受けた側になって、両方の立場の体験をして、よく理解することができました。

間違った思い込みは、間違った思考で支配する

間違った思い込みがあり、その原因がわからずにいると、悲しいかな、同じことが続きます。
感情は無意識の領域です。
そして、指導者側がわからないことで、また新たな間違った思い込みを生んでしまう可能性があります。

私が治療院をやめるのは、私の体調が良くなったからです。
でも治療師さんは、私が健康になったのを喜んでくれるどころか恨み事を言い始めました。なぜでしょうね?

定期的に通ってくれる患者は良い患者。
健康になって、卒業する患者は悪い患者。

その人にとって何が正義で、何が悪なのかは想像がつきます。
おそらく「お金」や「自分の治療を治す腕」で、自分の合否をそこで測っているんです。

でもそれは違います。

その治療が良ければこそ、時々でも通いたいと思うものです。
健康とは自分の自由にはならないものです。
そして、そうしたいかどうかは患者側の意思があります。
通えなくなるのは、患者側の事情があります。

それをピアノ教室に置き替えるとどうなるでしょうか。

思い込みが、支配する

私はかつて生徒が退会すると「自分には能力がない」と無意識で思っていたことがあります。
生徒がやめる度に自己否定感を強くしていきました。

とてもショックで、なかなか立ち直れませんでした。

でもそれは違ったのです。

何かをやめるには、そこには、相手の事情があります。
それは、本人に聞いてみてはじめてわかります。

価値観を活用していく

人はそれぞれ価値観が違います。
でもそれは、ピアノレッスンを大切にしていない、のではないのです。

ピアノを続けることで、保護者の価値観を阻害する何かが起こるからです。

だから、指導者にできるのは、相手に事情を聴くこと。
やめる理由を、自分の事情や自分の価値とは切り離して聴けるようになることです。

それが、思い込みに振り回されない最善の方法です。

そして、退会を言い出す前の段階の保護者の気配や違和感を感じられるようになることです。

それができるようになると、ピアノ教室は変わっていきます。私は一回でそれがわかるようになったわけではありません。何度も失敗もしてきました。

でも今は、その「失敗」という考え方自体もなくなりました。
あの時の行動は、こんな風に考えていたからうまくいかなかったんだとわかるようになったのです。だから今度はそうではなく、こんな風に考えて、少しでも良い結果を導き出していこう、と思えるようになったのです。

それは振り返りです。反省はしつつ、ではどのように変えていこうと思えることで行動が変わります。
もちろん自分を責めたりはしません。自分の失敗はひとつの結果。自分を責めることをしない無意識が手に入ったので、本当にラクに、行動が変えられるようになっていきました。

保護者がどのような行動をとるかは、その人の価値観によって決まります。
「価値観が違う」のではなく、価値観の違いをしっかり受け取って活用していく方法だってあるんです。

むしろ価値観が違うことで、指導者が学べることもあるかもしれません。
ラポールを実践していくと、自分の思考も変わります。

悩みだらけの自分から、悩まず行動ができる、そんな自分に変化していきます。

ラポールでお話しを聴いていきましょう。

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