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オペラ歌手を目指す長女のこと 2

病魔に襲われて突如訪れた試練 VOL.2


地元の総合病院に到着し、何度か受診の経過を話して、まずは内科の先生の診察をうけました。
失礼ながら大丈夫?と思うような学生さんのような若い先生でしたが、採血の数値をみたあとからは、慌てておられるような感じでした。
「詳しく検査しないとわからないのですが」という前置きのあるなか、血液検査の数値のどこが異常なのか、いろいろ教えてくださいました。

そして、「血液に強い大きな病院をすぐご紹介しますので、このまま移動していただきたいから待っていてください。」

お昼をどんどん過ぎて、「待ってる間にご飯食べてきていいですか?」と聞いてもらっても、「ご飯食べずに待っててください。一生懸命探してますから。」の一点張り・・・。
この時点で、不安はあるものの、まだ母も、もちろんなごみさんも危機感が薄かったです。

分かる方は分かるんでしょうが・・・(単位は省きます)
白血球 基準値 35から91 で 21
赤血球 基準値 376から500 で 96
ヘモグロビン 基準値 11.3~15.2 で 3.6
血小板 基準値 13~36.9 で 0.6

数値をみて、うちよりあちらのほうが良い・・・などと血液に強い先生がおられる病院が二転三転し、

『大阪市立総合医療センター』

に受け入れ先がきまりました。
「絶対に、タクシー今すぐ、速やかに、でも急いでも安全に移動してください。」と何それ?って感じのことをたくさん何度も言われ、
「救急の入り口の守衛さんに名前とこの紹介状を見せたら、対応してくださいますから。」

先生曰く、今までが運が良かった、と。
この数値で生活して、何かのちょっとした衝撃で、脳内出血してもおかしくなかった、と。
「白血病ってことですか?」
「お母さんのご心配の可能性もあり得ますが、ここでは対応できませんので、血液関係の病気に強いしっかりと治療のできる病院に移動してもらいます。到着後、すぐ検査になると思いますので、どこにも立ち寄らず、食事をしないでください。」

不安がよぎる・・・

けれど、今から思い返せば、この時点での不安は、まだ本当の不安ではありませんした。

『大阪市立総合医療センター』
タクシーセンターの地理研修でも出てきた大きな病院です。
言われたとおり、救急の入り口で名前を告げたあとから、何というか・・・
まわりの空気がかわりました。

先生がおふたり、かわるがわる・・・
経緯をいろいろ聞かれ、今の状態を聞かれ・・・

最初の病院とは全く違うぴりぴりした空気、なごみさんは即座に車椅子に座って、検査に連れていかれました。
「先生、大変な病気なんですか?」
「大変悪い数値です。検査をしないとわかりませんが、この数値は尋常ではない数値なんですよ。」

「白血病ってこともありえるんですか?」
「大きくあり得ます。明日朝早い時間に骨髄の検査をしますが、おそらくそうではないか、と考えています。また、この数値のままではいつ何が起きても仕方ない状況なので、すぐに輸血をしていき、できるだけ身体を整えていきたいと考えています。」

「悪性の白血病ってことですか?命にかかわる病気ってことですか?」
「可能性は低くありません。見立てとしてはその可能性は十分あると考えています。」

「大学は長期でお休みしていただくと思います。身体が大事ですから、まずは大学よりも命が大切ですから、最低でも1ヶ月以上入院です。」

などなど・・・・

一昨日のことなのに、細かいことまで記憶にすでにないのですが、
何というか、言葉で『頭が真っ白になる』というのはこの状態かなって思います。
ただ、途中で状況を連絡していた主人からも、親友やお友達からも、しっかりするんだよって・・・取り乱してはいけないよって・・・
なごみさんが不安になるからってメッセージをもらったりしてたけれど、実際はうまくいかなかったです。

呆然とする私をみて、手を握ってくれたのは、採決を終えて戻ってきた当の本人のなごみさんでした。
看護師さんが「突然連れてこられて、いきなり入院だもの、辛いよね。」と
言ったときも、
「私より母が・・・。」と笑って手を握り、
「ママ、大丈夫?私は大丈夫やで。」

細かい病名の確定までは翌週の最初に持ち越しになると思われるけれど、
良性か悪性か、白血病か何か、は、明日の夕方にある程度分かります、と言われ、入院手続き、パジャマやらのレンタルの申し込み、そして夕食に間に合わないので病院のコンビニで「おにぎりが食べたい~」という要望に応えて買いものに行き、言われるがままに為すべきことして、

なごみさんの病棟は、面会謝絶、なんですね。
だから、何カ月も入院の間は会えない。
でも、今は病気の特性上、個室に入っていて、LINEでビデオ通話とかいつでもしてもらっていいですからって・・・。

しっかりと私の手を握ってくれた手に触れることは、この先いつになるのか・・・考えただけで泣いてしまう情けない母なんです。⇒いったん終わって続きは次へ




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