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バックワーデーション時の投資戦略②

バックワーデーション(期近の限月価格が期先の限月価格よりも高い状況)では期先の先物をロングする戦略が面白い選択肢と言えます。
その前提としては「選択した限月の期日には現在よりも需給バランスが供給超にならない」との考えに基づきます。例えば現在の期近が7月限に対して少し期先の9月限をロングする場合、「2ヶ月後でも市場環境は大幅に変化せず需給バランスが供給超にならない」という考え方です。

原油先物カーブ

現状であれば期近の7月限 $118.70 に対して 9月限を $112.50 と $6.2 低い価格でロング可能です。 2ヶ月経過して市場環境が全く変わらなければ(もちろんそんな事は無いけど)その時に期近となる9月限は $118.70 となるはずで、その場合には $112.50 の持ち値に対して +5.5% となります。
私の場合、今後のイベントを考えてそのイベントが終えるくらいの時期の需給バランスが今と同じ もしくは 今よりも需要超となると考えられる場合にはその時期を期日とする限月をロングします。そうすると、市場がある程度変動しても(上昇したり下落したりしても)ビューに変化が無い場合には期日まで待っていれば良いだけなのでどっしりと構えてられます。

中長期的なビューに変化が無いにも関わらず突発的な要因で短期的に価格が大幅に下落する事があります。例として直近では戦略石油備蓄(SPR)の放出です。この様なケースでは積極的にロングポジションを積み増します。これも短期的な要因が収まり元の水準に戻るのを待つだけです。

判断が難しいのがビューに変化は無いが、想定以上に価格が上昇しているケースです。
もしロング構築してから時間が経過して期日が近づいている場合、この場合は利確します。特に保有している限月が期近になっている場合には1ヶ月を切っている状況なので取引日ベースで考えると今の状況よりも今後期日までにそれを上回る可能性が低いですし、時間経過による価格上昇効果もあまり期待出来ないからです。
一方でまだ期日までに時間がある程度ある場合です。想像以上に価格が上昇するケースでは短期的な要因で上昇する事が多いので期近の限月が期先の限月よりもより上昇しています。つまりバックワーデーションがより強くなっている状況です。その場合、自分のロング保有する期先の限月に対して期近はかなり高い価格のはずです。例えば先程の例のように2ヶ月先の期先である9月限を $112.50 でロングした直後に短期的要因で大幅上昇するケースを考えます(この場合期近がより上昇)。

原油先物カーブ

保有する9月限は持ち値 $112.50 に対して $114.50 になっているので利確可能です。この場合パフォーマンスとしては +1.8% です。
しかしながら仮に2ヶ月かけてこの短期的な要因が無くなり先物カーブが元々の水準に戻るケースを考えてみましょう。

原油先物カーブ

2ヶ月経過しているのでロング保有している9月限が期近になっているはずです。そして価格は $118.70 になります。そうするとパフォーマンスは +5.5% となります。先程の +1.8% よりもかなり良いパフォーマンスになりますね。
この様に「すぐに利確した方が良いか」、それとも「今よりも価格は下落するかもしれないが時間の経過による価格上昇効果を期待した方が良いか」の判断をしなければいけない局面もあります。
私の場合、比較的後者(つまりすぐに利確ではなく待って時間経過によるプラスをとる戦略)のケースが多いです。

ちなみにビューに変化をもたらす様な状況となった場合には作戦練り直しです。ビュー変化後の適正価格と思われる価格水準と比較して現在のポジションの割高・割安によりポジションの再構築を考えましょう。

この様にバックワーデーションにおけるロングポジションを構築した場合には、基本的には放置。あとは大きくマーケットが動いた場合には上述の考えを参考にして頂くのが良いのかなと思います。

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