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宇多田ヒカル LOUGHTER IN THE DARK2018.11.29@大阪城ホール

「私、死ぬまでに宇多田ヒカルの生歌聴いてみたいなぁ」


そんな事をぼやいていた去年。


1998年、当時18歳の私。宇多田ヒカルのデビューで私は瞬く間に彼女の虜。今ならエモいで片付くんだろうけれどとにかく非常に歌詞が切なくて、下手な恋愛に重ねやすかったし、何よりも言葉のチョイスの美しさにハマっていたんだと30代で気付く。

あの頃カラオケに行けば彼女の英語発音にもキーにも声を乗せる事も到底かなわなさ過ぎた。曲入れてマイクで歌わずノリに乗るだけで終わる事もしばしば。ただそれで良かったのだ。


だって宇多田ヒカルは自由だったから。


いやラフなイメージといった方がしっくりくる。

やはり人間活動を理由に音楽活動休止のような形をとっていたのは今となればラフに生きていたのではないかと推測する。コアなファンではないけれど、誰しもが好きであろう下手なカリスマ性を備わった女性像だけではなくて、人として世に生み出す芸術性が最も興味を惹きつけられるという事が最近のテレビの露出で合点一致した事だった。

そんな音楽だから生で聴きたい、ただ素直にそう思ったのだ。


張り切ってCDを買って一次先行に応募。


顔認証システム導入の為、キメ顔の写真を登録するも認証されず。次の日の朝寝起きのすっぴんブス写真を登録、認証されてホッとした。恥を晒したので当選確率上がって欲しいという謎の願掛けも虚しくあえなく落選。

その後私の元へは二次先行などの案内は来ず、宇多田ヒカルの歌を生で聴くという事の「雲の上感」は決定的な事となった。落選は何十回と経験してきているので切り替えていこうDVD出たら買おうくらいに思ってたある日、一般抽選案内のお知らせが来た。

一般が抽選。転売対策が徹底しているので落ちても納得できる、と思いながらまたあのスッピンブス写真を掲げて応募。


忘れた頃に当選のメールが来て思わず喜びの声を上げてしまった。


「当たった」


人は驚きと喜びが合わさると思いの外低い声で発するなと学びました。


そして2018年11月29日大阪城ホール。

今回のライブで本当にありがたかったのは託児所の存在。事前申し込みが必要で抽選だったけれどサクッと当たってしかも無料。今まで利用した託児所付きライブはミスチルだったけど有料だった。無料という意味合い、私も少なからずどこかでこれを機に恩返しというか誰かの力になりたいなと思ったのでまたこれは経験したら記事にしたいと思います。

ちょうど大阪城ホールの南口玄関が託児所の入り口で中に入ると笑顔たっぷりの慣れた保育士さん達が待ってくれていました。安心して預けられる印象で息子もルンルンで入室。

さて、私達も入場。

席はスタンドのステージよりも天井の方が近いような場所だったけれどいつも大人見の私なのでどこでもいい。生の声を聴く、それだけが私の願いだったので多くは望まない。毎日毎朝、息子を保育所に預けた後の通勤時には宇多田ヒカルのアルバム、初恋を聴きまくった耳で挑むライブ。楽しみしかない。


そして会場は暗転して開幕。

私はひたすらポカーンとしてたと思う。ただただ彼女の声、表現、佇まいに圧倒されていた。バンド演奏も耳にはとても聴き甲斐をもたらす。アレンジの効いたギターは大好物である。1番感じた事、それは楽曲の素晴らしさ。彼女が作品として世に出してきた楽曲はアートだったんだと再認識させられる事になった。身を以て確認できる幸せ。ライブの醍醐味。これが下手な恋愛ソングに自分を重ねられなくなった事で更に重要性が増すわけです。このタイミングで聴けた事に大いに感謝したいと思う。会場内では撮影OKだったけど、スマホ触りながらライブを観ると何かが途切れてしまいそうだったのでリアルタイムに直接脳裏に刻む事に。臨場感を楽しまないと最大限に感性に触れることができない不器用な私。なので「花束を君に」が流れた時には堪えてた涙腺が崩壊。出産を経験してから歌詞の「君」が合う所は全て息子に自動切り替えするので余計に涙もろくなったと推測されるが、ただ歳を取ったという説は伏せておこう。


両手でも抱えきれない 眩い風景の数々をありがとう、息子よ。


そして今年最も再生したであろうPlay A Love Songが本編ラストを飾っていた。お気に入り過ぎて舞い上がってたのは言うまでもなく。おしゃれで遊びがあって明るくてアガル。客観的な感動ではなくこの頃にはもうただ楽しい!という感覚のみ。完全に音の渦に巻き込まれたのである。フーウウー♪ってなんて美しくて聴き心地のいい音なんだろう。軽快過ぎて泣けてくる。軽快過ぎて泣くなんて日常そんな事ないよね。だからすごい。


アンコールでやってたAutomatic、演奏のアレンジが良すぎて懐かしさよりも断然新鮮さが勝っていた所が大収穫だった。18歳の頃聴いていたそれとは全然違う。いい歳の取り方をしたという事にしておこう。大満足で会場を後にして足早に息子のお迎えへ。扉から出てきた息子が「ママぁ!」と満面の笑みで「トミカがあって楽しかったよ!」と言って抱きついてきたので私もホッとして嬉しくて抱きしめた瞬間に全てが最高の瞬間となり、これは一種の一次先行落選からの一つの物語なのだなと妙に納得できたライブとなりました。


抱きしめられると君とパラダイスにいるみたい


セトリ


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