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バレエオタクが深掘りする!「パキータ」を楽しむためのnote

こんにちは。
このnoteでは、バレエオタクがバレエ作品について深掘りしていきます。

今回は「パキータ」について。
発表会やコンクールで定番の作品ですよね。
Vaは知ってるけど、物語はよく知らない…という人も多いのではないかなと思います。
日本で全幕が上演される機会ってあまりないですよね。
このnoteでは「パキータ」のあらすじや時代背景や当時の服装についても深掘りしていきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね☺︎

そしてこのnoteを読んで皆さんがバレエを踊る時、観る時、そして観た後でも、楽しんでいただけると嬉しいです♡

あらすじ

パキータ        美しいロマの娘
リュシアン・デルヴィリ フランス軍の将校
デルヴィリ伯爵     リュシアンの父親、フランス軍の将軍
イニゴ         ロマの首領
ドン・ロペス      スペインの地方総監
ドニャ・セラフィーナ  ロペスの妹(娘のことも)、リュシアンの婚約者
シャルル・デルヴィリ  デルヴィリ伯爵の弟

第1幕

19世紀頃のスペインのサラゴサ郊外の谷間で、フランス軍の将軍デルヴィリ伯爵は、この場所で悪党の襲撃によって亡くなった弟とその妻と娘の記念碑を建てようとしています。
そこにはデルヴィリ伯爵の息子でフランス軍将校リュシアンと、スペインの地方総監ドン・ロペス、そしてロペスの妹セラフィーナも同行しています。
リュシアンとセラフィーナは婚約していますが、リュシアンはセラフィーナへ愛情を感じないため結婚に乗り気ではありません。
ドン・ロペスもまた、スペインに攻め込んできたフランス人を憎んでいるため、この結婚を良く思っていません。

そこへ首領イニゴが率いるロマたちがやってきました。
その中には美しいロマの娘パキータもいます。
リュシアンはどこかロマらしくないパキータに惹かれます。
リュシアンに話しかけられたパキータは、自分は生まれがわからないのだと言い、唯一の手掛かりである父親と思われる男性の肖像画の入ったロケットを見せようとします。
しかし身につけているはずのロケットが見つかりません。
イニゴがこっそり盗んでしまったのです。
すっかりパキータのことが好きになったリュシアンは、パキータへ自分と一緒に来ないかと誘いますが、身分の違いを気にしたパキータはその申し出を断ります。
パキータへ想いを寄せるイニゴは、リュシアンへ嫉妬心を抱きます。
そんなイニゴにドン・ロペスはリュシアンの殺害を持ち掛けます。
ドン・ロペスは、パキータからだと偽ってリュシアンに花を渡し、リュシアンは喜んで受け取るとパキータの元へ向かうのでした。

ジプシーの住居にパキータが1人います。
そこへ首領イニゴと仮面をつけたドン・ロペスがやってきたので、パキータは慌てて物陰へ隠れます。
2人は誰かの暗殺計画を話しています。
ドン・ロペスが去った後、パキータはこっそりその場を去ろうとしますが、うっかり物音を立てて見つかってしまいます。
自分は今来たところで何も聞いていないとパキータが釈明していると、なんとリュシアンがやってきました。
暗殺の標的がリュシアンだと気づいたパキータは、何とかリュシアンを助けようと考えます。
イニゴはリュシアンに眠り薬を入れたワインを飲ませようとします。
しかしパキータはイニゴの気を逸らして、リュシアンにワインを飲んではいけないと伝え、イニゴとリュシアンのワイングラスを入れ替えます。
イニゴは気づかず眠り薬の入ったワインを飲むのでした。
イニゴは、パキータに言われて寝たふりをするリュシアンにナイフを向けますが、そこで力尽きて眠ってしまいます。
パキータはイニゴから父親の肖像画の入ったロケットを取り返し、リュシアンと一緒に逃げ出します。

第2幕

デルヴィリ伯爵が開いた舞踏会が、そこにはドン・ロペスとその妹セラフィーナの姿もあります。
そこへリュシアンとパキータが現れました。
リュシアンは今起きた出来事を伝え、パキータが自分を救ってくれたのだと語ります。
そしてパキータは自分が見た仮面の男がドン・ロペスであることを見破りました。
ドン・ロペスはその場で捕らえられ、セラフィーナも去っていきます。
リュシアンはパキータに求婚しますが、やはり身分の違いが気になるパキータは申し出を断ります。
しかしその館の中で、パキータは壁に飾られた肖像画に気づきます。
自分のロケットに入っている父親の肖像画とそっくりなその肖像画に描かれているのはデルヴィリ将軍の弟シャルル・デルヴィリ。
パキータはシャルル・デルヴィリとその妻と一緒に殺されたと思っていたシャルル・デルヴィリの娘だったのです。
身分の違いがないとわかったパキータはリュシアンの申し入れを受け、晴れて2人の結婚式が行われるのでした。

あらすじあれこれ

へー!そんなお話だったんだ!
…と、思った方も多かったのでは?
長い間終幕のマズルカとグラン・パ・ド・クラシック、そしてパ・ド・トロワ以外の部分は忘れられていたので、日本で全幕が上演されることもあまりないですよね。
全幕もいくつかバージョンはありますが、決定版と言えるものもないのかなと思います。
ですが、あらすじはほぼ同じです。

私は「パキータ」のグラン・パ・ド・クラシック部分は観たことも踊ったことも何度もあって、あらすじを知る前もスペインのお話だということだけは知っていたので、スペインらしく!と思って踊っていましたが、パキータもリュシアンもフランス人なんですよねw
確かにスペインのお話ではあるのですが、「ドン・キホーテ」のようなバリバリのスペインではなかったことに衝撃を受けました。
そもそもリュシアンという名前がフランス人ですもんね。。
当時はまったく気づかなかったです。。

踊りとしても「ドン・キホーテ」のような陽気で賑やかなスペインのイメージよりは、「コッペリア」や「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のような少しのどかな雰囲気も感じます。
1幕2場のイニゴがリュシアンを暗殺しようとしているのを止めようとするパキータの行動は、「コッペリア」の第2幕のスワニルダのようでコミカルな要素もあっておもしろいです。

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