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親権も教育費もすべてを手に入れる妻と、すべてを失う夫。離婚から見える夫婦の生活力の明暗とは?

きょうは、完璧主義な妻と優柔不断で決断力のない夫の
離婚事例について
相談を受けた行政書士事務所がお話しします

妻の堪忍袋の緒が切れた瞬間

明子さんは「ほどほどに」ができない頑固な性格。
たとえば、「整理整頓もやるなら完璧に!」という感じで、
何かに取り憑かれたかように片付けに没頭。

その一方でモノを捨てるのが苦手なので、
完璧主義と相まって人一倍時間がかかる…明子さんは
そんな二面性を合わせ持っているように感じました。

「私も夫も束縛が大嫌いで自由を尊重してほしいタイプですが、
一緒に出掛けるのも一苦労です!」

明子さんは、
「待たされる」のが嫌なので出発の時間はきちんと決めたいし、
時間通りに出発したいし、
時間を守るのは当たり前という考え。

一方の翔馬さんは、
「縛られる」のが嫌なので、
出発の時間を押し付けられたくないし、
決めた時間も絶対ではないという考え。

外出先の予定が立て込んでいるわけではないので、
「そこそこの時間に」出発すればいいと思ってるタイプです。

そうすると、こんなことが起こるのです。
前日に明子さんが「10時ね!」と伝え、
明子さんと娘が10時までに準備を済ませて玄関で待っているのに、
翔馬さんは10時になっても支度が終わりません。

翔馬さんは「ああ、悪い悪い」という感じで、
待たされている明子さんの気持ちを考えず、
のんびりと身支度に取り掛かるという有様。

翔馬さんは自分だけですが、
明子さんは自分と娘二人分の準備を間に合わせたのに、
予定通り出かけられないことに腹を立て、
「自分のことしか考えていないんだから!」と
心の底で怒りを爆発させたそうです。

これは明子さんの翔馬さんに対する不満の一例に過ぎません。
自分の当たり前が相手の当たり前ではない…8年間の
結婚生活において生じたボタンの掛け違いは数知れず。

「話が通じない相手」の意見を尊重し、
前向きに対応し、
愛情を維持するのは無理があります。

「優柔不断で決断力がなく、
私に言われないと何もできないところも全部嫌いです!
だいたい声が小さいから、よく聞こえないし!」
明子さんはとうとう堪忍袋の緒が切れ、
夫のことを「いないほうがいい相手」だと気づき、
縁を切る方向へ舵を切ったのです。

有利に離婚するために…妻がとった行動

「もう嫌なんです!
主人に訳のわからないことを言われて傷つくのは!」

明子さんはそう言いますが、
話を聞く限り、
夫は大雑把でいい加減で能天気なのんびり屋という印象。

どう見ても難敵ではないので、出たとこ勝負でも何とかなりそう。
しかし、明子さんは心配性なので
「夫が〇〇と言ってきたらどうしよう…」と
無数の不安に苛まれており、
十二分に用意周到に理論武装をしないと気が済まなかったのです。

まず娘の親権ですが、
統計上、離婚全体のうち母親が親権を持つケースは
約8割に達しているので
平成23年度、厚生労働省・全国母子世帯等調査結果報告より)、
ただでさえ明子さんは有利な立場。

しかも、夫は学童の引取、
宿題の補助、
病院への送迎、
学校行事への参加、
病気の看病、
習い事の管理など子育ての一切を明子さんに丸投げし、
ワンオペ育児を強いていたのに、
いまさら「俺が引き取る!」と
口が裂けても言えないでしょう。

それでも慎重派の明子さんは、
「念には念を入れて」という感じで
想定問答集(夫の主張に対してどのように反論するのか)を
用意しておいたのです。

たとえば、
夫が「俺が学童に迎えに行けばいいんだろ!」と言い出したら、
「仕事で出張のときはどうするの?」と言い返す。

「俺が病院に連れていけばいいんだろ!
付き添って看病すればいいし」の場合は、
「急病のときはどうするの?
この前もインフルのときはうつされたくないって言って
何もしなかったじゃない!
うつされたらしばらく寝込むし、
体調が悪いのに看病するのはどれだけ大変か。
あれだけ仕事を休むのを嫌がっていたし、
結婚してから娘のために休んだことはないのに! 」。

「学校の行事に会社を休んで参加するから大丈夫!」の場合は
「行事がいくつかあるかわかっているの?
1人で全部出席するなら、
授業参観や運動会、
文化祭、
個人面談、
引き渡し訓練だけでも
月1回のぺースは休まないといけないのに…
今年だって文化祭しか来なかったでしょ?」という具合に。

次に養育費ですが、明子さんの希望額は3万円。
現在、夫は毎月の手取り18万円のうち、
6万円しか家に入れておらず、
残りの12万円は使い放題というわがままぶり。

しかも、離婚に応じれば明子さんへ渡す金額は
6万円から3万円へ下がり、その分、小遣いが増える計算です。

もちろん、妻子の存在は
プライスレスで離婚によって失うものはあまりにも大きいはず。
しかし、夫には人生全体を長い目で見るほどの余裕はなく
目先のことしか考えていないので
「使える金が増えてラッキー」と
軽いノリで二つ返事をする可能性は十分にありますが、
当の明子さんは「そんなにうまくいくわけない!」と
悲観的に考えていたようで…。

明子さんは裁判所のサイトを隈なく閲覧し、
家庭裁判所が公表している養育費算定表を発見したのです。
たとえば、夫の年収が400万円、妻が350万円、
子1人(15歳以下)の場合、
養育費は毎月3万円が妥当な金額だそうで、
裁判所のお墨付きは心強いです。

二人は性格が真逆なので、
明子さんの個人的な意見だと思われているうちは、
いくら正論を言っても夫に信じてもらえないでしょう。
しかし、法律の公式的な見解だとわかれば話は別です。
いよいよ夫も観念して受け入れるしかないでしょう。

離婚の意思を告げたとき、夫は…

そして明子さんは娘が寝静まったのを見計らい、
夫に対し「大事な話があります」と呼び出し、
恐る恐る離婚や親権、
養育費の話を切り出したのですが、
夫は「おお、わかった」という感じで
明子さんの要望を丸飲みしたのです。

「完全に想定外でした。
あのときは『やった!』と思ったのですが…」
明子さんはただただ唖然とするしかありませんでした。

離婚の話し合いはあっけなく成功したので、
明子さんは拍子抜けしてしまったそう。

やはり夫は与(くみ)しやすい相手。
わざわざ想定問答集を用意しなくてもよかったので、
取り越し苦労に終わった形。
一見すると明子さんの心配は杞憂(きゆう)に終わった
ように思えますが…。

翌週、明子さんは役所で離婚届を受け取り、
親権や養育費を書き起こした念書を用意し、
「これに書いてちょうだい!」と突きつけました。

すると、「ああ、あれは冗談だから。
真に受けたの?
俺にもいろいろあるから、
いま離婚できるわけないでしょ?」

夫は明子さんをあざ笑うような口ぶりで
悪気なく言い放ったのですが、
自分だけでなく妻子の人生も左右する大事な決断を
わずか1週間で翻意(ほんい)したのだから悪質でしょう。

「もう頭にきちゃいました!
『猫なで声の鬼心』とはこのことですよ!!」

明子さんは声を荒げますが、
どうしたら傷つかないか…
危機管理意識が夫婦でまったく逆です。

明子さんは傷つかないよう
事前の準備を欠かしませんでしたが、
一方の翔馬さんは傷つきたくないという
一心でその場しのぎの嘘をついたのです。

明子さんは翔馬さんが承諾するまで想定問答集を用いて、
夫の悪口や不満、愚痴を言い続けるでしょうが、
明子さんの怒りを鎮火するには丸飲みするしかない。

空気を読むスペシャリストの翔馬さんは瞬時に察知したので、
「承諾するつもりがないのに承諾する」という
嘘をついたのでしょう。

翔馬さんは嘘をつくことで
修羅場を何度乗り切ってきた成功体験が染み付いているようで、
「自分を守るための嘘」なら悪気はありませんし、
ピンチに陥ったら嘘をつくのは慣れっこ。

本来、嘘をつきたい衝動にかられたときに
邪魔をするのはプライドだと思います。
しかし、プライドより自分のほうが大事なら関係ありません。

やましいところは微塵も感じられないので、
「本人以外が」虚言か否かを見抜くのは難しいです。
「とにかくお前の言いなりになるのが嫌なんだ!」

31歳の夫は、まるで2歳児の嫌々期を思わせるような
ダダのこね方を繰り返したのですが、
理由もなく「嫌々」と言っても許されるのは2歳児だけ。

翔馬さんは許されるはずもないのですが、
「なぜ離婚したくないのか」
「離婚しないのなら関係を修復するのか」
「いままでの言動をどのように改めるのか」など
個別具体的な話は一切せず、
嫌々と言い続けたので、
明子さんはまるで大人の顔をした子どもを
接しているようだったと言います。

理解してくれるはず…頼りにした協力者

明子さんもこれでは埒(らち)が明かないので、
代わりに夫を説得してくれそうな協力者を探すことにしました。

明子さんが頼りにしたのは、義母。
互いに同じ女性、妻、そして母なので
自分の気持ちを理解してくれるはず。

義母に電話をかけ、
「一度は離婚してもいいって言ってくれたのに酷すぎませんか?」と
訴えかけたのです。
「息子からそんな話は聞いていないわ。
私はあなたに愛想を尽かされるような子に育てた覚えはありません!」

義母はそんなふうに一喝してきたのですが、
それもそのはず。
夫は離婚の二文字をひた隠しにし、
都合のいいことしか伝えていなかったので寝耳に水です。

「待ち合わせにちょっと遅れたくらいで
離婚するんじゃ何回離婚しても足りないわよ。
私もお父さんを何度も許してきたわ。
誰にも間違いはあるし、許しあうのが夫婦ってものでしょ?」

義母は明子さんではなく翔馬さんの肩を持ったのですが、
義母は翔馬さん側の人間なのだから当然といえば当然。
赤の他人の嫁よりお腹を痛めて産んだ息子のほうが
かわいいに決まっています。

「夫婦のことは夫婦で話してちょうだい。
こんなことで私を巻き込まないで!」

義母はそう言うと一方的に電話を切ってしまったのです。
義母が味方ではなく、
敵だということは明子さんにとって予想外でした。
期待していた義母に裏切られ、
明子さんは途方に暮れてしまったのです。

どうすれば、再度離婚の同意を取り付けられる?

では、明子さんが再度離婚の同意を取り付けるには
どうしたらよいのでしょうか?

翔馬さんは、『ドラえもん』で言うとスネ夫のイメージ。
上下関係に敏感で、
自分より目上か目下かを察知する能力に長けています。

たとえば、目上のジャイアンに媚を売り、
目下ののび太を影で叩くことで
自分の居場所を確保する脇役ですが、
明子さんの夫も例外ではありません。

離婚における目上の人物は、
たとえば弁護士や裁判官、
そして調停委員などが挙げられます。

明子さんは弁護士に依頼し、
夫の説得を任せれば、
夫は弁護士が目上の人物だと判断し、
ヘビににらまれたカエルのように縮みあがるでしょう。

しかし、弁護士に支払う報酬は明子さんにとって高額すぎました。
手付金として30万円、
成功報酬として養育費の2割を提示されたので、
泣く泣くあきらめるしかありませんでした。

一方、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てる場合、
印紙や切手などの申立の費用は2万円もかかりません
(参考:裁判所公式HP)。

そこで明子さんは離婚調停のなかで裁判所という場所で、
裁判官や調停委員という夫にとって格上の相手に夫
を説得してもらうことにしたのです。

明子さんを担当する調停委員は、
還暦過ぎを思しき男性と女性。
明子さんは離婚や親権、
養育費について想定問答集を見せつつ過去の経緯…
特に一度、離婚に同意した夫が
翻意したことを説明したのですが、
女性の調停委員は「よくできているわね」と褒めてくれ、
あっという間に調停委員を味方に引き入れることに成功したのです。

ところで、同じ内容でも
誰の口から発するのかで印象は大きく異なります。
実際のところ、調停委員が夫に伝えた内容は、
明子さんが夫に伝えた内容と大差なかったのかもしれません。

しかし、夫にとって目下の明子さんではなく、
目上の調停委員に代弁してもらうことで、
夫は「この人たちには逆らえない」と悟り、
結局は明子さんは当初、
提示した条件と同じなのに
夫は調停の場で再度承諾したのです。

最初の段階で離婚が成立していれば
夫、妻、そして子の戸籍には「協議離婚」と
書かれているはずでした。
しかし夫が途中で翻意した結果、
戸籍には「調停離婚」という烙印を押されたのです。
協議離婚より調停離婚のほうが
「別れるときに揉めに揉めた」という印象を与えるので、
見栄えが悪いのは言うまでもありません。

離婚で人生を失うのは~?

男女逆転社会というのは離婚にも大いに及んでいます
筆者は離婚後の生活や人生の変化をテーマに出版しようと
発案したことが10数年前にありました

出版社と何社か相談した結果、売れない!
と答えが出たのですが・・・売れるのはむしろ離婚ノウハウ本
だということになり、その内容には興味がなく出版はパスした
ことがあります

その際に、資料としてネットで集めた情報やインタビュー記事
から判断できるのが、昨今離婚で大きく落ち込むのは男性と
相場が決まるようになってます

離婚直後に女性は大きく落ち込みますが、2~3年もすると
自分を取り戻し、離婚で苦しんだ時とは打って変わって元気になります
ところが男性は離婚直後は仕事に打ち込むことでダメージを隠せますが
その後、ジワジワとダメージが効き始め人生を失うケースさえ出てきます
この男女の性差は高齢者でどちらかが先立たれた際にも同様に登場します

大方の男性は奥さんに先立たれると急に元気をなくし2~3年後に
後を追うように死去するケースが目立ちますが、女性の場合は逆です
亭主の死後、急速に沈みますが2~3年もすると今度は逆に元気を
取り戻し以前よりも外出が増え行動範囲が広がり元気がみなぎる
ケースが多いです

筆者の見解としては、男性は結婚で女性に生活面で頼り切ってしまう
傾向が顕著だと感じます。女性は結婚で日常の生活面について逆に
男性を抱え込むように自分の守備範囲として管理計画するタイプが
多いように感じます
そして、その傾向は強まっていると思います

したがって、今回のようなネタ記事の結果は多くの夫婦で予測される
事例だと感じます



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