採用におけるペルソナ設計
複数の候補者の中から自社にマッチする人材を見つけ出すために、総当たり的に面接するというのは手間も時間もかかり、非常に効率が悪いです。
総当たり戦で消耗しないために有効なのが、事前にペルソナを設計することです。
今回は採用におけるペルソナ設計のポイントをご紹介します。求人票作成や採用広報活動などで役立ててもらえれば幸いです。
ペルソナとは?
ペルソナとは元々は心理学でよく用いられた考えです。古典劇において役者の用いた仮面のことですが、心理学者のユングが「人間の外的側面」をペルソナと呼称したことにより、マーケティングの世界では「企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」と定義されています。
ペルソナはできるだけ具体的であることが重要です。「実際にいそうな架空の人物」として名前や年齢、家族構成、趣味、居住地、生活スタイルなどリアリティを追求します。
そのうえで、こういう人だったら「自社のこの制度に魅力を感じそう!」「このポジションでこういう活躍をしてくれそう」という具体的なイメージが生まれます。
ここから、候補者のペルソナを設計するためのポイントを4つご紹介します。
社内でペルソナを共有する
当然のことですが、ペルソナは募集ポジションごとに設定する必要があります。そのため、綿密なペルソナを設計するには、人事担当者の頭の中だけでなく、配属されるチームのメンバー・関連が深いチームのメンバーなど、全社的な意見を取り入れる必要があります。 仮にマネージャークラスであったり、経営層に近いポジションの募集の場合は、経営者・幹部の意見も取り入れることで、「こんなはずではなかった」という後出しジャンケンのリスクも減らすことができます。
求める人物像の要件をブレストする
ポジション募集をしているチームのマネージャーや採用メンバーから基本的な要件をヒアリングし、書き出します。この段階では、ブレストの要領で細かいことは気にしなくてOKです。 完成形を目指すのではなく、一旦「たたき台」を作成するイメージです。ブレストでは質より量が重要です。
求人に載せる「マーケター 時短勤務可能」などのキーワードから連想できる人物像を 「事業会社のマーケターとして第一線で活躍してきたが、結婚出産を気に現場を離れて、子育てしながらもやりがいのあるマーケティング活動ができる会社を探している」という感じで思いつくままにイメージを立てていきます。
このような荒いイメージから子どもの有無・自家用車の有無・趣味や人間関係など、以下の項目も踏まえて細かく書き出していきます。
- スペック(年齢、男女、学歴、年収など)
- 経験、スキル
- マインド、価値観
ブレストの他に社内リサーチをかけるのも有効です。
職種別に「仕事をする上で大切にしていること」「必要なスキル」「入社の決め手」「年齢」「中途か新卒か」などアンケートに協力してもらい、自社で活躍している社員の「どんなことを考えて働いているのか」「職種や年代でマインドがどう違うか」という情報もペルソナの参考にできます。
ブレストで完成した要件に優先順位を付ける
ブレストや社内アンケートでペルソナの仮設定ができあがったら、再び採用チームでペルソナを検討し、求める人材の要件に優先順位を決めます。
仮設定のペルソナでは、数多くの意見をより集めたことで、オーバースペックになっていることが多いので、そこから絶対に外せない要素を見つけ出し、より自社の実態にマッチする要件に整えていきます。
定期的にふりかえり、ブラッシュアップ
設計したペルソナに合わせて、求人票を作成したり、採用広報で情報を発信しているのに、マッチした人材からの応募がなかったり、そもそも母集団の形成ができない場合は、ペルソナの理想像が高すぎる可能性が高いです。また、選考の過程で候補者がペルソナとは程遠いと感じてしまうこともよくあることです。
ペルソナは、最初から100%自社の理想に合致することはありません。
結果につながらなかった場合は、現実を受け入れて、柔軟にブラッシュアップしていくことが大切です。
いかがでしたか?ペルソナ設計は、設計のコツをつかみ、成功体験を得ると、別の機会に似たようなポジションで採用ニーズが発生した場合に応用することもできます。
成功例・失敗例の知見を回を重ねるごとに溜めて、カイゼンしていくことが大切です。
また自社の環境・ニーズだけでペルソナを設計してしまうと、応募が集まらない・ミスマッチな応募が続くなど、結局効率の悪いスパイラルに入ってしまう可能性もあります。ペルソナを立てるときには、自社の目線だけではなく、採用市場の状況も踏まえてのペルソナ設計のノウハウを持つことが自社にマッチした優秀な人材の確保につながります。
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