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invisible holidays(2020.06.21~06.30)


 2020年6月21日

 例えばこんな怖い漫画。ある人間型機械に、手足のない子供達を浮かべたガラス容器が繋がれている。その機械を子供を理不尽に断罪して「吸い殺して」しまう。その女の子は、どうにかこの理不尽から逃げ出さねばならないと思う。この理不尽は過去のものだ。現在も、これに似た理不尽が続いているのだけど、それがどんなものか、思い出せない。寝起きから壮絶に首を痛めてしまった。結果的に寝過ごさずに済んだ。複雑過ぎて全く覚えられない地下鉄だけど、南北線が王子の向こうの赤羽まで延びていて、更にそこから埼玉高速鉄道線に接続して荒川を潜って鳩ヶ谷方面に繋がっている、という地理関係を今日初めて知った。埼玉県民として一度は乗ってみたい埼玉高速鉄道線だけど、乗る用事が全くないうえに、一度赤羽で降りて赤羽岩淵駅まで歩いてという手間が面倒過ぎるのだ。王子で降りたらホームから観える飛鳥山公園がすっかり緑色だった。飛鳥山公園の斜面の縁、線路の脇に沿う小路に紫陽花が観えたので、寄り道してみることにした。ここも紫陽花の名所の一つなんだろう、考えることは皆同じ、日曜日で過ごしやすい温度、わりと晴れている、当然のように本格的なカメラを用意した老若男女が密集して狭い小路が封鎖されている。普通に歩くのも大変。私もスマホで写真を撮りまくっているので何も言えない。薄暗い小路は湿って水溜まりが出来ている。沢山の紫陽花が、一段高い斜面から丁度私達の頭にぶつかってくるような高さで鮮やかに身を乗り出している。フェンス越しには雑草の生い茂る線路の空白が錆びていて、高架の壁で程よく視界が規定され、電車の騒音で人間の騒がしさが上書きされ、子供達が遊び、柵の向こうの公園敷地内では、ザリガニを釣る子供達がいて。梅雨の観光地として雰囲気は上々だ。本格的な機材を用意したカメラマンがモデル撮影している。小路も結構な長さがあるので存分に紫陽花を堪能出来る。取り敢えず片道は写真を撮り溜めて、帰りはゆっくり眼の保養にしよう。小路の果て、飛鳥山公園の外周に沿うように初夏の日向へと登っていく坂道を探索するのは、流石に今日の目的ではない。電車が間近を駆け抜ければ風が小路を巻き上げる。紫陽花が頭の高さに「乗り出してくる」迫力と、狭くて薄暗くて苔むした小路の涼しさとが噛み合って、とても心に優しい場所だった。駅前まで戻って南北線の王子駅へ降りる。がっちり全面を覆うタイプのホームドアが設置されていたのだけど、ちょっと怖いのだよな、このタイプのホームドア。隣の西ヶ原駅は、前回横切った国立印刷局のあたりに出口があったはずだ。地下鉄は土地の起伏をものともせず縦横無尽だからつくづく経路が分からなくて、試しにGoogleマップを確認してみたら、飛鳥山公園の真下を潜って、旧古河庭園、六義園の脇を抜けていくわりと豪華なルートを通っていた。本駒込駅で降りた。地下鉄の駅は、無機質を突き詰めた味気ない空気は好きなのだけど、各駅の個性に欠けるので観光の甲斐が薄い。地下鉄の駅マニアだという人間がいたら、きっと相当な猛者だろう。私は見事に目的地と逆の出口から出てしまった。道端の地図を確認したら、こちら側周辺には寺院が沢山集まっているみたいなので、折角なので探索してみることにした。常徳寺、養源寺、蓮光寺、光源寺、清林寺、顕本寺、海蔵寺、眞浄寺、大林寺、専西寺、長元寺、十方寺、瑞泰寺、常瑞寺、榮松院、高林寺……金ぴかの巨大な駒込大観音。これはちょっと驚いた。一角歩けば寺社にぶつかるぐらいの凄まじい寺社密度。谷中の寺町にも匹敵するだろう。鎮守の森を残した厳かな御寺もあれば、すっかり街に溶け込んだ整った御寺も、とにかくごちゃごちゃした御寺もある。本堂の様式はもうバラバラで、木造建築じゃないなんて当たり前、ちょっとした前衛建築みたいな御寺もあった。私個人は、墓場は森に守られていたほうが落ち着くし、味気なくても木造建築の本殿のほうが好きだなぁなんて思う。隣り合った寺院では墓場の境界が曖昧で、向こうの建造物が柵一つ挟んで実は別の敷地だったなんてこともしばしばだ。墓場に紫陽花は良く似合う。日曜日で薄曇り、人気も静かで、湿った木々の香り、東京のど真ん中なのに侘しい。蓬莱町という大袈裟な町名は、寺社が集まっていることに由来しているらしかった。日曜日なので墓参りの家族とも擦れ違う。人間の数だけ墓はある。ならば、大都会東京は当然、墓だらけであって然るべきなのだ。都知事選のポスター掲示板があった。埼玉県民で良かった。都民だったら今頃心が死んでた。ここは東京だから、探索の間に何度もこれが現れて、周辺の平和で穏やかな街並みを見事にぶち壊す。世界を壊すのに武器なんて要らない、板切れと紙切れさえあればいい。一旦は見事に道に迷っていたけど、何とか最初の場所まで戻ってこれた。再び本駒込駅まで戻って反対側を目指すことにする……が。この寄り道で寺院と墓地を十六箇所も回って写真を撮りまくっていたせいで、またスマホの容量が危うくなってしまった。まだ昼の二時なので時間的には余裕、スマホの電池も60%残ってる、充電池もある、でも容量がない! 反対側の出口に出てしまっただけでこの壮大な寄り道である。周辺の寺院は概ね立ち寄ったんじゃないかな。我ながら堪能し過ぎだ。白山上交差点付近は空気が妙に洒落ていて、起伏が賑やかで見通しも面白いし、人通りも多い。都営三田線の白山駅の付近、麺や越、で冷しつけそば。時節柄なので飲食店は机を逐一除菌しなければならないから大変だ。スマホの容量をちょっとでも空ける努力をする。急いでTwitterに艦これのスクショを挙げて、五月分のスクショをざっと百枚分程処分。Twitterは精神に悪いので直ぐにアンスト。電池を無駄に消費してしまったけど、御店を出たのが三時、まだ時間には余裕がある。そして目的地、都内の紫陽花の名所の一つ、白山神社だ。因みに私の実家の最寄りの神社も白山神社である。北陸ではポピュラーな神社だったけど、白山信仰からは程遠い東京にも白山神社があったのは知らなかった。境内には沢山の鮮やかな紫陽花が咲いていた。日曜日だし、過ごしやすい気温だし、混んでいた。若者も多い。紫陽花自体が大輪で華やかで、多少の混雑には負けない強さがあるけれど、境内はそこまで広くないし、無数の観光客がわらわら集まって紫陽花に向かってスマホやカメラを構えている様子は、流石に情緒があるとは言えない。渡り廊下を潜って裏手には紫陽花で彩られた富士塚がある……白山神社なのに?……けれどこの塚も感染症の影響で立入禁止だった。紫陽花に囲まれた公園では、子供達がはしゃいでる隣でカメラやスマホを構えた私達がうろうろしている。ここでも本格的な機材を用意したカメラマンがモデル撮影をしている。そういう季節なのだ。紫陽花に相応しいはずの薄暗い天気も、この土地では湿り気が足りないのか中途半端に思える。黒猫が寄り重なって岩のうえで寝ていた。石柵のうえにも一匹いたけれど、人間を怖がる様子がない。特に探索が必要な広さでもなかったし、三十分程度であっさり撤退することにした。次の目的地、小石川植物園を目指す。ふと、私のセンサーが道端の軒先に並べられた雑誌類の雑多さに引っ掛かった。横道に逸れてみたら案の定古本屋だった。旅先であっても古本屋を見つけたら何か買って帰る、というのが私のルール。坂道の突き当たりの白山下交差点を渡り、再び坂道を登っていくと東洋大学京北中学高校の巨大な校舎があって、向かいに小石川植物園の裏門が……例の感染症の影響で、まだ閉館中を知らせる貼りがあった。この時節にはこういうタイプの門前払いがあったのか! 都内の公立施設だもの、幾ら自粛ムードが緩んできた時期とはいえ、事前に予想しておくべき事態だった。取り敢えず正面玄関だけでも拝もうと外縁沿いの坂道を降りていくのだけど、敷地を囲む塀が、長い長い。斜面を生かした庭園なら旧古河庭園が見事だったけれど、植物園がどのようにこの斜面を生かしているのか実に気になる。正面玄関の門の向こうで猫が一匹寝ていて、家族連れがそれを覗き込んでいる。そのまま植物園の外縁沿いを歩くのだけど……これがまた、長い長い長い、いつまで歩いても透かしを入れた銅製の飾り塀が終わらないのだ。良かった、閉まってて良かった、既に二度目の容量僅少の警告が出始めていたし、もう四時過ぎてるし、迂闊に入館して敷地の広さにてんてこ舞いにならなくて済んで良かった。日曜日なのでランナー達と頻繁に擦れ違う。塀から木々が乗り出していて鬱蒼としていて、歩道には割れた蜂の巣が落ちている。蜂の巣? しかもデカい。既に中身はいなかったとはいえ、このデカさと危険な紋様、さてはスズメバチの巣じゃあないか? 外縁の端まで来たら園内に真っ赤な建物が垣間見えた。ここはいずれ時間を取ってゆっくり観光することにしよう。塀が途切れたその先には簸川神社なる神社がある。漢字が読めない。急な階段を登ると、寂れた、というか、街の空気に押し負けて草臥れてしまったような神社があるだけだ。社殿はコンクリート製である。ここまで潔くコンクリート製で作られた社殿はなかなか記憶がない。駐車場から裏手に出ると氷川坂という酷く急な坂道がある。このあたりは土地の起伏が激しくて探索のし甲斐がある。不安定な坂道だらけの土地に無理やり大都市を乗っける無謀こそが東京二十三区の醍醐味なのだから。山手線の内側だけれど、この周辺は程好く都会感や高級感に染まらない街並みが残っていた。まぁ実際に住もうと思ったら家賃凄いんだろうけど……こういう街で迂闊に擦れ違う脇道には、私の知らない人間の生活が匂っていて、何もなくても充分に魅力的なのだ。しかし完全に迷子である。自分の居場所を全く把握していない。ほんのり霧雨のようなものが頬を触り始めたし、実は傘を持ってきてないので、万が一にも降り始めたら惨劇が起こるだろう。適当に休める場所を選り好みしながら気紛れに歩き回っていたら不忍通りに出た。不忍通り……ちょくちょく遭遇してるのに、都内の何処をどう走っているか全然分からない。小学校入口が交差点名になっているのが面白い。そこから千石一丁目交差点で白山通りに合流した。白山通り、恐らく白山神社と関係があるはず、と適当に左に曲がって道なりに歩いてみる。道中で立ち寄った酒屋さんでサントリー スペシャル・リザーブ700mlを購入する。白州ベースという文言と、ソーダ三本プレゼントというポップに惹かれた。でもソーダが硝子瓶入りは聞いてなかった。歩いていると硝子がカチャカチャ鳴るし重たい。流石に何処かで脚休めがしたかったので、らぁめん 生姜は文化。に立ち寄って醤油ラーメンを食べる。白山神社以降の行程を日記にメモする。これだけで相当時間が掛かった。あんまり席を占領するのも宜しくなかろうに。電池が減ってきたので充電池に繋いで、恐らく過去最低ラインまで減ったスマホの容量を強引にちょっとだけ空けて、六時近くになってようやく席を立った。店内はずっとB'zが掛かってた。B'z専門の有線があるんだろうか。引き続き白山通りを道なりに歩いていたら、驚いた。巣鴨駅に辿り着いてしまった。巣鴨方面に歩いている自覚は全然なかったのだ。今更になって地図を確認してみたら、白山通りで折れるのは間違ってはいなかったのだけど、白山神社とは見事に逆方向へと歩いていたのだ。でもJRの駅に辿り着いてしまえばもう迷うことはない。流石に以前立ち寄ったとげぬき地蔵尊をもう一度拝む必要もなかろうし、今日はこれで撤退することにする。駅ビルに成城石井があったので、給料日だしちょっと買い込んだ。クーベルチュール58%、和三盆ポルボローネ、スナックサラミ チョリソ味、牧場のドーナツ。買い物の途中に胃に嫌な痛みを感じた。空調に当てられたのと、何より、流石に二食連続でラーメンは重かったみたいだ。駅ビルの端っこに屈み込んで胃薬飲んで、山手線に乗って田端で京浜東北線に乗り換える。買い物袋が重い。硝子瓶入りソーダ三本が完全に不意打ち。でもこれで部屋でハイボールが出来ると前向きに捉えよう。電車で腰を降ろしたらどっと疲れと眠気が襲ってきたので、夜風が涼しいし二十分程バスを待ってベンチに座っていた。部屋に帰ったら早速布団にぶっ倒れた。適度に仮眠を取って、さぁここからが大変である。残り100MB台という恐怖の表示が出てしまったスマホの容量を空けるため、去年九月の文学フリマ大阪終了後の難波→法隆寺の写真をInstagramに放流してからUSBに移すという作業を遣って、さらに日曜日なので艦これのウイークリー任務も終わらせねばならない。夜中にドーナツを食べたら甘くて胃がもたれた。どうやらスクショ画像より写真画像のほうが重たいらしくて、幾らスクショ画像を減らしても、写真画像をどうにかしない限り根本的な解決にはならないようなのだ。兎角100枚近く写真画像を減らしたら何とか最悪の状況は脱した。Instagramの投稿数が1000を越えた。でもスマホのなかにはまだ5000枚、外付けハードディスクのなかにはさらに10000枚写真が残っている。とても管理しきれない。どうしたものだろう。深夜になると倦怠感が酷くなってお風呂さえ億劫で、折角色々買い込んだのに口に入れることも出来ぬまま寝込んでしまった。この「寝込む」という肉体の不調をどうにか緩和する方法が欲しい。「寝込んで」も眠れるわけではないので、寝込んだせいで寝不足になるってどういうことだろう。和三盆ポルボローネを食べた。美味しいのだけど、キュ、キュと噛んだときにたまに擦れる音がして鳥肌が立つのだけは勘弁。四物血行散がいつも物凄く飲みにくいので、いっそ水に溶かしてしまった。酷く不味そうな色の水が出来た。


 2020年6月22日

 とある出版社が新しい新書のレーベルを立ち上げるらしい。あれ、ここ、既に新書出してなかったっけ。実はこの出版社が出していた新書サイズは厳密には新書ではなかったのだ。新しい新書レーベル発足に伴って、これ等の古い新書サイズをどう処理したものか知り合いらしい書店員さんが悩んでいた。トイレットペーパーが積まれている。そのうえに、何故かポケットモンスター SPECIALが面になって展開されている。私は文学系の講座を受講している。講師から分厚い紙束を渡される。過去に新人賞で惜しくも落選した幾つかの作品が印刷されたものらしいのだけど、非常に分厚い。近くに座っていた女性が歌い始めた。どうやら彼女は紙束に掲載されている詩の作者のようだ。彼女の歌うサビのフレーズ、何処かで聞いたことがあるような? 掲載された作品の一つは、女の子が主人公だけど作者は還暦を過ぎた男性なのだという。詳しい批評は宿題になるので、手始めにある一作について講師が説明を始めた。はて、紙束は先程鞄に片付けてしまった、どれだろう? ここにある水木しげるの世界、というのは分かりますね、と講師は水木しげるの世界について語り始める。昨日傘を職場に忘れてしまった。小雨だし、バスと電車を乗り継いでいくのだから大丈夫だろうと出勤したら、雨宿り出来ないバス停で濡れてしまった。電線から塊が爆撃する。銀杏のしたに避難するけれどやはり塊が爆撃する。田端駅では竹箒でコンクリートを削ろうとするようなざしゅう、ざしゅう、ざしゅうという音が響き、薄れ、上野駅ではホームの屋根から雨量にそぐわない滝のような雨垂れが線路に注がれている。職場に私の傘はなかった。あれ? 今日も雨で暇を持て余したのでこっそりプロットを書き続けた。法隆寺の写真をInstagramに流してスマホの容量を空ける準備をする。帰宅後は艦これをだらだら。今夜はスペシャル・リザーブを開封。ロックに注いでみる。香りは鼻の通りがすっきりするような爽やかさ。白州ベースとのことだけど、白州に比べると苦味の押しが強い印象。舌にじっくり残る。この残り香に、ドライフルーツのパイナップルの濃縮された刺激的な酸味が上手く接続する。この組み合わせは魔境だ。同じ氷で白州を舐めてみると、間違いなくスペシャル・リザーブのほうが風味が強い。白州の詫び錆びのある抑制された苦味もいいけれど、スペシャル・リザーブの威勢の良い苦味も悪くない。公式のテイスティング・ノートは見付からなかった。今夜は酔いが回るのが早い。


 2020年6月23日

 取り敢えず、何かの事件を解決しようというらしい。私達は、てんでばらばら、記憶の断片のあちこちに千切れてしまって、その記憶の断片と一緒に漂流してしまう。登校中の中学生達と擦れ違った。何気に久々の光景だ。今日は胃腸が露骨に悪い。何故か膝まで痛い。気圧? 湿気? 寒暖差? 明らかに手足の動きが鈍くなっていて、今日は重力が強い日なのだと諦める。今日の私は心が狭いので、無駄に意地を張って無駄にストレスを溜める。帰りにユニオンに寄ってマイナーを攻めてしまった。秋葉原で氷室の天地の残りの巻を探したのだけど、11巻だけが見付からない。いつもの中華料理屋は今日も宴会をしていて五月蝿い。秋葉原の女の子達は相変わらず華やかにうろうろしている。朝にクリーニングも受け取っているので荷物が嵩んで動きづらい。艦これの操作が下手糞だ。今日も駄目な日。最近は駄目な日が続く。天候が安定しないのが悪い。身体が動かない日は、動かない日に相応しく寝込んでしまうのだけど、問題はお風呂に入らなきゃ寝れないことである。でも遂に眼科に予約の電話を入れたので大いなる一歩。法隆寺の写真も順調にInstagramに放流。寝る前にスペシャル・リザーブのロック、ドライパイナップル。苦味のなかにほんのり甘味も混ざっている気がする。舌には残るし、喉にも響くけど、喉や食道には残らないのですいすい呑める。お風呂上がりにストレートを軽く嘗めてみた。残る。断然舌や喉に残る。ロックほど苦味は強く感じないけど、一嘗めがビリビリ容赦なく残る。他のウイスキーのストレートと比較しなければ。ソーダ割りも試してみた。目測で1:5ぐらい。ソーダ割りにすると、薄ら苦い炭酸の液体というだけで飲んでて楽しくない。そういえば、私が二十歳を過ぎてバイト先の飲み会で初めてハイボールを呑んだとき、何やこのただ苦いだけの液体、って結局呑み切れなかったんじゃなかったっけ。私が呑めるのはハイボールじゃなくてジンジャー・ハイボールだ。とはいえ苦味が印象的なジャパニーズ・ウイスキーではなくて、ピートの効いたスコッチや、辛味の強いバーボンをソーダで割るとどうなるのか、ここは宿題。


 2020年6月24日

 レビュー大会が開かれていたのだけど、会話が噛み合わないうちに脱落者が出た。みんなの用意した背表紙をざっと見ると結構ダブっている。今日の記憶はこれだけ。もっと険悪な何かが起きていたはずなのだ。最近はどうも忘れっぽくて困る。朝から左眼が充血気味だし、踵が痛い。この二日程はThe BeatlesのDay Tripperばかり口ずさんでいる。普通に制服姿の子供達を見掛けるようになった。昼間から胃腸が悪い。白米を三杯食べて、胃薬を飲んだ。今日も重力が強いのでゆっくり歩く。胃腸が悪いと無性にお腹が減って食べ過ぎてしまう。それでまた胃腸を悪化させて食べられない、という負の連鎖。秋葉原で氷室の天地を探したら、流石秋葉原、特装版まで見つけてしまった。知らない短編集まであった。それで私はすっかり疲れてしまった。秋葉原は今日も通路を埋め尽くすような混雑で、駅前には気持ち悪い馬の被り物のドラマーがいる。今日は何だか物を考えるのが面倒臭い。今日何があったかも上手く思い出せない。ほぼ毎日通っている御近所に古美術店があった。あった? あれ? 酒屋さん、お花屋さん、お寿司屋さんが並んでいたのは知っている。けれどお花屋さんとお寿司屋さんの間に、こんな古美術店なんてあったっけ? そもそもこんなところにお店の類いなんてあったっけ? 私は後部座席に座っている。後部座席には摘まみがあって、知らず知らず摘まみを触ったらフロントガラスの色調がバグって狂い出したので、またか、と他の同乗者達に怒られた。運転席の青年が狭い路地をバックで進んでいくのだけど、まぁ危ない運転で、何度も接触しかけて住民のおばさんに怒られる。途中で七人兄弟と名乗る一団に擦れ違った。そのうち二組は双子だ。長女・次女にあたる双子の行く末について、同乗者の一人が何か切ないことを言った。私が後部座席に乗り込むまでに、私の冒険はもっと続いていて、無能かと思われた太っちょの人物が部下を駆使して敵の大将に致命傷を与えたりする展開に巻き込まれたはずなのだけど、そんな記憶は何処に仕舞ってしまったのやら。私は寂しくなる。私は失われてしまった記憶と、そこに生きていた人達との存在しない会話のことを思って悲しくなる。普通に寒い。めっちゃ寒い。艦これを触りながら記憶を思い出そうと努めたけれど、懐かしさの欠片に寂しい気分になるばかりだ。気がつけばレベルが103になった。月末でイベント前なのに眠気ばかり強くて任務消化が捗らない。首が厭に痛い。早朝までだらだら艦これをしていたら地震が起きた。今回の地震は揺れが長い。二階でからんからんと鍋が落ちたような音がした。部屋がメキメキする。人間の体でさえ幾らでもメキメキするのだから、木造アパートの一部屋ぐらい地震でメキメキしたって可笑しくはない。2-5を周回して任務を消化してるのだけど、大破撤退、索敵不足、編成間違い、T字不利、ルート逸れ、押し間違い撤退、準備不足と運の悪さが重なって、二時間近くやってるはずなのにボスコマで二勝しか出来ていない。まだレベル25のままだった青葉さんの索敵値が低過ぎる。探電乗せると火力が減るし。ドラム缶乗せたら水上爆撃機積めないし。編成が重たいから折角貯めた資源が減るし、バケツも馬鹿みたいな速度で消える。やっぱり2-5は鬼門だ。雷巡殺し損ねて雷撃事故で中破して次の戦闘でカスダメ喰らって大破撤退とか、本当に酷い。結局今日のところは諦める。早朝に無駄なストレスを溜めて眠るのは不本意。


 2020年6月25日

 二階にいる猫は、紐で何かを脚に括りつけられている。猫はそれを引き摺って生きている。私達は何かのゲームに参加している。詳細は忘れてしまったけど、各地でアクションをこなしつつ謎解きに挑戦するものらしい。どうやら裏では同時進行で命懸けの怪事件が起きている。運良くとあるゲームの上位に食い込んだ私達の元に、猫に変えられてしまった少年がやって来た。彼は先だってもメッセージを残したらしいのだけど、曲がった線で描かれた変な図形にしか見えなくて意味が分からなかったのだ。挑戦者の命を狙う犯行予告が出された。どうも頭上から襲われるらしい。私達はバスに乗っていて、突如、窓際の席に無数の落石が降り注いだ。私は咄嗟に両腕で頭を覆う。何とか大事に至らずに済んだけれど、バスに乗り合わせていた乗客の何人かが武器を持って襲ってきた。けれど私のボディーガード、まるでエルキュール・ポワロみたいな太っちょの探偵が、棒を振り回してこれを見事に撃退してみせた。他の乗客達が彼の活躍に感動して、彼の鞄に名刺代わりに自分の手荷物を差し込んでいくので彼は御満悦だ。そのうちの一人が、今回の出来事の鍵になる土地の権利書を差し込んだ。これは思わぬ収穫と探偵はにやりとする。呼吸が何度も息詰まって、首は凝り固まって胸が痛い。私は私の失われた記憶を思い出そうと頭を捻りながら、枕の位置を反対にしてうとうとする。新しい記憶が増えて、また消えた。仕事終わりに冷やしラーメンを食べた。葱が沢山浮かんでいる。葱は胃腸に負担が掛かるから怖い。でも結局全部食べて胃薬を飲む。銭湯に行く。アキレス腱に豆が出来ている。靴の背がアキレス腱に触れないように歩くと、今度は足の裏が裂けるように痛くて、私は右足を引き摺りながら夜を歩く。駅から部屋までの十五分、神経過敏がダウナーな方向に痺れている。艦これの2-5の単発任務が終わらない。段々苛々してきた。鈴谷さんに瑞雲ガン積みしてやっと索敵値が足りてボスマスに流れるようになったのに、ボスを仕留めきれず、羅針盤逸れ、道中大破撤退地獄に陥り、挙げ句がボスコマに進む直前でフリーズする始末、なんでこんな理不尽な運ゲーで神経削りながら折角貯めたバケツと資源を無駄にせなあかんのや、なんて心の底の汚い西日本弁が沸いてくる。明日は眼科に行かなければならない。未だに給付金は一切の音沙汰がない。疲れている。何だか色々と疲れている。慢性疲労のなかで月末の艦これのイベントに突入して私は無事に生き延びれるのだろうか。氷室の天地のドラマCDを聴きながら、妖怪3足りないで夜中に悲鳴を挙げた。運ゲーにも程がある。ふざけんな。


 2020年6月26日

 地元を歩いている。前を歩いているのは親戚のお嫁さんだ。私達はお墓のある山際の方向に歩いていくけれど、田舎の斜面に突如コンクリートの壁と階段が聳えていて、こんな場所に何を作ったんだ? と私は訝しく思う。私達はお墓には寄らず隣の集落まで歩いた。隣の集落には、駅舎があって、小さな商店も並んでいた。あの寂れた田舎に駅? 本当に? 私達は駅前で親戚のお婿さん達と合流した。このお嫁さんも、お婿さんも、私は一度も面識のない人達である。艦これはメンテナンスに突入した。無駄な2-5周回のせいで勲章集めもウイークリー任務消化も出来ないままイベントに突入しそう。中学次代の同級生LINEでいつもの二人が下世話な話で盛り上がる。周囲はもう特に反応しない。二人は誰にも祝福もされない充実っぷりをアピールし続ける。私は二人の行く末が心配になるのだけど、多分一番酷い生活をしている私に、彼等の人生を心配する権利なんてないので、放っておくしかないのだ。地面のアスファルトが熱を吐き出して埼玉は暑くて暑くて仕方がなかった。川口のそごうがあと248日で閉店してしまうのだそうだ。こんな巨大なビルが閉まったら、この街の営みはどうなるのだろう? ATMで間違えて五円と入れたら本当に五円だけが出てきた。ABCマートで職場用の靴を手に入れる。UNIQLOのレジの行列が凄い。私には縁のない高級な衣料品店は普段通りに振る舞っている。あと248日しか寿命がなくても体内は普通に動き続けるんだ、なんて思う。さて本日の私は給付金を見込んで色々と買い揃えてるんだけど、六月のうちにちゃんと給付金は振り込まれるのだろうか。一年ぶりぐらいに眼科に行った。コンタクトレンズが高くて困る。待合室では子供がごねてお母さんを困らせている。角ハンガーを探してドン・キホーテに寄る。ごちゃっとした場所を探索するのは好きなのだけど、窮屈な場所では息切れを起こす体質なので適当に買い込んでから脱出した。真向かいは工事現場になっている。そごうが閉店する真後ろで、また新しい何かが建設されている。駅前の図書館がやっと再開したらしいけど、この大荷物で図書館に乗り込むのは気が引けてしまう。駅のおにぎり屋さんでは店員さんが会計の打ち込みを間違えて待たされる。口汚いおじさんが駅の構内で大声で喧嘩を始める。駅員さんがそれを監視している。部屋までの十五分が暑くて堪らない。ダンゴムシの幼虫! と叫びながら、子供が公園へと走っていった。今日は室内のほうが涼しい。室内のほうが暑い日と、室内のほうが涼しい日との違いが何なのか、私にはまるで分からぬ。艦これのメンテナンスの延長が告知されていた。今日中には間に合わなさそうだ。また軽く三時間程寝落ちていて、うとうとしながら、何かしなきゃ、何かしなきゃと焦っていたのだけど、実際眼を覚ましてみると別に遣らなければならないことなんてなかった。下手な体勢で寝たので背中が痛い。久々にTwitterを開いて、旅徒然の写真を幾つか挙げた。ずっと離れていた好きな漫画家さんのアカウントを確認した。時々時事ニュースに触れるRTが流れてくると、慢性的な神経過敏に陥っている私は酷く鬱な気分になってしまう。普段はこんなにも穏健な漫画家さんなのに。いや、そもそも、私は余りにも長く世界から離れ過ぎて、誰かの共感を求める言葉が尽くザクザクと鎖骨の隙間あたりに刺さる脆い体質になってしまったのだ。漫画家さんの二匹の飼い猫のうち一匹が亡くなられたかもしれない記述があって、過去の呟きを遡ってみたのだけど、決定的な記述まで辿り着けなかった。あんなに可愛くて、ずっと私を癒してくれた存在の最期を確認出来なかったというのは、Twitterから離れても全く困らない生活をしてた私の、最後にして唯一の後悔になるかもしれない。急に寂しくなった。最近は神経が安定してるつもりだったけど一旦傾くと揺れ幅が大きい。私はどうしてこんなに脆くなってしまったのだろう。百円で買ったサニーレタスを食い散らかす。これを笑える元気はあった。
https://togetter.com/li/799935
Twitterに艦これのスクショを挙げて処理していたら深夜三時になっていた。Twitterをアンストする前に、猫妹さんがやっぱりお亡くなりになっていたことを決定的に確認した。それも五月の頃。随分遅れてしまったけれど、御冥福を御祈りします。誰かの、何かの死は、いつも悲しい。私達は不可逆の世界をゆっくり、ゆっくりと歩いていくのだ。


 2020年6月27日

 職場用の新しい靴を履いた。新しい靴が足に馴染まなくてまともに歩けない。比喩ではなく、本当に、両足を引き摺って歩いた。今日は土曜日だからバスはいつもの時間に来ないし、二十分蒸し暑い朝を歩いたらへとへとになってしまった。紐を結び過ぎると甲の部分が痛いし、緩めると踵が酷く擦れる。薬指の爪が剥がれそうになる。膝が痛い。重心が偏って踵も痛い。というか下半身の全てが痛い。半日働いて既に限界がきた。多分親指に豆が出来てる。何とか一日耐え切ったけど小指がもげそうだ。とても部屋まで歩いて帰れないと、堪えられずに中敷きを抜いた。靴屋の店員さん曰く、甲のあたりに余ってる部分があると靴擦れの原因になるから、と追加の中敷きを勧められて実質六百円ぐらいで買い足したのだけど、どう考えても中敷き抜いて余裕持たせたほうが楽に歩ける。多少擦れる感じはあったものの、爪が剥がれるとか指がもげるとか皮膚が裂けるとか踵が壊れるとかいう悲惨な状況に比べれば遥かに天国だった。騙された、とは言わないまでも、もうちょっと店員さんと相談すべきだった。昔から靴選びには酷く難渋している。私は無駄に足が大き過ぎる。スニーカーならゆったりしたのを買えばいいのだけど、職場用の靴となると、なかなか予算内で合うものがない。今日は本屋でまた散財した。それはともかく、給付金を当てにして靴やコンタクトレンズを新調したのに全く音沙汰がないので、早くも預金残高が大変なことになってきた。理不尽な市民税も今月一杯が期限だ。本格的に生活への不安が沸いてきた。七月は実家の仕送りに頼りきることになるかもしれぬ。しかも艦これのイベントのために三千円で保有艦数枠と編成記録枠まで買ってしまったし。こんな夜にはスペシャル・リザーブのロック。相方は冷やしたバナナチップスチョコ。それからチーザ。今日のリザーブは鼻に抜ける。食道にも残る。月末なので艦これの3-5で勲章回収をしてるのだけど、ゲージ削りは順調だったのに、ラストダンスに突入した途端こちらの命中率が謎の激減、雷撃事故で大破撤退の連発、やっとボスコマに到達したと思ったらT字不利を引いてカスダメ合戦という醜さ、帰宅してから延々と回してるのに全く先に進まない。アルコールを投入したせいで頭が熱くなって苛立ちが止まらない。2-5での任務挑戦失敗といい、イベント挑戦前に縁起が悪過ぎる。何とか意地を張って3-5と2-5の勲章を回収して、1-6を遣ってる途中で眠たくなって二の腕を頭に乗せてうとうとしていたら、何処かから雨音のような、ばち、ばちゃ、ばちゃ、みたいな耳鳴りがした。最近虫歯らしき疼痛がして不安になる。


 2020年6月28日

 私達は余り居心地の良くない国で、余り居心地の良くない冒険をしていたようだ。頭を丸めた僧侶のような、悪魔のような顔をした男性と、あと至極地味な格好のプロゲーマーみたいな男性が、この可笑しな国を終わらせるために暗躍している。僧侶は壁をよじ登っているうちに襲撃を受けて体が朽ちて、この二人が出会った時、何か歴史が動き出す、或いは、巻き戻るらしい。ところで私達はその国の命により、愛着のあるとある道具を自ら破壊しなければならないことになってしまった。私達は仲間と協力して、ふざけた振りをしてどうにか誤魔化した。私はその国のルールに従って余所者であることを示す灰色のカーディガンを羽織っている。その国の国民であることを示す明るいカーディガンを着た知人が、親しげに背中を叩いてきた。その国の何かの精神が終わったあと、私は何処かの部屋で、部屋の隅に放り出された寝具と衣服を漁って、車に乗り込んだ親族のみんなから、帰るよーと声を掛けられたので急いで着替えを済ました。エスカレーターがカートで塞がっていた。エスカレーターの手摺の回転で籠が回転している。カートをどかしてエスカレーターに乗り込むと、中腹でまたカートが引っ掛かっている。カートのなかには財布らしきものがある。私は上階の店員さんを呼んでこれを引き継いでもらう。私はこのスーパーマーケットの上階のアパートに住んでいて、同じアパートの何処かに知人も住んでいる。私の部屋には誰かが一緒にいて、私達は何かテレビを見ている。私は突然合唱コンクールに参加させられて歌わされた。でもわりと何とかなった。同人誌即売会はあっという間に終わり、知人の皆さんとも別れて帰宅する途中、懇親会に申し込んでいたことを思い出した。もうこの時間では間に合うまい。公民館のような場所にふらっと立ち寄ると、神棚の前で何か儀式が行われている。祖母が牛乳を飲んだりぶちまけたりしている。親戚の叔母さんが、合唱コンクール良かったよと誉めてくれた。テレビではアニメ調のキャラクターが動いていて、卑猥な物語が放映されていた。河原の土手に騙されて呼び出された女の子達が襲われていたりした。ゲームの新規イベントの告知CMもやっていた。左眼に当てていた掌を剥がしたら、コンタクトレンズが剥がれた。それも両眼とも。地面に落とさないように気をつけて洗面台まで運んでケースに沈めたけど、コンタクトレンズって、こんなに巨大だったっけ。私は知らぬ間に部屋の角に作られていた洗面台の鏡を見る。不自然に私の右眼の黒眼が横を向いていて、化け物のような顔だった。私はだらだらとpixiv百科事典を彷徨しながら1-6を消化した。そろそろイベント参加に向けて心構えを整えたいのに、何故か危険生物とか巨大生物とかを検索し始めたりする。ボウモア12年のロック。安定の磯臭さ。先日ドン・キホーテで買ってきた紋次郎いかを二本ほど食べる。noteの日記の編集作業をしていたら段々疲れてきた。私はトイレを掃除している。デッキブラシで床を磨き、ついでに巨大な照明の表面まで擦ったら飛沫が顔に飛んできた。慌ててうがいするのだけど、喉が上手くがらがら鳴らせない。それどころか喉が詰まって息が出来なくなる始末だ。ボウモア12年のソーダ割りを試してみた。これは新鮮だ。磯臭い炭酸水って不思議。でも磯臭さに炭酸の刺激が足されると丁度いい気がする。ドン・キホーテで買ってきたストーンヘンジのキャラメル・ポップコーンを開ける。異様な確率で噛み砕けない芯が入っていて、終始べっぺと芯を吐き捨てていた。私は遂に艦これのイベントを始めた。E-1の乙難度、最初の輸送作戦は大発積みまくって特に問題なくクリア。次のボスコマも最短一発で進めた。夜戦勝負になるとはいえS勝利も可能な展開。いよいよ蒸し暑さに限界が来た。これはきつい。外気温はそこまでなので、どうやら部屋のなかに熱が籠ってしまったらしい。季節が季節なので黒い悪魔対策の罠を部屋のあちこちに撒いただけでふらっと来てしまった。本当は窓を全開にして空気を交換したいところなのだけど、私の部屋の古びた網戸に蚊避け効果を期待するのは無謀である。廊下から遠距離で飛ばしてた扇風機を部屋のなかに引き込んで、最高風速にセットする。E-1乙難度はラストダンスで行き詰まった。S勝利も充分狙える編成だったはずなのだけど、旗艦で守ってる綾波さん改二をピンポイントで撃ち抜いてくるわ、お供の潜水艦を殺し損ねて攻撃を全部吸われるわ、開幕雷撃と通常攻撃と雷撃戦と夜戦で確実にこちらの編成を中破以上に追い込んでくるわ、なかなかトドメの一撃にまで辿り着けない。最後も綾波さんを開幕雷撃で撃ち抜かれる嫌な流れだったけれど、控えていた夕立さんの渾身の夜戦カットインで何とか突破。薄雲さんを獲得。初の乙難度攻略だ。甲難度も行けたかも知れないけど、今回の目的は難度を下げてでも全海域を突破することなので、先ずは最初のステップを登るのが大事。次も乙難度で遣ってみるつもりだけど、私は未だに札システムが余り良く分かってないのだ。初手から大発積める面子や駆逐艦主力や阿武隈さん改二を使いきったんだけど……まぁいいか。攻略中は島風さんを拾ったに留まった。途中撤退のリスクが少なくて、友軍も支援艦隊無しでもS勝利を狙えるし、この面子で掘りに挑むのは全然ありだと思う。


 2020年6月29日

 私達の細やかな冒険については、もう記憶が曖昧で思い出せない。何かのカードゲームが関わっていたような、ないような。兎に角、彼女は何の躊躇いもなく率先して敷地内に入っていった。スタッフさんにちょっかいなど掛けていた。それを追い掛けていくと、大きな門があって、ここが君が探していた場所だ、と言った。太陽が上手い具合に隠れて、木の葉が透き通りながら微かに赤らんでいる。美しい光景である。私はすかさず写真に収める。敷地の裏手は住宅地になっていて、右手に見える山の斜面に、私が探していたはずの寺社仏閣の一部が見えた。と、誰か水を抱えて慌てて走っていく。私も見よう見真似でバケツに水を汲んで追い掛けていくと、住宅地の一角の和菓子の製造工場で事故が起きたらしく、駐車場で職員さんが手作業で菓子の製造をやっていた。この手作りに清潔な水が必要だったようで、何処かで適当に汲んだ私の水では駄目だ。何だかんだで私はとある街に辿り着いた。漫画の頁を撃ち抜いてしまえば銃弾など当たらない、とメタなことを男性が豪語する。敵に囲まれても漫画的な表現をメタに使って切り抜けて、経験値ががっぽがっぽ入り、何故か一緒に敵モンスターも経験値をがっぽがっぽ貯めてどんどん強くなり、その街の周辺のモンスターは、友好的だけど異様に強くなってしまった。奥さんは動物が嫌いなのではなく、動物を飼うと自分より先に死んでしまうのが悲しいだけなのだった。日向でバスを待っていたら脚が焼けた。今日は朝から電車があちこちで止まり、遂に山手線では人身事故が起こる。昨日も寝付きが悪かったし、朝から体調は良くない。でも初手で座席を確保出来たのは良かった。今日は重力が強い日だった。面白いほど全身が動かない。眠気が襲ってきてパソコンの画面が飛び飛びになる。立ってられない体調でレジ打ち業務はつらい。仕事は最低限だけ頑張って、とっとと退勤して星乃珈琲で自分への慰労のためにスフレパンケーキ食べた。喫茶店が静かに落ち着いていたことなんて一度も無かったけれど、私は何度でも喫茶店に静けさを求めてしまって、不用意な喫茶店の雑音に神経を乱すのだ。若い女性が東京喰種について急に大きな声で説明し始めた。良く耳を済ましたら、客ではなく、どうやら従業員が裏で東京喰種の話題を喋っているらしかった。日記の編集を進めた。段々と首が疲れてきた。こめかみの血の気が無くなってきた。体液が下に引っ張られるような倦怠感。重力が強い日に無理して文章を書こうとするものじゃない。夜に向かって喫茶店は騒々しくなっていく。雇用契約がどーこー生臭い会話も聞こえてくる。山手線がまた止まったらしくて(湘南新宿ラインが死んだ余波のようだ)京浜東北線も朝のラッシュに匹敵するような混雑で、背中が抉るように痛くて、首も凍って回らなくて、座席はおじさんに割り込まれ、息も絶え絶え、運良く座席が空いたけれど、私は難しい顔をして首を捻っている。駅で飛び起きて飛び降りたから動悸が酷くて、胸部、背中、首、頭、あちこちが多発的に痛くて、今日はバスで帰ろう、とバス停に向かうけどベンチは全滅していて、あと十分が立ってられなくてなか卯に逃げた。なか卯の冷やしうどんをちびちび食べてたらちょっとまともになった。首から胸に掛けてびっちり湿布を貼って部屋で横になっていたら幾分か回復した。E-2も乙難度で挑む。対地装備が可能な面子を軒並みE-1の輸送で使いきってしまったせいで手駒が全然足りない。恐るべき札制度、特に駆逐艦が全然足りぬ。まだレベルは低いけど、大淀さん改と、まだ運良く残ってた霰さん改二に対地を積みまくる。経験的に輸送部隊編成が一番軽くて確実にボスコマまで進める印象がある。で、無事に最短一発で集積地ボスコマに到達。1200とか意味不明な耐久だったけど夜戦まで持ち込んで対地ガン積みの霞さん改二が命中したら中破でも600、小破なら900という数値を叩き出して初手から連続S勝利、と幸先は良かったのだけど、後半になって失速、ラストダンス突入後は名物吐き気がする程のmiss連発による泥沼、やっと取り巻きを追っ払って小破霰さん改二の手番に持ち込んだのに見事に外して夜中に悲鳴を挙げた。悲鳴としか言い様のない悲鳴だった。その次は、これまた取り巻きは排除出来たのに、夜戦で霰さん改二をスナイプされてまた悲鳴挙げた。というか道中の雑魚敵相手すら昼戦の命中率が半分を切って、雷撃事故リスクが跳ね上がって先に進めない理不尽な運ゲーに神経が削られる夜である。何とか運を手繰り寄せて集積地ボスを撃破する。しかしギミックを解除しないと次のボスコマに辿り着けない。水上部隊でも上ルートを通ってしまうので、下ルートを追求するために機動部隊であちこちの空襲マスで片っ端から制空権奪い合って、結局全てのマスを踏んでギミックを解除した。機動部隊編成で下ルートから攻めるのだけど随伴が耐久値800とかふざけた数値で、ゲージは削れてもS勝利は支援艦隊を出さなければ難しそうだ。寝る前にE-1を掘ったらガングートさんが落ちて引っくり返った。まさかの海外艦ドロップ。神通さんに夜戦装備をガン積みして、旗艦の綾波さんさえ狙われなければ夜戦カットインで充分に殺せる。掘りの負担も少ないし隙あらば回していきたい。寝る前に夜食のおやつラーメンを砕いて口に流し込みながらスペシャル・リザーブのロック、なんてまるで中年みたいなことをした。


 2020年6月30日

 決死のバトルが続いていた。詳細は覚えていないけれど、殆んど相討ちみたいなバトルが続いた。某人気漫画の登場人物達がここではすっかり出鱈目に改編されていえ、出鱈目な作戦に相討ち覚悟で決死で挑まされるのだ。今日も重力が強い。雨が降ったせいなのか底知れぬ眠気もある。でも雨が降って暇なので執筆メモが進んだ。今日は酷く騒がしい連中に遭遇する。栄養ドリンク飲んで頑張る。栄養ドリンクのお陰で後半は何とか乗り切る。日高屋で冷やし中華を食べてたら冷房の風と開いたドアから吹き込んでくる微かに雨礫を含んだ生温い風とが入り混じって落ち着かない。艦これは、今日は無理に攻略を進めずE-1で掘り作業、島風さんと神威さんが落ちた。王子駅前で突然電車が減速して、何事もなかったように元に戻った。車内に台車を持ち込んで通路を塞いでる乗客がいた。今日は早々に寝るつもりだったのに、掘りを始めたら順調にE-1でS勝利が狙えるようになって、挙げ句E-2にまで手を出してすっかり夜更かしだ。ジェムソンのロック、久々にレモン風味のスモークタン。気が付けば七月になっていて、一年の半分が死に絶えて、給付金が出てないのに住民税を払わねばならなくて、前日になってようやくマニュアルが渡されるというぶっつけ本番なレジ袋有料化が始まるのだった。四物血行散、迂闊に水で流し込もうとすると口のなかでダマが出来て惨劇が起こるので、歯で噛み砕いてから最後に水で漱ぐという、苦い夜。日記の頁を改める。

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