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invisible holidays (2020.10.21~10.31)


 2020年10月21日

 複叉路のスクランブル交差点? 或いは複雑に交差するペデストリアンデッキ? 今日の私の冒険はここを起点にして、あっちに登ったりこっちから戻ってきたりだったはずなのだけど記憶が千切れて見当たらない。私は父親の車に乗っていて、地元の田舎道を走っていて……御寺と木材工場に挟まれたあのカーブだ……このあたりで唯一の携帯電話のアンテナショップについて、こんな場所でよく潰れないもんですねぇ、と父親と同乗者が喋っている。私の不可解な冒険は何故この場面に行き着いたのだろう。私の失われた目的地は、もう二度と浮上することはない。学校の教室? 学校の教室で私は同級生達と何か勝負していて……ここ二日、首にタオルとサポーターをがっちり巻き付けて寝たら寝起きの首回りの調子が随分とマシになった。荒療治だからいずれ副作用も出るだろうけど、首痛で何度も眼を覚ますよりはマシだ。昨日のアルコールが残ってのか、頭に何か詰まったような感覚が抜けない。視力が急激に低下している。電車はがやがやと五月蝿い。帰りにはユニオンの袋を探さねばならないし。ふう。晴れているのだけが幸い。今日は、恐ろしく血の気が足りてなくて、ふらふらしてしまう一日だった。栄養ドリンク突っ込んで何とか後半は乗り切ったけど、終始軽く手足が痺れていた。明日からの雨模様を察知して関節がビビっているのだろうか。五苓散がいいのだろうか。苓桂朮甘湯は効果は実証済みだけど、軽く頭が絞まるような副作用があるから出来れば控えたい。でも五苓散の場合、しぶり腹というか、便秘の症状はわりと最近良くあるから、それが不安なのだ……

仕事終わりに唐突に鳩尾が痛くなってきた。空腹を伴う腹痛。どうもこれが体調不良の原因の一つらしい。でも胃薬を飲むぐらいしか対処方法がない。秋葉原のつけ麺屋で無事にユニオンの袋を回収、そのまま二日連続でつけ麺。Smells Like Teen Spiritのイントロが何度も何度も繰り返される。もう年末調整の季節。面倒臭いなぁ。本垢で呟いたら久々に他人の反応が来た。まだ私達の存在は世界からかろうじて観測されてるんだな、なんて改めて思った。3-5の任務消化に泥沼っていたら五時間睡眠確定。あー、つら。


 2020年10月22日

 町内会のお祭りのようなものだったのに、プロの力士達が集まって本格的な相撲大会になっていた。金べえという力士が優勝した。


 2020年10月23日

 どうにも忘れっぽい。別に悪いことじゃない。昨日はブラックニッカ クリアのロック一杯で見事に寝落ちた。日記すら書けてない。昨日は寝不足のわりに体調は酷くなかったけれど、寝不足という曖昧さのなかにふらふらしてたから、これといって特に書くことはなかった。今冬に退職される先輩の同僚さんと、どうしようもない社員さんのことについて愚痴り合ったぐらいだ。あと牛丼屋のお兄さんが、ずさー、ずさーといちいち床を滑って動くのが壮絶に五月蝿かったとか。牛丼屋の狭いカウンターのなか……というか飲食店・小売店関係なく客がいる眼の前で床をずささー、って滑りながら接客してる人間、本当に初めて見た。


 2020年10月24日

 色々あって、私は最後に神社の枯れた池へと辿り着いた。池は本堂の真横から真後ろを覆うように掘られている。私は散水ホースで枯れた池を濡らしていく。水道の水だけで気が付けば池は一杯に満ちた。池の水は茶色く濁って汚い。亀が泳いでいる。池に突き出した桟橋から、池の水面から突き出したモニュメントのうえに飛び乗って、謎のお経を唱え始めるおじさんもいれば、普通に水面をてくてく歩きながら電話しているサラリーマンのおじさんもいる。生垣の外を子供達が歩いている。引率の少年が、先に進み過ぎた子供に大声で注意を呼び掛けている。私には、私がここに至るまでの、色々あった内容が分からない。兎に角、色々あったのだ。カブトムシを象った変身ヒーローの本拠地が隠蔽されている。崖に囲まれて、宙に浮いた緑の絨毯のうえに建物がある。外に出ると夜で、二人の男性は何か喋りながら……肩の荷が降りた、とか何とか……幾つも並んだ自転車やバイクのなかから一つずつを選び、夜中の、曲線を描いて下っていく坂道へと消えていく。ジェムソンを遂に呑み切ってしまった。ピートは控え目だけど、氷が溶けても風味が浅くならないとても呑みやすいアイリッシュだった。次はブッシュミルズかな。お供はTHE chocolateのベネズエラ。ナッティ系。昨日もまた日記を書かずに寝落ちた。日記がどんどんズレていく。昨日は雨だったから五苓散を試してみた。意識が幾分はっきりする一方、軽い倦怠感や頭が絞まるような感覚が残って、具合がいいんだか悪いんだか判断のつかない曖昧な体調のままひっきりなしに掛かってくる電話に対応し続ける。夜になると電話の向こうも慣れてきて、私達も慣れてきて、対応が次第に簡潔になっていくから面白いものだ。あと、ええと、昨日は何かしたっけ、もうろくに覚えてもいないや。迂闊に寝落ちたものだからまた首回りがつらい。外出する計画もあったけど、例の如くだらけて延々と艦これの4-4で実りのない行軍を行う。中途半端な時間にウイスキーなんて呑むものじゃないね。案の定、眠気に負けて寝落ちていたら頭痛がして、試しに二日酔いに効くという五苓散を飲んでみたらちょっと楽になったのでDelaney & BonnieのOn Tour with Eric Claptonの感想を纏める。艦これは5-2の任務消化を始めたのだけど、本当なら越えられて然るべき山が恐ろしい程に越えられなくて、完全に停滞。正規空母が今回に限って駆逐艦並みの紙装甲なのである。Van Dyke ParksのSong Cycleを聴き始めた。また、何だこりゃ、このアルバム。酷く寒いなかコンビニに行って帰って来たら、急に「肩が痛く」なってきた。首痛の延長で肩が痛くなることはある。でも突然ピンポイントで「肩が痛く」なった場合、これは毎回相当な重症で……関節に神経が詰まったような不快で鈍い痛みが延々と続くのだ……実際座ってられない程に具合が悪くなって寝込んでしまった。作業や活動はおろか、コメダ珈琲店にも銭湯にも行けない、挙げ句の果てが突然の肩痛である。私は一日の休日で三日寿命が縮んでいくのを確かに感じながら布団に倒れている。


 2020年10月25日

 あり得ないところが抜けていて私は崩れ落ちた。でも職場で突然崩れ落ちるのは今後止めよう、流石に目立つし。昨日も五時間睡眠で、得意でもない珈琲を煽りながら苛々乗り切った一日だから、夜中までろくに記憶中枢が仕事してなくてあんまり何も覚えてない。高津カリノのダストボックス2.5がもう次巻で最終回という情報と、実家からの突然のLINE……今回は単に食べ物を送るよというだけだった……に心身が敏感になっていて、そこに余りにも理不尽な3-5のラストダンスが重なってあらゆる気力が死に絶えた。写真の整理しないと明日出掛けられないのに。苛々苛々。不健康が苛々に変換されて、毛穴からもわもわと飛び出している。つまりThe Beatlesは最後まで過渡期だったのだ。だから私は完成された全盛期The Rolling Stonesのほうが好きだし、The Beatlesは解散してから各々に完成を発見したのだ……何か忘れている。何か私の生活の些細な瞬間を拾い損ねている。もう思い出す元気も時間もない。私は私の覚えていない無数の毎日によって出来ている。だから私は空っぽなのだ。バケツを散々使いまくって地獄の3-5と4-5の勲章を確保、任務消化も確実に進んだ。更にInstagramに二百枚ぐらい写真を移して容量を確保。安っぽい味のデュワーズのノンエイジを今回ハイボールにしてみたのだけど、雑な苦味が薄れて、代わりに仄かな甘味すら感じて悪くない、ふむ、悪くないぞ。深夜四時、本格的な眠気が襲ってきたけど、寝る前に燃えるゴミ出しにいかにゃ……明日はクリーニング取りに行かなきゃ……水道代とガス代をコンビニで振り込んで……


 2020年10月26日

 クリーニングに寄り忘れた。もう午後六時五十分。午後七時までに引き返すのは不可能だ。亀戸から帰って来て、布団に倒れて、頭が重たくてこれ以上日記が書けない。文字が書けない。無理をすると布団で背中が跳び跳ねてしまう。つらい。ただの怪獣映画ならば良かった。事態はもっと深刻だったようだ。怪獣は何かを目論んで怪しい電波を飛ばし始めた。私は何か絶望的な何かに追われるようにして通りを歩く。途中で試食の豆菓子をボリボリと噛み砕き、店のお爺さんに怒られるけれど無視して歩き続ける。このあたりはまだ絹織物の工場が残っているらしくて、夜はかえって工場の明かりが漏れて明るい。私は胸の痛みに耐えながら必死で歩く。私は……確か健康診断の待合室に居たはずだった。一向に帰れなくて、私は一度待合室を抜け出して、戻ってきた時には夜になっていて……職場の同僚さんがずっと何か喋っている……駄目だ、記憶が錯乱している、私は一体、何処でどんな怖いものを観たのだ? 頭が痛い。息が乾いて肌寒くなってしまった。Twitterアプリは恐ろしいもので、反射的に何も代わり映えしないTLを覗いては小刻みに時間を失っていく。亀戸まで出張ったのに全然日記が書けなかった。深夜帯にやっと体調が回復しても遅過ぎる、というか、かえって寝付けなくて、何故かWikipediaで感染症のことなどだらだら読んでたら四時間睡眠が確定。明日の私もきっと苛々苛々していると思う。


 2020年10月27日

 寝不足で神経が尖って街の汚れが良く目立つ。午前中は何とか乗り切ったけど、休憩の入り時間を間違えたあたりから突然に厄介が立て続いて苛々が溜まってしまった。午後はずっと頭の何処かのスイッチが落ちていた。人間それでも生きることは出来る。生きた屍のように反射的行動を繰り返す。引き継ぎノートに、同僚の○○さんが結婚して名字が変わります、と書いてあった。結婚は普通に目出度いことだけど、名字が変わる、という部分に、何か不可逆な世界の改変を見てしまったようで、多分慣れるのに時間掛かるんだろうな、と思った。


 2020年10月28日

 冬休みの宿題を全く遣ってない。家族は干渉してくる。私は自棄な気分になりながら出掛ける。怪物達による奇妙な戦いは、最後にはルールがぶっ飛んで普通にボールを抱えて殴り合うサッカーになった。それでもう何が何だか全然覚えておらぬ。寝床が壊滅的に合わなくて、喉は乾くし頭は痛いし、九時間は寝たはずなのに眠気がまるで抜けない。昨日も日記を書けなかった。最近、日記を書けなかった、という日記ばかり書いてる。家計簿すら付けられなくてレシートが手提げのポケットに溢れ始めた。Twitterアプリを再開したせい、と断定するには、生活の根本が色々死に絶え過ぎているので、どちらかといえば季節のせいなのだろう。寝ても寝てなくても眠い。マスクも買い足さなきゃならないし、コートも傷み過ぎてしまったから買い換えたいし、コンタクトの保存液も……お金がないこと以上に、必要なものを買い揃えるという行為が怠くて仕方ないのだ。特に意味もなく追い詰められている。一体何に追い詰められてるんだ? 結局、一日中喉が詰まったような息苦しさが治らなかった。健康診断の結果が返ってきて、血液検査でまさかの要精密検査を喰らう。赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリットの数値がオーバー。実は前者二つは去年も基準を越えていたのだ。要は多血症の疑いあり、ということなので簡単に調べてみた。脱水による相対多血の場合もあるらしい。多血症は肥満体型の喫煙者に多い、と言われても私は煙草吸わないし、肥満度はむしろ基準値下回ってるし、他の原因としてはストレスや睡眠時無呼吸症候群……そして一番最悪の場合が骨髄の病気、或いは悪性腫瘍。多血症の危険性としては、血液がドロドロになることによる脳梗塞や心筋梗塞リスクの増大があるのだけど、それ以上にそれを引き起こしている原因が重篤な病気である可能性があるため、要精密検査ということなのだろう。

……とにかく私は病院に行き慣れてなくて、最寄りの病院は以前かなり大雑把な対応を受けて以来あんまり信用してなくて、じゃあ何処の病院に行けばいい? と考え始めると、余計にストレスで頭が痛くなって行動が阻害されてしまう毎度の悪循環。最寄りの病院に行くだけ行って紹介状でも書いて貰えばええんやろうか。でも土曜まで休みがないし、土曜日は午前中しかやってないし……今日は手足の指先の関節がズキズキする。多少のストレッチではまるで歯が立たない慢性的な首回りのつっかえや痛み、恐らく筋肉だけでなく、神経にダメージが溜まってて、でも神経が痛めば痛むほどに病院に行ったり運動したりする余裕が失われ、眠ろうとすれば症状が悪化し、眠らなければ一層と体調を崩し、私はこの負の循環に飲まれたまま明後日にでもポックリ死ぬんじゃないかという恐れをどうにか振り払って、それで、私が出来るせいぜいを全力で取り組むために寝っ転がって痛い痛いと眉間に皺を寄せながら何とか艦これをやっているのだった。精神的な疲労は発散出来るけどここまで悪化した肉体的な不調は何を遣っても治らない。一度入院でもしてしまったほうがいいんじゃないかとすら思う。私の楽観と緩慢をぶち壊す痛み、痛みが私の神経の半分を占めていて、私は残り半分の神経で一体何を遣れるというのだろう、軽く絶望だが、絶望を語る元気もない。まぁ、それはそうと、昨日買ったサッポロウイスキーのSSをロックにして呑んでみる。抜けが良くて鼻にくる。尾を引かない真っ直ぐな甘辛い風味。氷が溶けてもなお真っ直ぐしている。ちょっと真っ直ぐ過ぎて味わいが単純過ぎるきらいはあるけれど、720mlで税抜き1500円、1000円クラス程に雑ではなく、2000円クラス程に厚くもない、まぁ妥当な御値段のウイスキーという印象。この尾を引かないで真っ直ぐ鼻に抜ける風味、はて、何処かで似たような印象のウイスキーを呑んだ気がするのだけど、何だっけ。真っ直ぐとしたウイスキーは酔いが回るのが早い気がする。THE chocolateのペルーを開ける。フローラルな香り、と説明されるけど、酔いが回ってしまったせいで細かい味の批評が出来ない。世界がびろびろしている。指先がびりびりして、視界はびろびろしている。


 2020年10月29日

 私は何処かの大学に通い直すことを考えている。折角だから,何処か新しい土地の大学を受験し直そうかなと思っている。今から勉強を始めて間に合うものだろうか……実家は何というだろう。何より、お金はどうしよう……私はあれこれ考えながら歩き回っている。知らぬ間に舗装もされてない山道を登っている。このあたりの廃屋と化した民家には今でもなお死体が残されている、と青年が嬉々として喋っている。廃屋の窓硝子の向こうに何かぶら下がっている。私は怯えながら山道を登る。珍しく素直に眠れたと思う。でも倦怠感を伴う首回りの痛みは健在。今日は仕事中のあれこれの所作で腰や背中や腹の筋肉を意識的に使って、首の負担の分散を試みてみた。焼け石に水かもしれないけど、筋肉痛が起きそうな程度の運動ではあったので、割合元気な一日を維持出来た思う。部屋に帰ってから腰サポーターを胸の高さで締め付けてみる。これで座ってる体勢での背筋をサポート。おお、こんな馬鹿みたいなその場凌ぎでも背筋は確かに安定する。何をしないよりは確実にマシだ。府中の写真をInstagramに流し、溜まりに溜まってたレシートを家計簿処理するぐらいの余裕は作れた。さて、今日は何か日記に書くべきことはあったっけ、気紛れにTwitterの画面表示をダークモードにしてみたとか? 亀戸の旅徒然も、旧岩崎邸庭園を出てからの探索すら放置したままなのだけど、それを逐一纏め直すにはまだ元気が足りていない。革命とか紛争とか、そういう血生臭いWikipediaをふらふら泳ぎ始める。これ等の言説は、ちゃんと客観的に事態を報告しようという最低限の意志があるだけ悲しくはならずに済んでいる。先日久々にとある編集者のTwitterアカウントを覗いてみたら、以前よりももっと荒っぽく攻撃的で暴力的な「個人の感想」をだらだらとRTしまくるだけの醜い画面に劣化してしまっていて……数年前はもうちょっと文化情報の発信者として言葉を選んでたはずなのだけど……現在の私は、トレンドの排除とミュートの駆使によって観測範囲を極端に狭めることで「個人の感想」の醜くて稚拙な多数決投票を上手く視界から排除することには成功したのだけども、その観測範囲の外では、未だに永遠の不毛な堂々巡りを繰り返して、この世の憎悪を嵩増しし続けることが正義なのだと攻撃的に振る舞い続けている人達が横行していることに変わりはない。私は彼等から逃げ続けなければならない。「一理ある」闘争から自由にならなければならない。多数決の一票になってはならない。権力の傾斜に乗り込んではならない。一理あっても所詮は一理なのであって、その一理はまず自分の倫理を規定するべきもので、まして所詮は単なる一理に過ぎない自分の言葉が他人の倫理を矯正することに低俗な欲望を抱いてはならない。明日はマスクを一箱買っちゃうこと。楽園も発売されてたから本屋さんに寄らなきゃ。来月有給が重なってるところがあったから、寝床の改良、運動用の長袖ジャージ、整体、要精密検査、そのあたりを全部纏めてやっちゃおう。実家からの荷物、年末調整、火災保険の振り込み、コンタクトの保存液……年末時期で無駄に忙しいのに、寒くて行動が阻害される厳しい生活で精一杯だから、十一月の文学フリマ東京もやっつけ仕事になってしまうだろう。今の私は手足の二ヶ所か三ヶ所を複雑骨折してしまったアスリートみたいなもの、引退しないで回復を夢見てるだけでも、私はまだ頑張っている。夜中が肌寒くて言葉がずるずると伸びる、言葉が壊れてしまう前にとっとと寝てしまわねばならない。ああ、額で言葉が渋滞起こして神経が掻き乱れてもやもやと不快だ、地の底で首の折れる音。バランタイン12年のロック。この複雑怪奇な薬草臭さが癖になる、なんて、私も随分成長したものだ。氷が溶けてくると風味は甘くマイルドに呑みやすくなっていくのだけど、喉と鼻に必ずざくっと刺激を突き刺していく抜け目なさが逞しい。安物特有のあの雑っぽさもなく最後までキリッと苦い。THE chocolateのペルーも美味しい。寝る前にやっと私は小さな満足を得るのだった。


 2020年10月30日

 自分の働いてるお店でマスク買おうとしたら、明後日から値引き入るよと言われてしまったので、明後日まで待つことになってしまった。昨日の姿勢矯正の副作用なのか背中が厭に痛む。骨と筋肉は痛むけど、何故か昨日今日と、理不尽な全身の痛みに対して要らない反抗心を抱ける謎の元気があるから不思議だ。久々にメモ帳の作品構想を進めたけど、そういう日に限って夜が無駄に忙しい。電車に座っていたら、虫が、ガサガサガサガと地面を張ってこっちに遣ってくる。これを靴で蹴って追い払うと、車両を繋ぐ扉の影に一度消えて、暫くしてもう一度遣ってきた。もう一度靴で蹴ったら、靴に張り付いて、私は慌てて足をぶんぶん降った。虫がひゅんと飛ばされて仰向けに暴れて、また扉の影に消えた。そういえば、職場のロッカーのなかにも一匹いたのだ。その虫はハンガーに張り付いていた。私は食べ掛けの口を開いたCRUNKYのホップジョイを鞄のなかにそのままにしていた。仕事終わりにCRUNKY齧りながら、念のため、虫が潜んでいないか袋のなかを確認したりした。あの虫は何処に行ったのだろう。夏が終わってから奴等は突然現れる。去年は冬なのに奴等が段ボールの隙間に跋扈して職場の裏方が本当に騒然としたのだ。久々に日記を読み直してみて、酷く悲愴なことばかり書いてあって、はて、慢性的に体調が悪い人間ではあるけれど、私の日常はここまで深刻に酷かったっけ? などとすっとぼけてしまった。私はいつも最新の私が一番体調が悪くて、一ヶ月前の私の悲愴を、他人事のように眺める。それでも文学フリマの締切寸前で死んでいた時期を除けば、日記を書き忘れる、家計簿も書き損ねるという症状は十月以降からなので、私はちゃんと最新の絶不調を更新し続けているのだと思った。サッポロウイスキーSSのロックに、成城石井のシングルオリジンチョコレートのウガンダ、カカオ80%……クラシカルで柔らかい酸味と力強いスモーキーなアロマ、とパッケージにあるけどいまいち風味の特徴が掴めない。甘くも、苦くも、酸っぱいわけでもなく、ナッティさもない、油っぽさもないからっとした舌触り、若干の渋さはあるかもしれないけれど、強いてカカオ80%のダークチョコレートらしからぬ風味の薄い無個性さがかえって個性、ということなのだろうか、兎に角、風味の特徴がいまいち掴めなくて私は首を傾げている。何かガリガリしている。最近、一日一呟がどれも物騒なものばかりで、自分の興味の偏りに苦笑しつつ、またみんなから神経の状態を心配されないだろうかと不安になってくる。私の一日一呟のネタは体調にそんなに左右されない。私の普段の興味は大抵こんなものだと思う。ああ、ハロウィンなのだっけ、そういえば事務所に誰かが南瓜の容れ物にお菓子を詰めていて、私はただ黙って眼の前の差し入れをむしゃむしゃ食べる係。寒くて眠いし、寒いから、寝よう、明日は夕方に実家から荷物。


 2020年10月31日

 実家からの荷物が夕方に届くせいでなかなか部屋から動けなかった。今回の荷物は量が凄まじい。食べ物系は有り難いけど、食べ切れないから部屋を圧迫してしまう。あとごんごは要らないって、ごんごは。あと柿も十個は多過ぎる。要るとは言うたけど、二個か三個で良かったんや。荷物が来るまで艦これ触ってたのだけど、何故か5-2で泥沼ってしまった。久々に銭湯からのコメダ珈琲店。すっかり御無沙汰してたnoteの日記を編集をする。銭湯上がりで血の気が引いて、なかなか文章が進まなかったけど暫くしたら回復してきた。本当は湯島とか亀戸のことを纏めておきたかったのだけど、気力的に日記の編集で精一杯。今日は寝床が微妙で首と背中が辛かったのだ。コメダ珈琲店の座席がいまいち背中に合わない。日記は丁度角膜潰瘍を起こした時期で、季節の変わり目で死に掛けてて、全く、私はもう先月辺りでコロッと死んでたりしないのだろうか、なんて考えてしまう。帰宅後に相当久し振りにnoteを挙げて今日の活動はおしまい。部屋のなかは肌寒い。当たり前なのだけど、夜になったら眠くなってきた。何故か腰が痛いし、今日は夜更かしせずに寝てしまおうと思う。昨日楽園を買って、ちまちま読んでるのだけど、いまいち漫画すら読むのに気合いが足りなくて、十一月はもっともっと寒くて動きが鈍くなるのだろう。年末調整の書類が急務なのだけど何事も面倒臭くて……部屋が汚い。狭いしバタバタしている。そろそろ片付けなきゃ……日記の頁を改める。



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