ZEROエンブレム-HDTV1080

ZEROから始まるリネレボ生活!! No. 16

LR要塞イベント準決勝で勝利した私はZEROの皆んなのはからいで、一週間の休暇をもらえることになった。
でも、このリネの世界で休暇と言っても特にすることもなく、取り敢えずグルーディオ城下町を散歩していた。
街行く町人に話し掛けてもNPだけに、同じ事しか答えないから、直ぐに飽きてしまった。
またも時間を持て余した私は、つい癖でZEROのアジトにテレポートしたのだが、アジトに着いた途端、真上から陛下のメテオが降ってきたのだ!!
どうやら私の居ない時に皆んなが遊びでPK戦をしていたらしい。
ZEROの怪物と言われる陛下のメテオは凄まじく、私の身体は一瞬で消し炭と化してしまったようだ。
最初の運営からのルール説明で、このリネの世界で死んでしまうと、二度と元の世界には戻れなくなると言われていたなぁと思いながら、私の意識は燃え盛る爆炎の中で次第に薄らいでいった……。

……………

…………

………

……

何も聞こえない……身体の感覚すらない……

ここが一体何処なのか……私は誰なのか……

それすらわからない程の無の世界にいるようだ……

不意に何処からか誰かに見られているのを感じる事が出来た。
とても冷たい視線に感じる……

もうあれから何時間経っただろうか…あるいは何日か…何ヶ月か…

依然として冷たい視線は私を見ているようだ…

突然その冷視線の持ち主から手が伸びて来たように感じた!女の手!?
何の感覚もないはずなのに不思議と、その手が女の手だと思えた。

細長く弱々しいようで、それでいて力強くもある。

最初は一本だったその手は二本になり、三本…段々と増えていって、今では数十本になっていた。

その数十本の手は私の身体を優しく包み込んで、何処かへ運んでいるようだ。
とても安心する……

そして私の意識は再び遠くなっていった……

「また見つけた!私の可愛い人…… 」

「あの人と一緒で私の大事な人…… 」

「好き好き好き好き好き好き好き好き」

……

…………

………………

……………………

次第に意識がハッキリしてきた。
身体の感覚も段々と戻ってきているのが分かる。
薄っすらと目を開けれるようになってきた。
最初はボンヤリとしていたが、ようやく目の焦点が合っていく。
何処かの部屋の天井?
身体の感覚からして、私はベットに寝かされているようだ。
此処は何処?私は今まで何をしていたのだろう?
何も思い出せない。
そんな事を考えていると、寝ているベットの横から話し声が聞こえてきた。

「姉様、姉様。ようやく目覚めたみたいですね。」

「レム、レム。ようやく目覚めたみたいよ。」

話し声の主は、可愛らしい双子の女の子だった。
姉らしき女の子は赤い髪に、少し凛々しい顔だちをしている。
妹の方は青い髪色で姉さんよりは、ほんの少し幼く見えた。
二人とも白と黒を基調とした、お揃いのメイド服を着ている。

「ココは何処なの?あなた達は一体誰なの?」

今の置かれている状況が、いまいち理解出来ない私は、双子の少女達に問いただした。

「姉様、姉様。この恩知らずが、何か聞いてるみたいですよ。」

「レム、レム。この恩知らずが、何か聞いてるみたいね。」

恩知らず?……そうか彼女達が私を助けてくれたのか。
そう思った私は先にお礼の言葉を言うことにした。

「あなた達が私を助けてくれたのね!ありがとう。」

一瞬お互いを見つめ合った少女達だが、赤髪のお姉さんの方が返事を返してくれた。

「館の前で行き倒れていた貴方を助けたのは私達じゃないわ。
倒れている貴方を見つけて助けたのは私達の主君エミリア様。
私達はエミリア様に言われて、貴方を介抱していただけよ。
お礼を言うならエミリア様に言うといいわ。」

エミリア。名前の感じからして女の人かな?
その人に是非お礼を言わなくては。
そう思いながら、私は再び深い眠りについてしまった。

……

…………

次に目が覚めると、私の横には見知らぬ若い男が座っていた。
この人も館の住人だろうか?
男は何やら深刻そうな顔をして此方を見ているようにみえる。

「おっ!? やっとお目覚めか!ねこ…
いや、この時点ではまだ初対面だったか…
じゃ、まずは自己紹介からやり直そうか。」

初対面?やり直す?この男はさっきから何を言っているのだと思っていたが、取り敢えず、彼の自己紹介を聞くことにした。

青年は座っていた椅子からスッと立ち上がり、サタデーナイトフィーバーのジョン・トラボルタがよくするキメポーズの体勢になり。

「俺の名前はナツキ スバル 。今は訳あって、この館の使用人をしているが、いつかは俺のお姫様である、エミリアたんの一の騎士になる男だ!!」

………。

私はあまりの出来事に何も言えないでいた。

「あら? もしかして今、俺スベった…。」

………。

「……。まぁいいや!取り敢えず俺はナツキ スバル、これからあんたを色々と手助けすることになるからお互いよろしくな!」

ナツキ スバルという青年は、そう言って私に握手を求めてきた。
眼つきは鋭いが、まぁ悪い人には見えないし、私は彼の手を握り返す事にした。
そして今度は私の番だと思い、自己紹介をしようとすると、スバルはズイっと手のひらを私の顔の前に出してそれを制止したのだ。

「あーいいよ!前回の時に聞いたから知ってる。
君の名前はねこまんまだろ。
これからは、ねこって呼ばせてもらうから。
それに、もうあまり時間がないんだ、その辺のくだりは省略させてもらう!」

何?何がどうなっているのか理解出来ない。
何故スバルは私のことを知っているのか?何故時間がないのか?
色々と聞きたいことが山程あるけど、私はスバルの話を聞くことにした。
彼の話によると、私をこの世界に連れて来たのは嫉妬の魔女という恐ろしい魔女らしい。
スバルも私同様、その嫉妬の魔女に連れて来られたのだという。
次に彼がこの世界に来てから今までの事を聞かされた、王選の話に始まり、白鯨討伐、魔女教、そして死に戻りetc…。
彼の話は大変興味深いものばかりだった。
最後にこれから起こる事件の話を聞かされる。

「こっからは、ねこも関係してくる話だぞ!
今から2日後に ねことエミリアたんは梺の村に、ある用事で出掛ける事になるんだ。
そこで二人は何者かに誘拐される、そんで早ければその日の夜には殺害されてしまうんだ。
俺は誘拐された二人を必死で探すんだが、やっとの思いで駆けつけた時にはすでに二人共殺された後だった。
ここまでが今回の死に戻りループセットだ。
これを抜けるには、二人が殺害される前に何とか見つけ出して、誘拐犯を取り押さえるか、倒さなくちゃならないはずだ。
俺達はこのループを二人合わせて、もう4回失敗しているが、今回で何としても成功させたい!
失敗の主な原因は、何故か毎回監禁場所が変わるって事だな、だから捜索に手間取っちまっていつも発見が遅れちまう。
そこで ねこには如何にかして監禁場所を俺にしか分からない方法で知らせて欲しいんだ。
ねこは今までにも居場所を知らせようとしたんだが、俺には伝わらなかったらしい。
それは多分犯人が俺に伝わる前に揉み消してるはずだ。
だから、犯人は気が付かないが俺には分かる?的な方法でよろしく頼む!」

スバルの話は嘘ではなさそうだが、まだ起こってもいない事の話をされてもいまいち実感がわかなかったが、その後も彼との綿密な打ち合わせは続いた。

らんちゃん♪
@rantyann_0627


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