ZEROエンブレム-HDTV1080

ZEROから始まるリネレボ生活!! No. 17

スバルの話では、私達二人のうちどちらか先に死んだ方に死に戻りが発動するとの事だ。
前回では彼が先に死んだ為、今回私に状況説明をしているのだとか、その前は私が先に死んだみたいだが…。
何にしろ、死に戻りした方が相手に説明してお互いの記憶をもとに、このループセットから抜け出さないといけない。
エミリアさんと梺の村に行く護衛役は私でなくてはいけない、私以外が護衛役になると何故か誘拐される時に皆殺されてしまうからだ。
一番の問題は、監禁場所をどうやってスバルに教えるかなのだが、この件については彼の事をもっとよく知る必要があるなと、感じた私は、誘拐されるまでの二日間の間、兎に角スバルと行動を共にする事にした。彼の好きな事、好きな物、どんな些細な情報も漏らすまいとスバルを観察し続けるしかない。

スバルとの打ち合わせもようやく終わりに差し掛かった時、部屋をノックする音が聞こえた。

コンッ コンッ ♪

「スバル、彼女まだ目覚めないの? 中に入ってもいい?」

可愛らしい女の子の声だった。
スバルは「もう来たのか」と、少し焦った顔をしながら、彼女を部屋に招き入れた。

「ああ、エミリアたん。ちょうど今目覚めた所だよ。さすがエミリアたん、バッチグゥーなタイミングだね。……バッチグゥーなんて今日言わないかw 」

「バッチグゥーの意味はよく分からないけど、スバルが彼女の様子を見に行って中々戻って来ないから心配して来ちゃった。」

スバルに招かれて部屋の中に入って来た少女は、銀髪で紫苑色の瞳に透きとおるように白い肌をした可愛いらしい女の子だ。
肩には猫?犬?それともイタチかな?兎に角此方も思わず抱きしめたくなる程可愛い生き物を乗せている。
成る程。彼が必死で守ろうとするのがよく分かった気がした。

「初めまして、えーと。貴方のお名前は?」

「あ、はい。 私は、ねこまんまと言います。
屋敷の前で行き倒れていたのを助けて頂いたと、メイドの姉妹さん達から聞きました。
エミリアさんには何と御礼を言ったらいいか…。ありがとうございます!」

「ねこまんま?スバルの名前も、すっごーく変わってるけど、ねこまんまさんも変わった名前なんだね。御礼なんて別にいいのに。私は当然の事をしただけだよ。」

エミリアさんはとても優しい方みたいだ。
今は、この国の王様を選ぶ王選に立候補しているとか言ってたな。
こんな方が王様に選ばれればいいなぁ…。
これは何としてでもエミリアさんを守らなくちゃ、私はそう心の中で思った。

「それで、スバルは ねこまんまさんと何話してたの?」

「え? あ〜っ、それはだなぁ…。!!
そう、そう!パックの話をしてたんだよ。
ねこは動物が好きらしくて、エミリアたんには可愛い精霊がいるんだぜって教えてあげてたんだ。ハハははっ」

「ふ〜ん、ねこね〜。もうそんなに仲良くなったんだ〜…。」

少し不機嫌そうなエミリアさんを見てスバルは目を踊らせながらヒア汗を掻いていた。
すると、エミリアさんの肩に乗っていたパックという精霊がスーッと飛び出してきた。

「なになに? ボクの事話してるの?」

パックは空中にフワフワと浮かんでいる。
愛くるしい丸いおめ目に、ピョンッっと伸びた髭が特徴的だ。
そのフワフワ モフモフを思わず抱きしめたくなる衝動をグッと堪えていると、パックが私の顔の前までやって来て、クンクンと匂いを嗅ぎ始めた。

「ふむふむっ!キミはスバルと同じ匂いがするね〜このかおりはたしか…フガフハッガガッ!?」

パックは私の匂いの正体を言おうとしたが、後ろからスバルに口を掴まれながら、横に縦に引っ張られて、それ以上喋れなくされている。

「ほ〜ら 、こうするともっと可愛いいんだぜ!!」

「もうっ!!スバルのオタンコナス!パックに酷いことしないの!」

「『オタンコナス』何て今日日聞かねえなぁ」

そのままじゃれ合っているスバルとパックを見ていると、羨まし過ぎて、ついヨダレが垂れそうになり、はっ!?と我に返ったところにエミリアさんが近付いて来た。

「そう言えば、私からちゃんと自己紹介してなかったね。私の名前はエミリアって言うの、これからはエミリアって呼んでね。私もあなたのこと、ねこって呼ぶわ。」

こうして私はエミリアの客人として、暫くの間この屋敷に滞在する事になった。
ここメイザース領はロズワール伯爵という領主が治めていて、この屋敷は、ロズワール伯爵の別荘みたいなものだと聞かされた、ロズワール伯爵は王選候補エミリアの推薦人でもある。
私はそのロズワール伯爵にエミリアの紹介で挨拶させてもらえることになった。

ロズワールの部屋の前に着くと、メイド姉妹の姉ラムは、私しに再度注意を促した。

「いくらエミリア様のご紹介と言っても、ロズワール様はこの屋敷の主人よ。くれぐれも粗相のないようにするのよ。」

コンッ コンッ ♪

ラムが部屋をノックすると、中から30代前後の男の声で『入りたまえ』と入室の許可がおりた。

部屋の中に入ると、そこには道化の様な化粧をした青緑髪で金と青のオッドアイが印象に残る、如何にも知的な男性が書斎机の椅子に座っていた。
男は部屋に入って来た私達を出迎える為、椅子から立ち上がり、こちらに向かって歩み寄って来た。

「これは、エミリア様。今日はなぁ〜んのごよぉ〜でぇ〜すかねぇ〜え。」

「うん、この人が昨日屋敷の前で倒れていた。名前は、ねこまんまさんって言うんだけど、私の客人として暫くここに居てもらう事になったから、ロズワールにも挨拶してもらおうと思って連れて来たの。」

「ほほ〜う。なるほどねぇ〜え、私はメイザース領主のロズワール・L・メイザースというんだぁ〜あよねぇ〜え。暫くと言わず、いつまで居てもらっても構わないんだぁ〜あよ」

すごく喋り方に特徴があるなぁ…何故皆んなは普通に会話しているんだろうと思いつつも、いつまでもは無理だが暫くは厄介になるのだから、一応の挨拶をしておこうと思っていると、スバルが私に耳打ちしてきた。

「ねこ、ロズワールには気をつけろよ!コイツは何考えてるかわからない。軽い挨拶だけで済ませとけ。」

私はスバルの助言通りに軽い挨拶で終わろうとしたのだが、ロズワールの方から話しかけられてしまった。

「ふーむ。確か、ねこまんまと言ったぁ〜あよねぇ〜えキミ。 君は一体何処から来たんだろぉ〜ねぇ〜え?もしかして、別の世界かもしれないかぁ〜あもねぇ〜え……。」

!!!!!!!!?

ロズワールの金と青のオッドアイに見つめられると、全てを見透かされているような感覚に陥る。
私は、あまり彼に近づかないでおこうと思い、挨拶も半ばでロズワールの部屋を出る事にした。

らんちゃん♪
@rantyann_0627
https://twitter.com/rantyann_0627

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?