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ZEROから始める血盟生活 No. 19

昼食をとるためダイニングへ向かうと、私達の到着を全員が待っている状態だった。
遅れて来た私達は申し訳なさそうに、それぞれの昼食が用意された席へと座ることになった。
ロズワール邸の食事は使用人、主人関係なく全員で食べる決まりがあり、メイド姉妹のラムやレム、スバルも一緒の食卓ついていた。
何とも重い空気の流れる中最初に口を開いたのはラムであった。

「まったくバルスは…。ベアトリス様を呼びに行くのに一体どれだけ時間をかければ気がすむのだか…折角の料理が冷めてしまったじゃない。」

「まぁまぁラム。スバル君だからこそ、ベアトリス様をこの短時間で此処へ連れて来れたんじゃなぁ〜いのかぁ〜ね。君ならもぉ〜と時間が掛かると思もぉ〜うんだぁ〜けどね。」

「しかし、ロズワール様。バルスは扉渡り……」

ラムが何かを言おうとするが、彼女の前に手をかざし、ロズワールはこれを制止する。
そして少し沈黙してから喋りだした。

「スバル君はベアトリス様と仲がよろしいようで、何か積もる話や相談事があ〜るんじゃなぁ〜いのかぁ〜ね。そうだろスバル君?」

ロズワールはスバルが扉渡りを感で見破れる事は勿論知っている筈である。
本来ならもっと早くベアトリスをダイニングへ連れてこれたのに、何故遅れたのかは想像だとしても大体の察しはつくであろう。
しかし、ロズワールのニヤケながらスバルに質問している様子からは、やはり何かを知っているといった雰囲気が伝わってくるのだ。
ロズワールの質問にスバルも動揺の色を隠せないのか、チッ!っと小さく舌打ちをし、言葉を返す。

「まぁな。俺とベア子はマブダチだぜ!
あ、マブダチなんて今日日言わねえなぁ?
兎に角色々と楽しくお喋りしてただけだっつうの。他に何も他意はねえよ!」

「ふふ〜ん♪ 他意はないねぇ〜。それだといかにも何かあるような言い方に聞こえるんだぁ〜けどねぇ〜え。」

「何だと!!!」

ダッン!!

ロズワールの人をおちょくった物言いが感に障ったのかスバルは昼食が並べられている食卓を両手で叩きながら立ち上がろうとするが、険悪な空気に耐えられなくなったエミリアが二人に注意した。

「スバルいい加減にして!ロズワールもそんな言い方しないの!せっかく皆んなで楽しく昼食をしようとしてるのに、どうして言い争いなんかするの?ほら、スバルは椅子に座って!ラムとレムが作ってくれた料理をいただきましょ。」

「くっ…。」

エミリアの言葉にスバルは右手の拳をギュッと握って我慢しながら再び座席に座りなおした。
ロズワールは我関せずといった様子で澄ました顔をしている。

険悪な雰囲気の中始まった昼食だが、食が進むにつれ少しは穏やかになった所で、ロズワールがエミリアに向かって話し始めた。

「ところでエミリア様、明後日のアーラム村への訪問の件なのですが、護衛役は誰に致しましょうかねぇ〜え?私としては、レムが一番適任だと思うのですがねぇ〜え。」

「そうね、私もそう思う……」

エミリアがロズワールの提案に賛成しようとした時スバルが即座に反応する。

「護衛役は ねこの方が良いと思うぜ!」

「え!? どうしたのスバル? レムじゃダメなの?」

「別にダメって訳じゃねぇけどよ。その日はレムと一緒に村の子供達と川に遊びに行く約束をしてるんだ。」

「そうなんだ。でも何故 ねこなの?私は構わないけど、ねこはまだ完全に体が回復してないし、この辺りの地理にも疎いと思うんだけど… 代わりはラムの方が良いんじゃない?」

スバルは私以外が護衛役になると、誘拐時に皆殺されてしまうことを知っている。
しかし、それを今此処で言うわけにはいかない。
嫉妬の魔女の呪いで、死に戻りの事を他人に話すと、聞かされた者が死んでしまうからである。
私は次にスバルがどのような返答をするのか固唾を呑んで見守っていると、彼はあらかじめ答えを用意していたかのようにエミリアに説明しだした。

「はっきり言ってラムじゃエミリアの護衛役は役不足なんだよ。」

「なっ!!」

スバルの意表をついた発言に、ラムは怒りの表上を露わにする。

「だってよ、幾らラムが鬼族って言っても所詮は角の折れた成り損ないだろ?俺が魔犬に呪われてレムが暴走した時だって、ラムは殆ど足手まといだったじゃねえか!そんなラムより病み上がりの ねこの方が幾らかマシってもんだ。」

「スバル君。幾らスバル君でも姉様をそこまで愚弄する事は、このレムが黙っていませんよ。」

スバルの余りの暴言に、彼を慕っているレムでさえ黙って静観する事が出来ない状態になってしまった。
再び場の空気が重たくなっていくのを、私は感じずにはいられなかった。

「今日のスバルは何か変よ!どうしちゃったの?」

「わりぃエミリア。皆んなが気を悪くしてるのも分かる。でもこれだけは譲れねぇんだ…」

エミリアからすれば、アーラム村への訪問はそんなに大した用事ではない、メイザース領主ロズワールの代わりに村長から村の様子を伺って来るだけの言わばお使いのようなものだった。
護衛役を付けるにしても、王選候補でもあるエミリアを村に一人で行かせるわけにはいかないという理由なのだ。
なのにスバルはどうしてこれほど護衛役に拘るのか理解出来ないでいた。

その後も数分話し合いは続いたが、なかなか護衛役が決まらない事に業を煮やしたスバルは、こんな提案を出したのだ。

「じゃぁ皆んなが納得いくように、ラムと ねこが戦って護衛役を決めるってぇのはどうだ?」

はぁ!? スバルきゅん…君は一体何を仰っているのかな??おっしゃっているのかな?
大事な事なので2回言いましたよ!っと私は頭の中で思わず呟いてしまった。

「そうね。私はそれで構わないわ。」

ラムさん!?やる気満々なのw

「姉様がそう言うならレムも文句はありません。」

レムさんや!そこは止めようよ!

「ベティには関係ないかしら、どっちだっていいのよ」

うん、確かに関係ないよね。ってかベアトリス影うっす!

「ほほぅ。これは楽しみな展開になって来たじゃなぁ〜いかぁ〜ねぇ〜え。」

そこ!楽しまないでwやるのは私だっちゅーのw

「うん、皆んながそれで納得するなら仕方ないよね。」

エミリアまでww

「よし!決まりだな。ねこ!こうなったらもう、お前に頼るしかねぇ
ラムに勝って護衛役の任をもぎっとってくれ!」

貴方が仕掛けたよねw全部私に丸投げかぁ〜い!

こうして…どうして?と、兎に角こうして私はエミリアの護衛役をラムと戦って勝ち取らねばならなくなってしまったのである。

…とほほ…。

らんちゃん♪
@rantyann_0627
https://twitter.com/rantyann_0627


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