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みな等しく人間


お久しぶりnoteです〜〜〜!

まさか私がこの騎手の話をする日が来るとは‥という感じなのですが、考えたことを記録に残しておきたいなと思い、せっかくなのでブログにしてみました。

本日の話題は川田将雅騎手です。


今回読んだ本はこちら。


実は春先から手元にはあったのですが、過去の積読や借り物の本を先に消化したくてどんどん後回し‥‥。気付いたら8月も下旬に。

文量としてはサクッと読みやすくて、じっくりめでも1時間半くらいで読み切れました。(もっと早く読めば良かったネ)

具体的に抜粋したりはしないですが、ふんわり内容には触れるので未読の方はご了承orUターンでお願いします。

あと、この記事は"ここ数年の川田さんしか知らない人間"の感想です。それを念頭に読んでいただけたらと思います。


正直な印象

ぶっちゃけ、川田騎手といえば「怖い」という印象を強く持っている人が(めっちゃ)多いと思います。私も"まぁ怖いよね"とは思っていましたし(素直)、本の中でご本人も何度かそこに触れているのでそう思うのが普通なのかなとは思います。笑

でも私はそれよりも、見ていて「もっと楽しんでもいいのに」みたいな気持ちになることが多かったです。(文字にするとなんか生意気に見えてしまいますがそういうわけではないのでどうか‥)

以前某YouTubeを見ていたとき、別人?って思うくらい(失礼)楽しそうに笑っているのを見て、(仕事ですしそこまでしろとは思わないですが)レース勝ったときとかももっと表に感情見せてくれてもいいのになぁ‥と少し寂しさにも近い感情が湧いたことがありました。

紛うことなきトップジョッキーですが、あまりにも淡々としているので、正直に言うと、見える範囲では人間味があまり感じ取れなくて、少し苦手意識がありました。

ラヴズオンリーユーのときの記憶なんかはとても強いですし、いろいろな対談など見ていて、そうではない一面も見てはいるんですけど、どうにもその印象は書き変わらなかったんですよね。


そもそもレイヤーが違う

読了してまず、自分と重ね合わせて‥みたいなことはほぼなかったです。

これは騎手に限った話ではないですが、そもそも生まれた環境、置かれた環境があまりにも違うと、そのまま自分自身の何かと重ね合わせて考えることは難しいと思います。人生のレイヤー感がそもそも違うというか。私のような一般オブ一般で育った人間からすれば「大きい世界への道が最初から選択肢にある環境に生まれてることがまず羨ましいよ」という気持ちも正直ありました。

でも、逆に私はそういう特殊な世界に身を置いたことがないので、そっちにはそっちの大変なことが当然たくさんあって、それを肌で感じることができない以上、簡単に「え〜でもいいじゃん」とも言えないんですよね。

ひとつ共感があったとすれば、幼少期の話。なかなかにハードなエピソードでしたが、私も小学生に上がった頃は母親にだいぶスパルタ教育されていたので、ところどころ、ちょっとわかる‥と思いました。

少しだけ自分語りになってしまいますが‥。

私の場合手を上げられることはなかった(暴力に対してはかなり否定的だった)ので、そういう意味では比にならないレベルの話ですが、それでも今の時代だと結構アレな感じの、子供の精神的にはかなり追い込まれる教育方法でした。
大人になって、やり過ぎだったと謝られたこともありましたが、でも今の私からすれば「当時は地獄だったけど、あれがなかったら逃げてばかりの根性無しになってたかもな」的な気持ちもあり、あまり否定する気にもなれず。
とにかく当時は日々、何を言われるだろう、今日は何時に解放されるんだろうと怯えていて、でも、愛されてないと思ったことはなくて‥。という記憶が少しだけ重なって思い出されて、遠くの空を見るような気持ちになりました。(今は仲良しです)

【洗脳状態】というワードを見て少しゾッとしましたが。いかに母親に許してもらえるか、気に入ってもらえるかを基準に動いていた当時の自分も言われてみればそうだったのかもしれない‥。


人生を知る 考える 近くなる

川田騎手が生き残るために、上に向かうためにしてきたことはシンプルで、言ってしまえば目新しさはないけれど、確実に「成功する人の考え方だな」と思いました。多分、"同じことを書いている"というだけで言えばそういうビジネス書は他にもたくさんあると思います。

ただ、今回それを1人のジョッキーの人生と合わせて読むことで、なんというか「同じ人間なんだよな」という親近感に近い感情が湧きました。

前もどこかの記事で書いたかもしれないですが、競馬という世界の独特な点として「大半の客(ファン)は競走馬に乗ったことがない人間」というのがあると思います。
野球やサッカーをはじめ、メジャーなスポーツはだいたい多かれ少なかれ触れる機会はあると思うのですが、競馬は規模感に対して経験者が圧倒的に少ない印象です。

私も実際に競走馬に乗ったことはないので、これは神騎乗!!と思っても実際多分その本質の半分も理解できていないんだろうな‥みたいな気持ちになったりもします。リアルなイメージが湧かないんですよね。

業界としても閉じられている方なので、調べたところで上澄みを掬ったくらいにしかわからないことだらけで。
だから、ジョッキーという存在そのものがどこか自分とは違う生き物のような、遠い遠い存在のように感じていました。

でも、こういう言い方で括るのもですが、いわゆる私たちの「一般の仕事」と根本は同じ。同じ人間で、社会人で、似たような苦労や悩みもたくさんあるんですよね。(異質な部分も当然たくさんあるとは思いますが)
当たり前のことなんですけど、なんか改めて「そうですよね」ってなりました。同じ人間なのよ(それはそう)

私は競馬を始めてまだ5年も経たないペーペーなので、見始めた頃から川田騎手はもうトップジョッキーの1人でした。自分の目では見ていなかった過去から現在まで、ほんの一部でも、これまで明かされていなかった部分を知れたことで、 またひとつこの世界に踏み込めたような気持ちになりました。

そして最後の2ページが心に残りました。というか、私はこの言葉を期待して読んでいたのかも。良かった。

読み終わる頃には、自分の中にあった苦手意識の裏側には実際何があるのか(あったのか)が少し見えて、いろいろと腑に落ちたような気持ちで、これまでの印象よりだいぶほぐれたように思いました。

今後は馬券相性も良くなるのではないかと思います(期待)



君の人生に藤岡佑介はいるか

ふざけてないです!!!(苦しい)

いや、本当にふざけてないんですよ‥。

読んでいると、同期である藤岡騎手とのエピソードがいくつかあったのですが、人生において近くにこういう存在が1人いることって実はとても大きいんじゃないかなぁと思ったんです。

敵対関係ではないけれど自分とは対になっていて、外側から自分をよく見て目に見えない変化にも気付いてくれる存在‥。

普段藤岡騎手のコラム等を度々読んで感じていた印象そのままな感じでした。こういう仲間(ライバルでもあるけれど)が身近にいたら、ありがたいだろうなぁ〜って。外側から見た印象だけの話ですけどね。笑

1人生1佑介が理想だと思います。

あなたの人生に藤岡佑介はいますか?




私は何を言ってるんですか?(定期)




これは"みんな"の話

さて、どうにか締めくくろうと思います。

川田騎手は結果としてNo. 1となりこの本を出されたわけですが、こんなふうに綴られたことのないジョッキーにも当然一人一人に歩んできた道があって、今も生き残っていくために日々努力を重ねている人がほとんどだと思います。

ただ、私もかつてはスポーツマンの端くれでしたので身に沁みてわかっていますが、誰かと同等あるいはそれ以上の努力をしたからと言って必ずしもその人に並べる、超えられるとも限らないんですよね。

でも、その誰かより勝てない人は、常に努力が足りていないのかと言ったらそれは違うと思うし、一人一人が文字通り人生と命を懸けて戦っていて、私たちには見えない場所にも血の滲むような努力や執念はたくさんあるはずです。
ベテランだろうと、新人だろうと、リーディング上位だろうと、そうでなかろうと。

どこまで壮大な話にすんねんという感じですが笑、それくらい深くまで考えていい、考えるべきことだと思うんですよね。

シビアに結果を求められ続けて、勝たなければ意味がない世界。
それは事実ですが、そもそも毎週末無事にゲートインすることを約束されている人もいないので。そこまで歩を進めてきた事実とそこにある決意、戦う一瞬一瞬にリスペクトを持って見ていたいし、そんな姿を見て自分もまた地道にちまちまでも歩き続けていきたいものです。


追記
WASJのお写真をTwitter(Xの拒絶)でいろいろと見たのですが、川田さんとても表情穏やかで楽しそうでしたね。なんだか嬉しくなりました。



最後にひとつだけ。







藤岡佑介さんへ
許してください。
私より


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