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Surround me Music, Feel Good #16 -君島大空トリオ 京都メトロ-

君島大空のライヴ、はじめて、ようやく聴けた。

アルバム「no public sounds」と共通で、セットリスト1曲目はじまりは『札』。

ギラギラのヘヴィメタルやハードロックニュアンス。はじまりから轟音で生々しくて大変良かった。

「公共的な音声はありません。」というアナウンスがノイズへ変わっていくライヴ演出あるものの、このような攻撃的な曲は、どちらかというと演出的な動機に基づくと考えてた。筆者の君島大空のイメージは、音源をそれなりに聞くようになった「午後の反射光」の印象から、あまりアグレッシヴな表現はやらない人ではないかと想像していたところがあり、あるいは、KUROのアルバム「JUST SAYING HI」収録の『虹彩』をプロデュースしていて知っていた印象もあるかもしれない。

けれど、それは勝手な偏見だったと感じた。

まずギタープレイについて、EVH(ヴァン・ヘイレン)へのリスペクトがある人だと知ってはいたものの、こんなにガンガン弾く人だと思ってなかったな。(プレイヤー的なイメージよりも、シンガーソングライターって感じで、音源だけ聞いてる上では、まず曲全体や歌が印象的だったから。)でも、ライヴで聴くとめっちゃギターヴォーカル。

ただし、君島大空トリオはそういったフィジカリティが特徴であり、骨太なごついバンドかというと、それはそれで違う。確かにフィジカルなかっこよさあるけれど、3ピースでミニマル編成にも関わらず、ただぶつける感じでなく、むしろ、「3ピースだからこそ」と言わんばかりの厚みの変化が見事。

ドラムレス、ベースレスの時間や、君島がギターを弾かない曲もあり、時には静かな全体像にまとまったり、シューゲイザーみたいな昇華の仕方であったりと、曲単位でもセット全体でも、有機的に移ろっていく様がドラマティックで、約2時間があっという間。

このドラマ、音源では細部まできちんと装飾や仕上げがなされているけれど、3ピースライヴでは、いわば骨格・骨組みの部分が生々しく見えている。

ギターはギター、ベースはベース、ドラムスはドラムス、そこで鳴らしている音は録音作品のように輪郭が仕上げられていたり、ミックスやマスタリングを効かせた、整った音像ではない。

その、いわば骨が見える姿を見てこそ、むしろ美しい/綺麗と思うのか、それはグロいと思うのかの違い。意外性や面白さが際立つ。

自分はすごくかっこよく「構造」をやる人たちなんだと感じた。

そして、さまざまな場面が流れていく感じは、とても映像的だなとも思った。

これまで音源を聴いていた上では、すごく綺麗に幾層をも重ねる、繊細な人なんだなっていうイメージが大きかったけれど、3ピースで聞いてると、「そりゃ色を混ぜたら、時には濁って黒く、『だま』みたいになる場合もありますけど何か?」的な、でもそこを肯定して楽しんでる感じしたし、めっちゃ大胆な、面白い人なんだなと。たぶん。

あと、ベースの藤本ひかりさんの演奏を久々に聴けたのだけど、君島さんが津野さんの曲カバーしたりしてるからっていうことよりも、もっと強い意味で良いマッチングなんだなと。

藤本さんのあのエフェクティブなベースが、赤い公園とはまた違うけれど、奥行き深く総体として鳴ってるとことか。

津野さんの音楽とは違った、けれど、とても良い共鳴。

今回、君島大空トリオという3ピース編成で、はじめて生演奏を聴くことができて、音源を聴くこととは全く別の楽しみ/期待が生まれたように思う。その上で、これまで聞いていたアルバムを改めて聞けば、また新たな印象や気付きが得られるだろう。聴くことがもっと興味深く、楽しみになるだろう。そういう風に思うライヴだった。

さらに将来は、弾き語りや、また別の編成、
人数の多い合奏形態も、是非聴きに行こう!


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