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京大総人 カリキュラムと履修の話

こんにちは。るいーざです。
今日は進捗報告を兼ねて「京大総人(※1)ってここが問題じゃない?」という話について。総人・人環(※2)のことは愛してやまないのですが、それでも問題はあるものです。2番目の章からは総人での生き方を一部紹介しているので、このよくわからない学部に興味がある受験生の人なんかも、よければ読んでみてね。

夢の未完成学部「総人」

どんなところに問題があるかというと、例えば以下の通り。

① 2020年度からの新CAP制の導入により、各学期(前期・後期)に履修登録(※3)できる科目の数が30までに制限されたため、選択の幅が狭まり、総人の魅力である「複数の分野にまたがって学習する」「1・2回生では幅広く学習し、それを踏まえて専攻分野を決定する」ことが難しくなっている。

② 総人・人環所属の教員(つまり、指導教員候補)が開講する前期の「基礎演習(学部科目)」は総人生だけの枠があるのに、ほぼ連続する後期の「基礎ゼミナール(全共科目(※4))」には総人生の枠がなく、一般に他学部生と全く同じ扱いになる。
(ただし、今年度から一部で教員が課題などを提示したり受講動機を訪ねたりしてその回答を考慮する「教員推薦」の制度が導入され、緩和された。

③分野によっては「主専攻・副専攻(※5)に算入される全共科目(※6)」が少なく、あるいは人環の教員が担当する全共科目すらも算入されない場合があり、履修計画が難しい。

などなど。ですが今回は、(それらに比べれば小さい問題かもしれないけど)総人ではそれなりに重要な「学系入門科目」についてのお話。

そもそも「学系」ってなに?

そもそも、「学系」とは総人がカバーする(自然科学・人文学・社会科学などを含む)広大な学問領域を大きく5つに分けたもので、以下のような分野と対応しています。(※6)

人間科学系 :教育学、精神分析学、心理学、社会学、哲学、芸術学、英独の文学、メディア論など

認知情報学系:認知科学、神経科学、スポーツ・運動科学、健康科学(以上、心と体についての学問)、数学、情報科学、言語学、外国語教育学、言語教育政策など

国際文明学系:政治学、経済学、法学、公共政策、現代ドイツ思想、歴史学、日本語学・日本文学、中国語学・中国文学、英文学など

文化環境学系:地域研究(東アジア、アラブ・パレスチナ、ユダヤ、フランス、そして移民史に関して)、都市・建築論、文化人類学、地理学など

自然化学系 :物理学、化学、生物学、地球化学など

このうちの1つの学系を「主専攻」にし、それ以外の学系(の、より正確には主に小分類)を「副専攻」にするわけですが、急に選べと言われても困ります。もちろん、分野に触れてみるためにそれぞれの所属教員の講義・ゼミを受けるのもよいのですが、「その分野の先生の講義を1コマずつ毎週体験出来たら便利…」ですよね。

「学系入門科目」って大事かも

そう。それが「学系入門科目」なんです。毎週1人の先生が自分の分野の概要や、自分の研究について説明してくれます。これなら専攻分野に迷っても助かる!ふー!

…と、一件落着と言いたいところですが、なかなか厄介な問題もあります。

CAP制の都合で多くの科目を履修できない。
② 2つの学系入門がコマ被り(※7)していて一方しか履修できないことがある。
③ 入門だって言っているのに教員によって課題が重いことがある。
④ ほとんどの学系入門は1限(8:45~)に開講されるが、そんな時間には起きられない。

後半はひとまず置いておいて、前半は重大な問題です。総人では、(自分の主専攻のもの以外の、しかも相異なる学系から)学系入門科目を2コマ履修することが卒業要件の1つになっています。それだけではなく、複数の学系入門科目を履修し、様々な学問分野に触れるとともに専攻分野の決定の参考にすることは、学部自ら推奨していることではありませんか!わーお!(※8)

具体的には、前期金曜1限で「言語科学入門」と「数理情報論入門」が、後期火曜1限で「人間科学系入門B」と「認知・行動科学入門」が衝突しています。特に後ろの2つは、(分割前の「人間科学入門」の話にはなりますが)2020年でそれぞれ130人, 100人を超える受講者を集めており、(総人の1回生が130人足らずであることを考えれば)極めて人気だと言えるでしょう。現に、受講者数だけ見れば、入門科目では1番(人科)・2番(認知)の人気です。

これをどちらかしか受けられないのは、学生の選択を狭め、十分な情報をもってして専攻分野を決定することを難しくすることに繋がるとも言えますし、そんなことよりそもそも気になる教員の講義を体験できないのは寂しいという問題があります。(もちろん、2回生以上で履修することも何ら問題ないのですが)

興味のある研究をしている教員個人とコミュニケーションを取り、刺激を受けるのもよいのですが、1コマで総勢14名もの教員の話を聞ける学系入門というお得講義を、履修しやすくしてほしいものです。学生の側も、どんどんそういう働きかけをしていくべきなのでしょう…(講義後のアンケートを提出しましょう!)

という、学系入門のステマ記事でした。おしまい。(総人の話はまたすぐするよ)

ちなみに、京大の科目のシラバス(授業内容など)はOCW(https://ocw.kyoto-u.ac.jp/syllabus/)から誰でも見られるよ!!
例えば「認知・行動科学入門」は→https://ocw.kyoto-u.ac.jp/syllabus/?act=detail&syllabus_id=hum_6984&year=2021

Louisa
2022/1/29

注釈
※1 「総人」…京都大学総合人間学部のこと。私の所属学部。「そうじん」と読み、「●●○○(東進)」や「〇●○○(いろがみ)」などと発音する。

※2 「人環」…京都大学人間・環境学研究科。総人と直結する大学院。「じんかん」。

※3 「履修登録」…その期に受講する科目(講義・ゼミなど)を登録すること。これをしないとその科目を受け、「履修」したことにならず、単位を修得できない。

※4 「全共科目」…全学共通科目。全学部の学生に開かれたいわゆる「一般教養科目」であり、ほとんどの学部で一定の数が必修となる。(京都大学国際高等教育院「全額共通科目履修の手引き」)

※5 「主専攻」「副専攻」…総人では自分の専攻となり、その分野の中で卒業論文・研究にも取り組むことになる「主専攻」(いわゆる普通の「専攻分野」)と、それ以外にも一定の基準で科目を履修しなければいけない「副専攻」がある。自分の狭い専攻以外にも目を向けよう、という総人特有の制度だね。(京都大学総合人間学部「総合人間科学部便覧 令和3年度」https://www.h.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2021gakububinran.pdf, p.4, p.11, p.13)

※6 京都大学総合人間学部「令和3年度 履修モデル&教員プロフィール」 

※7 「コマ被り」…複数の講義が同じ時限に開講され、どちらかを選択せざるを得ない状況のこと。

※8 京都大学総合人間学部「総合人間科学部便覧 令和3年度」p.11, p.13


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