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オンライン演劇の未来 前編
3月に出演予定だった演劇作品の仲間たちと、コロナが収束した訳ではないけれど、「そろそろ出来る範囲で動き出そうか」ということでもそもそと活動開始している。まだ色々未定で、もっぱらオンライン会議や読み合わせをしているだけだ。
ここ数ヶ月、演劇を取り巻く環境は激変してしまった。
なんてったって、『三密』だ。
劇場や演劇の存在がまるで悪として扱われているような、本当にそう扱われている訳ではないのだが、でもそう言われている様に感じた演劇人は多かったと想像に難くない。
そんなコロナ禍下。ちょっとしたムーブメントも演劇界隈では起こったのである。
残念ながら本編は拝見してないけれど、ショートバージョンなどはTwitterで拝見した。脚本もよく練られてあるし、俳優の芝居は上手いし、とにかくこの状況下で早速動いたことが何よりも評価に値することだと思う。
三谷幸喜さん主宰、伝説の人気劇団・東京サンシャインボーイズの傑作が期間限定で配信、こちらもコロナ禍の早い段階で行われた。
上記2つの例は、普段演劇に馴染みがない層も感銘を受けた点が多かったらしく、大きな反響を呼んだ様子だ。
反響があった理由としては、
①イノベーションを起こせた!と興奮した。
演劇は本来、費用負担が大きい割に儲からないものとして認識されているが、
それを覆した。(ノーミーツの記事より)実際の劇場来場者数では難しい動員数を
優に超えて記録したから。
確かに集客数の多い大きな劇場のロングラン公演でもない限り、演劇の、しかも小劇場の動員で何万人もの人が来場することはない。その点、優しい日本人は前後編合わせて50万視聴回数だったので、のべ人数だとしても数十万人は観たことになる。生配信中のチャット数も凄まじいことになっていた。
②ウイルスへの反逆の様で痛快だった。
「人間をなめるなよ」という意気込みを取り組みの熱意から伝わった。
火事場の馬鹿力に勇気づけられ、暗澹たる気持ちの中希望を持てた人が多かったから。
こういう困難な時(災害、事故、病苦、不況など)居ても立ってもいられず、
何かせねば!と思い行動するのも実に俳優という生き物らしく愛おしささえある。
コロナは演劇に大打撃を与えた。
継続困難な劇団や団体もこれから出てくるだろう。
けれど、良い点もあると思う。
それは、オンライン演劇で新しい観劇人口を取り込める点だ。
上記2例の如く、面白い作品を生み出せるかはさておき、
実は興味はあったけど実際にはお金もかかるし、劇場まで足を運ばなければならないし、その時間に予定を開けておかねばならないなどそれらの様々なハードルがオンラインの手軽さから下がって、演劇を体験してみたいと思っていた層にアプローチ出来るのでは、と思う。
「対面じゃなきゃ意味がない、興味がない」なんてここは言わず。
せっかく苦難に立たされたのならば、それをむしろ利用してみればいいかと思う。
新しい観劇人口の取り込みは、一種のチャンス。
「演劇なんて興味ない」という人も、ひょっとしたら喰わず嫌いかもしれない。
オンライン演劇を見て、ハマった口の人もいるかもしれない。
ビフォーコロナから、演劇人口・観劇人口は少ないと言われていたと思う。
「アフターコロナで観劇文化が復活したら、
是非この芝居を生で観たい。劇場で観たい。」
そう思ってもらえるような作品を作ることが
これからの演劇人の使命なのかもしれない。
なんとか演劇観劇人口の分母を増やしたいものである。
そんな志を抱きつつも、相反する感情も抱えているのである。
ーーー後半につづく。
創作の製作過程を覗きみて、楽しんでいただけたら。