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浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトを分析する(第3回髙部瑛斗)

お久しぶりです。

前回大河についてのnoteを投稿したところ、「小沼の次は山本大斗だろ」という声をいただきました。これについてはこちらの都合で、恐らく高卒一年目の野手は扱いません。理由についてはまたどこかで書ければと思います。ただ気が向いたら投稿するかもしれません。

今回は浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトを分析するの第三弾としてロッテ未来のリードオフマン髙部瑛斗について紹介していこうと思います。

(今回からスマホ版の方のために画像をクリックすると、引用元のサイトではなく画像を拡大出来るようになっております。)

1.髙部瑛斗について

髙部は東都二部で通算最多安打記録を更新し、国士舘大学から19年ドラフト3位で入団しました。一昨年二軍で記録した打率.344はリーグ2位の好成績でした。昨年も二軍で打率三割台を記録するだけでなく、走っても28盗塁を記録し、見事盗塁王を獲得しました。ロッテの将来のリードオフマンと期待される一方で、一軍では高い壁に阻まれており、昨年は5度の二軍落ちを経験しました。

2.昨年の二軍成績を俯瞰する

前々回の小沼健太、前回の平沢大河は一軍出場がありませんでしたが、今回は一軍成績も存在するため一軍成績とも比較しながら見ていこうと思います。

2020年の一軍出場は5試合にとどまったため、サンプル不足感が否めませんが、二軍は2年連続で200打席近く立っているため、まずは、昨年と一昨年の二軍成績を比較していこうと思います。

まず気になったのはBB%(四球率)の上昇です。K%やBB%は比較的選手の能力が反映されやすく、年度間のばらつきが少ないことで知られています。しかし髙部はK%は変化がないものの、BB%を3.5%から10.1%へと大幅に良化させています。

また、2021年の一軍成績でも打席数が少ないながらも、BB%を2軍成績の数値に保てていることから、昨年の髙部の選球眼向上は確かなものであったと言えるでしょう。

これは、将来1番打者として出塁供給の役割を担う髙部にとって、非常に価値のある出来事と言えます。

次に守備面を見ていこうと思います。(毎回のことながらUZRは単年での評価が難しい指標であることはご承知おきください。)

髙部は2年間で外野3ポジションどれも満遍なく守っています。その中でも2軍では主に2020年はライト、2021年はセンターを守っています。

UZRを見るとどのポジションもプラスもしくは若干のマイナスに抑えており、守備に関しては問題ないかなと思います。

ただ、同年代に藤原や和田といった主にセンターを守る選手がいることから一軍で起用される際は両翼が基本になるかと思います。

3.今後の改善点(一軍の壁を越えるには)

3.1 BABIPに着目する


ここまで良い点ばかりに目が行ってしましました。しかし昨年の髙部は5度の二軍落ちを経験し、事実一軍の壁を破ることができていません。

ただ二軍では充実したシーズンを過ごしていました。では具体的に何が一軍と二軍では違っていたのでしょうか。ここではBABAPという指標に注目したいと思います。

BABAPとは、簡単に言うと打球がグラウンドに飛んだ際のホームランを除いた打率です。細かい説明は下にリンクを貼ったので参考にしていただければと思います。

髙部のBABIPを見ると2軍では両年.380を超える非常に高いBABIPを記録しているにもかかわらず、昨年一軍ではわずか.200となっています。もちろん二軍尾守備力の低さなどの原因も考えられますが、ここでは髙部自身の原因として以下の2点を挙げることができます。

1.打球速度の速い打球を打つことができなかった。

2.角度のついた打球を打つことができなかった。

まず「打球速度の速い打球を打つことができなかった」についてですが、打球速度の速い打球を放った割合を示すHard%を見ると、二軍では35%前後を記録しており、比較的力強い打球を多く放っていたことがわかります。しかし、昨年の一軍成績を見ると、26.5%と10%近く低下していることがわかります。これらのことから髙部は二軍に比べ一軍では打球速度の速い打球を打つことができなかったと言えます。

次に「角度のついた打球を打つことができなかった」についてですが、打球におけるゴロの割合を示すGB%を見ると2軍では55.3%、51.8%であったのに対し、昨年一軍では66.7%と大幅に上昇しています。このことから髙部は二軍に比べ一軍では角度のついた打球を打つことができなかったと言えます。

また、リーグ平均のGB%はどのリーグも45%前後であるにもかかわらず髙部は好成績を収めた2軍でも平均から10%近く高い数値となっています。高いゴロ率で高打率高BABIPを記録しているのは、よほどバットコントロールが優れていない限り運要素が強く、今年急激に成績が低下してもおかしくない危険な状態と言えます。

以上のことから今後髙部が一軍で好成績を残すためには、

二軍戦で出来ていたように一軍の試合でも力強い打球を放つ

まずは二軍の試合からゴロを減らし、フライやライナー性の打球を増やす

この二つが髙部の今後の活躍に必要と言えます。

3.2 球種別OPSに着目する

髙部の球種別打率・OPSを一軍二軍で比較してみると全体的に成績は低下していますが、特にストレートに苦戦しているように思います。二軍では打率.338OPS.969であったにもかかわらず、一軍では打率.056OPS.472と大幅に低下しています。ストレートの平均球速が142キロから145キロに上昇していることから、速球を苦手としているのかと思います。

また、サンプル数が非常に少ないためなんとも言えませんが、一軍での平均球速が139キロのカットボールには対応力を見せていることから、一軍のカットボール、二軍のストレートといわゆる半速球の球速帯には対応できていることがわかります。課題は一軍レベルの速球を弾き返すことであると言えます。

4.まとめ

今回は未来のリードオフマン髙部瑛斗について分析してみました。髙部は2年連続打率三割だけでなく、選球眼の向上に外野3ポジションで一定の守備力を保持できており今後一軍の試合への出場も多くなるかと思います。ですが、一軍レベルの速球に対応し、力強い打球を放つことができなければ、昨年同様2軍降格を告げられてしますと思います。しかし、そこで何も考えずに二軍で打率3割打つのではなく、フライやライナー性の打球でヒットを打つ努力をすることで、今後一軍に定着してくれるのではと思います。

参考サイト


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