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浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトを分析する(第1回小沼健太)
あけましておめでとうございます。(2月)
前回投稿から約半年が経ってしまいました。今年はサボらず多くの記事を書いていこうと思っているのでよろしくお願いします。
早速ですが今回はロッテの二軍について考察していこうと思います。
実は筆者はロッテファンであり、メディアや他球団ファンから「ロッテは将来有望」との声が多かったので、以前からロッテの二軍に関する記事を書こうと思っていました。
しかし、いざ二軍の成績を見て、自分なりに分析したところ、二軍全体を見る記事より二軍を主戦場にしている選手一人一人にもっとフォーカスする記事があってもいいのではと思ってしまいました。
そこで今回から「浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトたちををじっくり考える」と題して、普段あまり二軍の試合を見ずにTwitterで切り抜きの好プレー集だけを見て選手を判断しているような人たちに送る記事を書いていこうと思います。
1.小沼健太について
今回はロッテの未来の守護神候補小沼健太についてです。小沼は189cmの長身から繰り出される最速150キロを超える直球と落差のあるフォークを武器に、20年育成ドラフト2位でロッテに入団し、昨シーズン二軍でセーブ王を獲得しました。昨年夏には支配下も噂されましたが、小沼の二軍成績はどのようなものだったのでしょう。
2.昨年の二軍成績を俯瞰する
![スクリーンショット 2022-02-05 19.19.00](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71534156/picture_pc_88b38ab5671bafeafb9bb4e837460bfb.png?width=1200)
昨年の成績表を見ると、34試合に登板し、34 2/3イニングを投げて、18セーブ、防御率は2.86となっています。2イニングを投げた試合が1試合と2/3イニングに終わった試合が1試合ありました。起用法としては基本終盤の1イニングを任されていました。
防御率とセーブ数だけを見るとまずまずのように見えますが、私が気になったのは、奪三振の割合を示すK%です。確実に1アウトが欲しい中継ぎ投手にとって、守備や打球方向に左右されずにアウトを取ることができる「三振」は魅力的なアウトの取り方です。
基本チームの重要な局面を任されるクローザーはこのK%が高く、現守護神である益田の昨年のK%は27.4%と、リーグ平均の19.9%を大きく上回っています。
一方、昨年のイースタンの平均K%が18.8%であったのに対し、小沼は13.2%と大きく下回っています。
また、奪三振率の低さや被本塁打の多さも相まって、以前の記事で紹介したtRAも4.86となっており、防御率よりも2点も悪くなっています。
正直tRAが4点台後半では、昨年夏のタイミングで支配下契約を勝ち取り一軍の舞台で登板しても厳しかったのではないでしょうか。
3.今後の改善点
では今後小沼が支配下契約を勝ち取るため、また、一軍の舞台で活躍し、新たな「幕張の防波堤」になるためにはどうすればいいのでしょうか?結論から言うと小沼が今後改善すべき点は
1.対左打者への対応
2.ウィークポイントとなっているストレートの改良
以上の2点を改善することで、今後小沼は大きく飛躍する可能性があります。
![スクリーンショット 2022-02-05 22.29.11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71548662/picture_pc_bd7786d0d5a43c13cb55d45b1281c64d.png?width=1200)
![スクリーンショット 2022-02-05 22.49.35](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71550477/picture_pc_96648c685df7796a91529baa31f0ebc4.png?width=1200)
上の表は小沼の球種別被打率・被OPSを示したものです。左が対右打者、右が対左打者の数値を示しています。円グラフは対右・対左別の投球割合が示されています。
これを見ると対右打者の被OPSが.477なのに対し、対左打者の被OPSは.961と対左が課題であることは明らかです。また、ストレートは左右関係なく被OPSが.800を超えておりこちらも改善が必要です。小沼は真っ直ぐがいいと言われることが多いので、この結果には驚いた方も多いのではないでしょうか。
もちろん来季が2年目とまだまだ若いため、試行錯誤して全体的なレベルアップを図ってもらいたいところです。しかし、来年すぐにでも結果を出したい場合は、
1.全体的にストレートの投球割合を減らす
2.左打者へのフォークの割合を減らし、カットボールの割合を増やす
この2点はすぐにでも行うことができます。
また、推測ではありますが右打者の場合ストレートの被OPSだけが異常に高いのは、カウント稼ぎの甘いストレートを痛打されているのではないかと考察することができます。そのため恐らく一番自信があるであろうストレートを過信せず、変化球から入っていく割合を増やすことで、被OPSを低く抑えることができるのではないでしょうか。
ただし、将来的に1軍で重要な局面を投げたいのであれば、ストレートそのものの改善は必要不可欠になるので、今よりもストレート平均球速・最速共に3~4キロ速くなると良いのではないでしょうか。
![スクリーンショット 2022-02-05 22.11.24](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71547332/picture_pc_f35d75bd21521a813b001b883a300476.png?width=1200)
4.本人のインタビュー記事との照らし合わせ
フェニックスリーグも終わった昨年12月に小沼本人がインタビューに答えていました。この記事を見ると、小沼自身も奪三振率の低さを気にしているようです。また、「カットボールは安定して投げることができるので、フォークとカーブをしっかり磨いていこうと思います」という発言から、先ほど見た実際のデータと感覚が一致していることが分かります。
一方で、「まっすぐは一番自信をもてるようになったんですけど、変化球に関してはどれも精度不足というか、完璧ではない」という発言からは、実際のデータと感覚が一致していないことが分かります。やはり直球を武器にプロの世界に入ってきたために、自分の直球が打たれた場面より抑えた場面が印象に残っているのではないでしょうか。
また、この記事の中では、首脳陣の意図からフェニックスリーグで先発を経験したという記述があります。この記述から、恐らく首脳陣は小沼のストレートが通用しておらず、現状複数の変化球との組み合わせで抑えていくしかないことを理解していると思います。力強い直球と決め球となる変化球が必要な中継ぎより、直球の割合を減らし、複数の変化球を駆使して抑える先発の方が現状の小沼には合っているため、可能性を広げるためにも一度先発をやらせてみようと言う決断に至ったのだと思います。
しかし、小沼自身は「体的にはキツかった」と先発の難しさを話していることから、本人の希望はあくまで中継ぎや抑えを主戦場にしてやっていきたいのだと思います。
5.まとめ
今回は未来の守護神候補小沼健太について分析・考察してみました。課題は多いものの、まだまだのびしろ十分な年齢なので、まずは支配下を掴み取ってもらいたいです。本当は、3~4選手ほど紹介しようと思っていたのですが、小沼だけで一本書いてしまいました。好評であれば本来紹介しようとしていた選手についても書いてみようかと思います。
※データサイトによって若干数値が違っている場合がありますが、ご了承ください。
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