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浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトを分析する(第2回平沢大河)

こんにちは。早速ですが今回は「浦和を主戦場にするロッテのプロスペクトたちををじっくり考える」シリーズの第二弾として、ロッテ永遠のアイドル平沢大河について書いていこうと思います。

正直、「小沼から大河って知名度飛躍しすぎじゃない?」「次は森とか山本大斗あたりじゃない?」と言う気もしなくはないですが、実は平沢大河、もうかれこれ2年も1軍に上がってきていません。実はここ2年ロッテファンの中でも平沢大河が出場している試合をリアルタイムで見た人はごく少数なのではないでしょうか。

と言うわけで、今回は「大河最近見ないけどどうした?」「なんで最近一軍に上がってこないの?」という人たちに送る記事にしようと思います。

1.平沢大河について

大河についてはロッテファンのみならず野球ファンなら誰もが知っているかもしれませんが、今一度おさらいしてみようと思います。平沢大河は仙台育英高校から2015年ドラフト一位で入団した大型ショートです。3年夏の甲子園では3本のホームランを放ち、楽天との競合の末ロッテに入団しました。1年目から1軍で23試合に出場。3年目には主にライトでの出場ながら112試合に出場し、キャリアハイのシーズンとなりました。しかし、ここ2年は20年オフに手術した怪我などの影響もあり、1軍出場が叶っていません。

2.昨年の二軍成績を俯瞰する

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大河の昨年の二軍成績はどのようなものだったのでしょうか。昨年も1年間二軍暮らしだったことから、昨年と一昨年の成績を比較しながら見ていこうと思います。

昨年の成績を見ると、一昨年の56試合出場から倍近い100試合に出場しています。また、打席数も182打席から380打席に増えており、首脳陣からの期待は高いように思えます。

打撃成績も打率は.142から.233へと約1割近く上昇しています。OPSは.488から.749と大幅な上昇となっています。しかし、だからと言って昨年の成績も彼の元々期待されていたポテンシャルからすると物足りない結果であると思います。

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次に守備成績を見ていこうと思います。上の表はポジション別の守備イニングとUZRが記されています。2020年はショートのみについていましたが、2021年はショートを中心に複数ポジションについています。首脳陣はあくまで大河にはショートで一軍の舞台で活躍することを期待しているとは思いますが、このような起用法になった理由は二つあります。一つはショートだけでなくセカンド、サード、ライトが守れることで起用の幅が広がるから。もう一つは、20年ドラフト3位で遊撃守備に定評のある小川龍成が加入したため、彼と併用で起用されたことが原因であるように思えます。

余談ですが、事実小川は二軍レベルでは非常に高い水準で内野守備をこなしていたことが分かります。

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大河の守備成績の話に戻ります。先程は守備イニングの比較を行いましたが、今度はポジション別のUZRを見ていこうと思います。UZRは単年での評価が難しい指標であることはご承知おきください。(OPS、UZRについてはこちらの記事で簡単に説明させていただいております。)

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遊撃守備を比べてみると、2020年は322イニングでUZRが0.3とほぼ平均レベルの守備だったのに対し、2021年は495 2/3イニングでUZRが9.1と大幅に良化していることが分かります。正直ここまで良くなることはあまりないので、もう1年サンプルが必要な気もしますが今回は改善の兆しが見られたと言うことにしようと思います。他ポジションも大きなマイナスは見られないので、守備は鳥越二軍監督のもとで鍛えられた成果が出たのか恐らく今年一軍の舞台に帰ってきても平均〜平均からやや上程度の遊撃守備を見せてくれるのではないでしょうか。

3.今後の改善点

昨年の成績をここまで見ると打撃、守備ともに改善の兆しが見られ順調にいけば一軍の舞台で見られることは確実であるように見えます。

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しかし上の表を見ると、左打ちの若手選手と大河との共通点があり、昨年一軍で多く打席を与えられた佐藤、髙部、藤原はいずれもOPS.800を超えています。大河が一軍の舞台に立つためにはこのOPS.800の壁を越える必要があります。この壁を越えるために大河が改善するべきことは

打球速度の速い打球の割合を増やす

ことが必要だと思います。

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打球の対空時間や相手野手に打球を取られるまでの時間、ヒットの場合は内野の間を抜けた時間を基準にして打球の強さを分類したSoft%/Mid%/Hard%を見ると、大河のSoft%は38.5%とロッテの他選手と比べても極端に低いことが分かります。単純な話打球速度が遅い打球より、打球速度が速い打球の方がヒットになる確率は高く、またホームランになる確率も高くなります。

ただ当てるだけのバッティングを減らす

スイングスピードを高める

芯で捉える打球を増やす

これらを今年意識的に取り組むことで打撃成績が向上するのではないかと思います。

また、アプローチに関しては直す部分がなく、昨年のボールゾーンスイング率は、二軍でもチームトップの数値であり、先述した佐藤、髙部、藤原より優れていました。ストライクゾーンスイング率は平均程度であり、ボールゾーンは振らず、ストライクゾーンは平均程度スイングしていくという理想的なアプローチでした。

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また、左右別のOPSを見ても対右が.795,対左が.658と極端に対左投手との相性が悪いわけではありませんでした。

やはり打球速度を上げることが成績向上、OPS.800の壁を超えるために重要なポイントなのではないでしょうか。

4.まとめ

今回はロッテのアイドル平沢大河について分析・考察してみました。彼自身辛い2020年シーズンを乗り越え、昨シーズンは一軍未出場ながら収穫のある一年だったのではないでしょうか。未だに選手の1・2軍入れ替えの際には「大河が昇格するのでは?」と多くの声が上がるほど、ファンの期待は常に高い選手なので、ぜひ打球速度を上げて一軍で主軸を打つ選手に成長してもらいたいところです。

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