佐藤都志也はなぜ好調なのか
はーいこんにちはー
約2年ぶりです。
今回は、今季飛躍のシーズンを送っている佐藤都志也選手に着目していきたいと思います。
※今回使用しているデータは1.02に収録されている交流戦終了後(6/20)時点のものを使用しています。
そもそもロッテの正捕手は誰?
まず、都志也ファンとして皆さんの認識を正していただきたいのが、佐藤都志也選手は千葉ロッテの圧倒的正捕手であるということです。
皆さん、正捕手の基準はなんだと思いますか?
正捕手、それはつまり、チームで最も試合に出場した選手ではないでしょうか。
下記は直近3年のロッテの捕手出場試合数です。
これを見れば100人中100人がロッテの正捕手は佐藤都志也と回答するでしょう。一部のロッテファンは今年ようやく正捕手になりつつあるかのような認識を持っていますが、決してそんなことはありません。
飛躍のシーズンを送る佐藤都志也
昨年の佐藤都志也選手の打撃成績は
打率.218 4本塁打 22打点 OPS.616でした。
しかし、今年は交流戦終了現在
打率.286 1本塁打 14打点 OPS.696となっています。
(打撃指標として、wRC+やwOBAなどありますが、今回は世間に浸透しているOPSを使用しています。)
上記は12球団の捕手の打撃成績です。これを見ると各球団のレギュラー捕手の中でも上位の打撃力を保持していると言えます。
(※さっきは都志也のOPSを.696と言っていたのになんで.709?と思った方もいるかもしれませんが、さっきのはシーズンOPSで、.709は捕手として出場していた時のOPSです。)
ではなぜ球界屈指の捕手として今季成長したのでしょうか?
ここからは昨年の都志也の成績と比較してみていきたいと思います。
都志也のここが変わった!(打撃編)
上記は都志也のデビュー以来の成績です。
やはり今年の成績向上に大きく関わっているのはK%の減少とBABIPの上昇の2点ではないでしょうか。
K%は入団以来15%以上を記録していましたが、今季は9.7%と大幅に改善しています。この9.7%という数字は、今季150打席以上立った76人中8位の好成績です。
また、BABIPというインプレーの打球がヒットになった割合も、毎年リーグ平均より下回っていますが、今年はリーグ平均(.287)を上回る.312を記録しています。
最近では、BABIPが高い打者を「バビっている」などと言い、運が良いだけの打者だと表現されることがあります。しかし、打者のBABIPは平均への回帰の影響を受けにくいと言われています。
今回は「BABIPが高い=守備のいない場所に打球を飛ばせるようになった」と考えます。そこで、今季ヒットになる確率が高くなった原因が、一体どのような部分にあるのか考察していこうと思います。
K%の改善〜打撃アプローチに着目~
こちらは、都志也の打撃アプローチに関する成績です。やはり、ここで目を見張るのはZ-Contact%(ゾーン内コンタクト率)ではないでしょうか。
この値が今季はキャリアハイの95.8%を記録しています。すなわち、ストライクゾーンに来た球に対して、空振らずにしっかりとコンタクトできているということです。
また、2ストライクからの投球に対し三振する割合を示すPut Away%も8.9%と素晴らしい数値を記録しています。
この2つの数値から分かることは
今季の都志也は、ゾーン内のボールにしっかりと対応出来ているため、追い込まれてからもなかなか三振をしない選手になっている。
と言えます。
確かに試合を見ていると、今年は2ストライクからファールで粘る場面をよく見る気がします。
また、球種別の得点貢献を見ると、昨年までは半速球であるカットボールを得意にし、ストレートは逆に苦手としていました。
しかし、今年は一転して、1軍クラスのストレートにしっかりと対応出来ています。
では、何故1軍クラスのストレートに対応できるようになってきているのか。
これについてはこの後の章で触れたいと思います。
BABIPの向上〜打球の質に着目〜
次は、打球の質について見ていこうと思います。
ここで特筆すべき点は打球の強さが増していることと、広角に打球を飛ばせるようになっていることだと考えます。
打球の強さを示すSoft%、Middle%、Hard%を見ると、今季はSoft%が21.2%と明らかに減少しています。
つまり、当てただけやどん詰まりのゴロ、ポップフライの割合が減ったことがわかります。
また、都志也と言えば引っ張りと言わんばかりのプレースタイルであることは、ロッテファンの皆さんであれば常識だと思います。実際、Pull%(引っ張り率)は昨年までは40%近くで推移しており、2021年は48.5%と2回に1回は引っ張るという脅威のプルヒッターぶりを見せていました。
しかし、今年は28.1%とキャリアで最も低くなっています。
簡単に言うと、ポランコ(45.2%)くらい引っ張っていた選手が、1年で角中(28.8%)に生まれ変わったようなものです。
今年、BABIPが上昇しているのは、広角に打ち返すことができるようになったことで、ヒットゾーンが広がったからだと考えます。
これまでの分析をまとめると、
「今季の都志也は1軍クラスのストレートに対応し、強い打球を広角に放てるようになったことで成績向上に繋がった」ということです。
実際にこれを裏付けるデータがあります。
まず、上の表を見ると、Pull%(引っ張り率)が下がり、Oppo%(流し率)が上がっています。今季の都志也はストレートを広角に、強い打球を飛ばしていることがお分かりいただけると思います。
また、下の表では、K%が5.5%と大幅に改善しています。
今年の都志也にストレートを投げた場合空振りを取ることは極めて難しいと言えるでしょう。
また対ストレートのOPSは脅威の.964を記録しています。
近年は急激にストレートの平均球速が上がっている中で、この成績というのはもっと騒がれていいと思います。
では、なぜこれほどまでストレートに強い打者に生まれ変わったのでしょうか?
要因の一つとして、打撃フォームの改造が挙げられます。
実際に、佐藤都志也選手本人も、下記の記事で「打撃フォー厶改良について」と、「ミスショットを減らしたことによるポップフライの減少」、「コンタクト率の上昇」に触れています。
「去年に比べてミスショットが少なくなってきている。変なポップフライが少ないので、そういった意味ではアプローチ、コンタクト率が去年より上がっているので、いい方向に向かっているんじゃないかなと思います」
また、2月の石垣島春季キャンプから村田修一打撃コーチと一緒に、“前に突っ込まない意識づけ”、“イメージの仕方”を継続して取り組んでいる。
といった内容が書かれています。
村田コーチは昨年のエスコンでも都志也(と和田)に付きっきりで指導に当たっていたため、もしかしたら、昨年から2人で打撃改造に取り組んでいた可能性もありますね。
このように、前に突っ込まずに引き付けて打てていることが、1軍クラスのストレートに対応できるようになった要因だと考えられます。
まとめと今後の期待
今年の都志也は打撃フォーム改造によって、一軍クラスのストレートに対応できるようになったことが成績向上の一因であるようです。
これでハッピーエンドで終わりたいところですが、ここからは、都志也ファンとして今後の期待を述べたいと思います。
佐藤都志也選手といえば、引っ張れば果てしなく飛んでいく打球が魅力の1つでした。
しかし、上の表をみると、今季はGB%(ゴロ率)が初めてFB%(フライ率)を上回りました。
これでは、はっきりいってスケールの小さい打者になってしまったと言わざるを得ません。
このままの打撃スタイルでは、今季ここまで1本のホームラン数も大きく伸びることはないでしょう。
本当にこれでいいのでしょうか?
現在のようなミートフォルムの場合、長打は生まれにくく、OPSも今後同じような打撃フォルムでシーズンを送った場合、これ以上伸びないのではと思ってしまいます。
都志也を愛しているからこそ、球界上位の捕手ではなく、引っ張り方向に角度のついた打球を飛ばすことで、長打力にも秀でた球界トップの捕手として2026年のWBCに出場してもらいたいと思います。
今回もお読み頂きありがとうございました。
3500文字越えの超大作となりましたが、佐藤都志也選手の好調の要因、そして、球界最高峰の捕手になるためには、今後どうするべきかについてご理解頂けたかと思います。
これからも気持ちを込めた熱いプレーでチームを勝利に導いてもらいたいですね!
ほな、また2年後。
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