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花で埋め尽くしてほしいのです【エッセイ】

ひとつ前に投稿した記事『花屋の葉子さんとシークレットガーデン』は、昨年の5月に書いたお話に新しく冒頭部分を書き加え、数ヵ所書きかえて再び送り出したものです。

マガジンには、ふたつめのお話である『花屋の葉子さんと夏至祭り 前編・後編』も収録してございます🙇(ちゃっかり宣伝)

一以下、自分の死生観めいたことにも触れております。柔らかな表現を心がけましたが、苦手かなと思われたら引き返して、
🌼見出しの素敵なお花の写真で癒されてくださいね🍀


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花屋の葉子さんの物語が生まれた背景

まずは前提として、“花屋の葉子さん”というフレーズがポッと頭に浮かび、その響きが気に入ったから。また、いつか花屋さんを主人公にしたお話が書きたかったという想いがあった。というのが始まりでした。

それとは別に、当時を振り返るとこんな精神状態も抱えておりました。

2020年からコロ助の脅威に疲弊し、毎晩自分の最期を想像してしまい、同時に、大切な人を失いたくない気持も強くなっていた時期を経ての2021年。

いやでもメメント・モリに。

そのうち、ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』のエンドロールの歌にある「死ぬのを恐れて 生きることができない」という歌詞が現実になっていたのでした。

でも、せっかくの生きている日々がそんな風に浪費されるなんて。と、今度はその恐怖心を排除することに血道をあげ出します。もうヘロヘロです。

そして、私はどんなピリオドなら穏やかに受け入れられるのか?と考えることにあえてかじを切ったとき、あの物語の輪郭のようなものが浮かんできました。

自然の中を散策し、阿佐ヶ谷姉妹のエッセイ本を読み、好きな音楽に身を委ね、仕事がやっと舞い込んできて仕事のために頭と体を働かせると、闇は少しずつ晴れてゆきました。

そうだ、大好きなものをたくさん詰め込んだお話を書こう。そして、頭の中を整理していこう。あのとき浮かんだことも、優しい言葉で語りたいな。

『花屋の葉子さんとシークレットガーデン』は、絵本のような語り口で。を心がけて書いてゆきました。

昔、納骨や法要のとき、お墓を綺麗にするという仕事をしていたことがあります。

あるとき、ひとりの老紳士がお申し込みのためオフィスへお越しくださいました。
長年連れ添った奥さまが亡くなられたとのことでした。

生前、奥さまはとてもお花が好きだったそうです。

「家内のお墓を、お花で埋め尽くしてほしいんです」

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老紳士からのご要望をもとに、ご納骨の日の朝、私たちは様々な種類の鉢花をお墓のまわりに並べ、即席の花壇をこしらえました。
それを見て、お客さまはとても喜んでくださいました。

それから一年経ったか経たないかくらいの頃。

「このお名前、見覚えがあるな…」
ご納骨の申込書にお墓の区画とお名前が記入されています。遡って資料を確認すると、それはあのお花の老紳士を示していました。
「奥さまと一緒に、あの場所で眠りにつくのだ」
と思い至った瞬間、私も上司も少しの間言葉が出ませんでした。泣いてしまわぬよう呼吸を整える時間が必要だったのです。

『花屋の葉子さんとシークレットガーデン』は、このエピソードをもとに書いたのではなく、自分の夢や願望を織り交ぜたのですが、最近、物語を手直しして投稿し、今の今になってあの老紳士と奥さまのことを思い出したのでした。
おそらく頭のどこかに残っていたのかもしれません。

自分の身体の一部でいいから、好きな人に触れていて、好きな人の顔を見ながら旅立ってゆきたい。
これは私の理想の最期です。(レミゼのエポニーヌ的な)

もっと、欲を言うなら、大好きな音楽やお花に囲まれて。

でもいまは、理想の今に向かって数分先の未来へコツコツ歩を進め、良い一日が過ごせたなと振り返られる夜を迎えられたなら、それが「生きること」につながる気がしています。

さて、長々と書いておいてアレですが、読んでくださった優しい方へのお願いです。

※この記事は全編にわたり仲間由紀恵さんの声で脳内再生してください。

私の感じではちょっと…アレなんで、仲間さんのお力を拝借致したく…平にお願い申し上げます!😹


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🌼花屋の葉子さんと♨️湯けむり夢子にうれしいお知らせが。
読んでくださった方、本当にありがとうございます!




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