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風邪ひいてねんね【リレー企画】

#バトンリレー企画2022  心に残るあのエピソードをあなたへ

🍀

先日、4回目のワクチン接種を受けてきました。
副反応対策で解熱鎮痛剤を飲みましたが、熱は上がり、体中バッキバキになるくらいしんどかったです。
とにかく寝て、この苦痛が通り過ぎるのを待つしかありません。

そんなとき、熱にうなされながら、ぼんやりと夢のように記憶がよみがえってきました。

🍀

私は、よく熱を出す子どもでした。
一ヶ月に一度は風邪で幼稚園を休み、小学校にあがってからも、周りの子達と比べると欠席が多かったと思います。

休んだ日は、お家でダラダラ過ごせるぞ!と朝から昼まで教育テレビを延々観ていました。結局、注意され布団に戻るのですが、そこでも祖母の目を盗んで本を読み、ノートに絵を描いたりして過ごしていました。

疲れてウトウトまどろむと、仰向けで逆さまに見上げた窓の向こうの青空には、透明の微生物のようなものが浮遊しています。
「へんなの…」
面白くて何度も視線を彷徨わせる呑気な子。いま思うと、飛蚊症だったのかな?

やがて本当に眠ってしまい、次に意識が戻った頃には、帰ってきた家族が下の階で夕食の団らん中。
私の部屋は真っ暗。
心細いけど、薬の効き目が切れて起き上がる元気もありません。

やっとお粥とゼリーをお盆に載せた母が上がって来ました。
ピタッと母の柔らかい手がおでこに当てられヒンヤリ。
次に祖父の肉厚な温かい手、祖母の少し固い優しい手、そして父のカサカサしたぎこちない手が私のおでこに触れ、「さっきより熱下がったな」と呟いて去ってゆきます。
ということは、夕食の前にも一度みんな私のところへ様子を見に来てくれていたんだわ…と知るのです。

🍀

時は流れて二十歳を過ぎ、私は人生最愛の命と出会います。子どもではありません。保護した子猫を育て、彼は我が子、我が相棒となりました。

ある冬、大人になってだいぶ丈夫になった私でしたが、インフルエンザに罹ってしまいました。

子どもの頃は何から何まで大人に頼りきりでしたが、病院は自分で運転して行き、ゼリーやポカリを調達して帰りました。

あとは寝て闘うのみ。

熱は上がり、節々が痛くなって体が縮こまります。喉は腫れてうまく唾も飲み込めません。やっと眠れても悪夢で目覚めてしまいます。

そんな一番苦しいとき、猫がふらっと私の様子を見に来ました。いつもはこんな昼間に布団に寝ていないので、おかしいにゃ…と思ったのでしょう。
しばらくじっと、日溜まりのなかで佇んで私を観察していました。小さなホコリが舞う部屋。だんだんと目を細める猫。うつらうつら…。

そのままカーペットのうえで寝るのかと思っていたら、彼はふいっと立ち上がりました。
「◯◯ちゃん、行かないで」
布団から手を伸ばす私。あの心細さが訪れて、目が潤みます。

いつもなら、気の向くままに容赦なく去ってゆく猫。しかし、そのとき彼は頭を低くして、掛け布団を上げろ、と枕元で指示してきました。
腕で布団のトンネルを作ると、猫はのそのそとそこへ入ってきてくれました。

至福の添い寝タイム。

しなやかな毛並みをなでなでしていると、体の痛みも消えてゆくかのよう。猫の寝息は癒しの音楽。腕にのる猫の頭、ピクピク動く耳。確かにそこにある愛しい命に私の心は安らぎます。

いつの間にか眠っていたようで、目が覚めると、すっかり熱は下がっておりました。体の痛みももうありません。

😸我が猫は人間の医術を超えた!

ペットを愛する人々ならば周知のことでありましょうが、このとき、本気でどこかの然るべき学会に論文送ろうかと思いましたもん。

🍀

副反応にうんうんうなされながら、そんな昔の記憶が呼び覚まされたのでした。

いまは私が熱を出しても、ダンナには「平気だよ副反応でしょ」と一蹴され、足裏踏み踏みマッサージを要求されます。

わらわの全体重をかければ、そなたの足の甲の骨など一瞬にして粉々じゃぞ!🔥
そんな妄想しながらやり過ごしましたけどね。


~おしまい~


最後まで読んでいただき、ありがとうございました💖

はじめてのリレー企画参加。

距離は遠くても心は近くに!のイギリス🇬🇧から、Marmaladeさんがバトンを渡してくださいました🎶
お茶目で可愛いMarmaladeさん。彼女の思い出のなかには『アンの青春』を彷彿とさせる寮生活と、テルマエロマエが!

この企画の発信は、チェーンナーさん
いろんな思い出を巡って、懐かしいひとときを過ごせました。ありがとうございました!

さて、次のバトンですが、考えに考え、スタートであるチェーンナーさんへお渡ししたいと思います。
どうか、よろしくお願いいたします✨


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