気まぐれつづり

特に深い意味はないけど、何となく文字を重ねることがしたくなった。

三日坊主協会よりマスター認定を頂戴するほどの私のすることですから、先行きは不明だけれど、小さなボソボソを、小さな輪の中にちょっと置かせてもらえたらしあわせ。

とある柴山で日々『柴刈り(つまりは仕事)』にいそしむ私。

今日。

ある男性が受付にて『作ったんですよー、パスポート』と突如、その方の実父さまが難しい顔でこちらを見ているパスポートを見せてくれた。

おお、◯◯さん!とても真剣な眼差し!しかし、御歳85才、海外渡航経験なしのあなたが、いずこへ?

『インドへ2週間、連れて行ってきますよ!』。

ほーーほーーほーーほーー、インドへ! インドですか、なるほど、ほーー!と、フクロウのようになる私。

自宅から徒歩6分のこの柴山にやってくるのも億劫になり、しばしばこの人を使いに寄越す、あの人がインドへ!

聞けば息子さんは、インドのみならず、秘境を含めた世界各地への豊富な旅体験をお持ちでした。

なかでもインドは、彼にとっての第2のホームタウンとのこと。

柴山お暇タイムなのを良いことに、ほーほーほーほーと芝刈りメンバー一同で鳴きながら聞くインドの話は、うんと温度のある、とれたてピチピチの魚のような、それでいてインドの渦もジワジワと伝わるとても興味深いものでした。

日中50度、夜間でも35度、冷房などない宿で凌ぐ秘訣を伝授しますよ!スリーステップです!バケツの水を、まず1回目は床に撒く!続いて自身に撒き、最後はベッドにぶっかける!こーすると気化熱でヒヤーッと快適!      でもね、3時間で元の木阿弥ですわ、がっはっは!!

たぶん私は一生使わせてもらうことはないだろう秘訣を聞きながら、柴刈りメンバーの胸にはワラワラが湧いていた。こんな思いが。

認知症状と呼ばれるものと共存している◯◯さん。

うちの芝山は、ガチガチの医療山だから、ド◯◯ジ◯飲んで、時間の感覚も曖昧で、食べこぼしで無地シャツに柄が出来ていて、やっとこ現れても、入るなり『ほな、帰らせてもらいまっさー。ありがとございますー』とUターンするような◯◯さんがインドへ🇮🇳!と聞いて、ついつい、上空で非常ドアを『さいならー!』と開けたらどうしよう、とか、日本の薬など一切効かない!と息子が断言するような国で感染症になったら!とか、思い付く限りの、日本の常識による『大丈夫かいな!?』が。

だけど。                                                          

『もうね、とにかく、あっついくらいのとこで、なんでもありにしてやりたくてね』。

息子さんのその一言に、少なくとも私の中からは、そんな『ご心配』は、キレイサッパリ押し流されましたとさ!

そんなもの、ほんとに、この、2人の日々を生きている2人には、余計なお世話だなと思い知ったのです。

どうなるか?なんて、少なくとも柴山で柴刈りして、それを小売りしてるだけの私が心配することなど、ないのだわと。

そして、どーなったって、たとえば、お父さんがほんとに望んだことなのか?とか、わかってて旅に出たのか?とか、そんな糾弾の言葉を耳にしても、ほんとって何だよ、ならあんたにはそのほんとが見えていたってことなのかね、まぁいいけど、それは2人が生きたことで、それ以上でも以下でもないわい、ワシはそう思う、と、そっと私の胸の中で呟いて、ほんの一瞬一瞬でしかなかった、彼らの時間と交差した思い出を取り出して眺めたい。掌の中にくるんで。

バラナシから葉書を出しますよ!とニコニコ笑顔で手を振り去ってく息子さんに、私も、手を振り、行ってらっしゃい‼️と言いました。 

私のワラワラは今ごろ、一足先にガンジス川を流れていることでしょう。さいなら!私の固定観念!

今日もよい収穫あり。しあわせ。


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