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文化ホールのこれからのこと

文化ホールを管理する指定管理者をしている団体は、コロナ禍で、どこも青色吐息の状態だ。わたしたちの団体が請け負っている文化ホールの昨年2021年の貸しホール収入は1億円弱を見込んでいたところ、500万円に満たないもの。年間200日利用率は70%以上の稼働があるホールで、かつては活気に溢れたホールであったが、電気が消え、しいんと静まり返った静寂しかなかった。支出を抑え、持続化給付金、休業を入れながら雇用調整助成金を申請し、内部留保による補填で解雇をせずなんとか1年間を繋いできた。

ホールのスタッフは、それぞれに役割があり、覚えることも多いので、仕事内容を習熟するまでに一定の時間が必要。代替や、雇用調整の効く現場ではなく、彼らを失うことは事業継続に支障がでることを痛いくらいわかっているので、絶対に雇用を守らなければならないと、経営陣や設置者である自治体に近いところにいるわたしが防波堤にならないといけないのだと、最近は、自分を奮い立たせている。

文化庁は長官のポエムと揶揄されてから、積極的に補助金や助成金を用意してきた。ソフト部分では文化庁の補助金、助成金に頼るところが大きいが、ハードとしての管轄は、前述した指定管理者という制度に舵を切ったのは総務省で、この後、各県へコロナショックを受けた指定管理者の状況を順次ヒアリングしていくという。おそらく、ファシリティマネジメントの観点から、大淘汰が始まるのではないかと感じているのだが、ハードの管理者のみに甘んじている文化ホールの先行きは厳しいものになるはずだ。

不要不急のカテゴリにはいる文化芸術が、実はとてつもなく必要なものだと、不穏な期間を経て、感じてくださる方々が増えてきた。世界の流れや、日本の立ち位置、人の営み、人の思い、また人への愛に敏感でないと、必要とされる文化芸術のコンテンツを生み出すことはできないのだと、決意のように思っている。全国の文化ホールを管理するみなさん、潮目は突然に変わるのかもしれませんし、もう少し、ともに頑張ってみませんか。



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