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食べ物が届くまで -事業系食品ロス削減の取り組み-

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食べ物は、たくさんの人の手や工程を経て私たち消費者に届けられています。その工程ごとに様々な理由で発生する食品ロスは「事業系食品ロス」と呼ばれ、消費者が知る機会は少ないと言えます。… もっと読む
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記事一覧

キユーピーに聞く、柔軟な発想と果敢な挑戦で切り拓く食品ロス削減の新境地とは

1919年の創業以来、食品メーカーとして食品ロスの問題に真摯に向き合うキユーピーさん。柔軟なアイデアと他企業との協業により、これまで処分されていた食品残さの再資源化に成功しています。 食品残さ活用に込められた想いとはキユーピーでは、家庭内ストックの賞味期限切れによる廃棄を少しでも削減できるよう、製法や容器包装を改良して開封前賞味期限を延長し、さらに賞味期限の表示を年月表示に切り替えました。また計画的な生産やお取引先との連携で売れ残りによる返品ゼロも実現しています。 このよ

キユーピータマゴに聞く、タマゴのリーディングカンパニーをめざし挑み続ける卵の100%有効活用法とは

キユーピーグループでの卵の使用量は約25万トン、日本で消費される鶏卵の約10%を占め、さらに卵を加工した後に排出される卵殻は約2.8万トンにも上ります。キユーピータマゴは長い年月をかけ、卵の100%有効活用化を実現しています。 卵黄から卵白、卵殻、卵殻膜まで。捨てるところがない卵の本来の姿とはキユーピーでは「食品ロス」という言葉がなかったであろう1919年の創業当初から、マヨネーズに使用する黄身以外の活用に努めてきました。まず、取り組んだのは卵白の活用です。当初は卵白を生の

キリンビールに聞く、提供までに生じるロスを解消する業務用ビールサーバー「TAPPY」とは

2021年4月から全国展開されている、キリンビールの業務用ペットボトルビールサーバー「TAPPY(タッピー)」。カウンターに置けるほどコンパクトで、日常的な交換・洗浄作業も簡単でありながら、交換・洗浄時に生じていた廃棄ビール量の削減も実現しました。TAPPY開発に至った外食産業の変化や課題、そして導入後の反響は、どのようなものだったのでしょう。 外食業界が抱えていた、樽詰めビールの廃棄ロス問題外食産業では今、「1杯目の生ビール」、いわゆる「とりあえず生(ビール)」とオーダー

サラダクラブに聞く、野菜廃棄物ゼロを実現する多様な取り組みとは

1999年、パッケージサラダの販売を開始した「カット野菜」のリーディングカンパニー、サラダクラブさん。食品ロス削減に取り組むキユーピーグループ経営方針に則り、野菜未利用部の活用も積極的に行っています。 野菜廃棄物を活用した循環型農業とはサラダクラブは食品に携わる会社として「野菜を余すところなく使い切りたい」という想いをずっと持っていました。そこで着目したのが、「千切りキャベツ」や「ミックスサラダ」といったパッケージサラダの製造過程で発生するキャベツやレタスの外葉、芯など野菜

キユーピーグループに聞く、食を通じて社会に貢献する。志をひとつに、食品ロス削減へのあくなき挑戦。

キユーピーグループは、家で調理して食べる「内食」、惣菜などを買って食べる「中食」、お店などで食べる「外食」といった食シーンに対応した事業を展開しています。グループ全体の課題として食品ロスの削減・有効活用を掲げ、食品残さ削減、野菜未利用部の有効活用、商品廃棄の削減に取り組まれています。 食資源を決して無駄にしない。キユーピーグループに根付く企業カルチャーとは。 キユーピーグループの食品ロス削減への取り組みを教えてください。 松原さん 創業当初からマヨネーズに使用しない卵白

カンロに聞く、サーキュラーエコノミーを実現する廃棄物の価値創造とは

1912年の創業以来、その時代や消費者のニーズに合わせた「ひとつぶ」を作り続けているカンロさん。近年は他業種との協業でやむを得ず廃棄となってしまうモノたちを生まれ変わらせています。 廃棄される飴を再生する新たな試みとは カンロを代表する商品カンロ飴は、砂糖や水あめを溶かしながら煮詰め、細長いロープ状にした生地をアメ玉の形にカットして作ります。この成形の工程で出る削りかすや、気泡が入ったり欠けがあったりして検品ではじかれて廃棄するものが発生します。そのうち約85%は飼料や肥

コープこうべに聞く、組合員の声を事業を通してカタチにする、継続的な食品ロス削減活動とは

「てまえどり」「フードドライブ」「食品残さ等の有効活用」などの食品ロス対策に、小売業界のなかでもいち早く取り組んできたコープこうべさん。これらの取り組みの多くが組合員からの声がきっかけとなったもので、実験や検討を重ねながら事業を通して、食品ロス問題に継続的に取り組まれています。 今回は、小売の現場で発生する食品ロスとその対策や、組合員の声に耳を傾け様々なことにチャレンジされている様子を取材しました。 小売の現場で発生している食品ロスと、その対策 一般的に、小売の現場で発生

象印マホービンに聞く、ムダを生まない、“ごはん”に寄り添う企業の食品ロス削減への取り組みとは

大阪に本社を構える、象印マホービンさん。炊飯ジャーや電気ポットをはじめとした「調理家電」製品、ガラス・ステンレスマホービンを中心とした「リビング」製品に加え、空気清浄機や加湿器などの「生活家電」製品を手がけています。一方で現在、大阪市内を中心に『象印食堂』『象印銀白弁当』『象印銀白おにぎり』の3つの飲食店ブランドを展開。 外食産業における食品ロスの主な要因とされる「お客様の食べ残し」「調理・仕込みの余剰」「発注ミス」などがある中で、どのような想いをもって、いかに食品ロスの課題