【イタリア滞在記Ⅳ】⑤2023年12月第5週
Vivere est militare.
「僕の武器は...」
2023年12月
25日(月)【あぁ、なんということだろう!】
12/23(土)、OWWの乱で歴史的快挙を成し遂げ、勝利の美コーラに酔ったのち迎えた12/24(日)。アンドレア、ルイージ、グイード、エミリアーノ、僕の5人でラヴェンナ郊外のレストランへ行き、忘年会的なクリスマス・イブの昼食を楽しんだ。
地元へ戻ったのち、アンドレア、ルイージ、僕の3人で中心街を徘徊する。
そして、今日 12/25(月)。静まり返った町の中で奇跡的に一軒だけ開いていたバールでアンドレアと二人朝食をとり、帰りがけに "Gratta e vinci!" を一枚購入した。
この[↑]カードでは、26の15ユーロ、33の15ユーロ、そして、最下段の20ユーロ、計50ユーロの当たり。
「やったな、タダで外食できるじゃん!」と二人で喜び合ったあと、僕の横で十字架を切り、長々と祈りを捧げているアンドレアに、
「毎年勝たせてくれるならキリスト教徒になってやるんだけどな」と言ったら、頭をはたかれた。
Gratta e vinci!
Oh, no, perdinci!
La mia vita è sfatta…
Signor, costinci
la vedi non adatta
a me? Sai, ancor non patta.
Tanka della fortuna
Con un grattino
E un colpo di fortuna
Colpo divino
Finalmente si parte
Siam turisti per sempre!
"Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi" ということで、アンドレアは朝食後 実家に帰り、全プレゼント*の開封を終えた僕は、"クリスマスの一週間後は元旦" ということで、新年、もとい今後の予定を確認しつつ、軌道修正する。結果、『エミリア街道中歌合』の執筆を帰国後に先送り**することに決めたので、二か月後の自分が困らないよう、撮りためた画像の整理をした。
同日夕方、アンドレアが胃の辺りをさすりつつ、「いつも以上に食わされた」と言いながら帰宅。それを無視して、「今日の夕飯なに?」と聞くと、
しばらくして これ[↓]が出てきた。
231225
28日(木)【ベツレヘムの炎が…】
ここ数日、アンドレアと二人で地元のプレゼーペ巡りをしている。昨日 12/27(木)、フォルリンポーポリ(Forlimpopoli) のサント・スピーリト教会(Chiesa di Santo Spirito) を訪れたとき、事件は起こった。
教会内を徘徊していると、スタッフ(?)の女性が僕たちを祭壇の右脇に招き寄せ、言った。
「この灯りはベツレヘムから来たものなんです。どうぞお持ち帰りください」
彼女は、その炎を小さなキャンドルに移してくれた。
ありがたいけど、車にキャンドルランタンとか積んでないし、どうすんだよ、これ...と思いつつ、アンドレアの横顔を見上げると、ろうそくを見つめるその目は炎よりもキラキラと輝いていた。
そんなわけで、火のついたろうそくを家へ持ち帰ることに。
スタッフの女性は、
「消えてしまっても一度火を移したろうそくに点けなおせば、ベツレヘムの灯りだということに変わりはありません」と言っていたが、アンドレアは小さなキャンドルの火を別の小さなキャンドルへ移し、一方を僕に持たせる。
教会を出ると、やつは、
「この火を消さずに家まで持ち帰ることができれば、俺たちは金持ちになれる!」と叫んだ。
なるほど、そういうルールなのか... と思いつつ、風に揺れる炎を何とか消さずに駐車場に停めた車に乗り込むと、溶けたろうがたまってきたキャンドルへそれぞれ視線を落とした。
フォルリンポーポリから自宅まで、そう遠くないけれど、近いというわけでもない。
「家まで片手で運転できるかな」と、アンドレアが炎を見つめたまま言う。
「できねぇだろ」
「ダッシュボードの上に置く...」
「そんなことしたらフロントガラスが痛むし、それ以前に、確実に滑って落ちてくると思う。僕たちが着てるダウンジャケットの素材を考えろ。火がついたら一気に燃え上がるぞ」
「じゃあ君が二つ手に持つしかないね」
「...できるだけ早く、できるだけ揺らさずに運転しろよ」
こうして、僕が二つの小さなキャンドルを両手に持ち、教会を後にした。
道中、
「バカ、車揺らすなって言ってんだろ! ろうが、あっっっつ...って、あ、なんだ、意外と大したことない...」
「そう、溶けたろうは触ってもそこまで熱くないんだよ。俺は子供の頃、ろうを自分の体に垂らして遊んでいたんだ」
「...えっ?」
「でも、そのうち金属の外枠が持っていられないくらい熱くなるよ」
「だったら無駄話してないで急げよ」
「大丈夫。今から地獄の炎に焼かれる練習をしておけば、きっと将来役に立つから」
「そういうのいいから急げって言ってんの!」
...というやり取りをしつつ、帰宅。
Fiamma Betlemme
Tremola lemme lemme.
Le mïe gemme
le illumina con flemme
fino a Gerusalemme.
Tanka fiamma Betlemme
Bella fiammella
Ha fatto tanta strada
Luce divina
Illumina la via
Ora l'ho fatta mia
しばらく炎を見つめたのち、アンドレアが、
「プレゼーペ巡りの続きをしよう」と言い、キャンドルを消さずに出かけようとした。
「火の点いたろうそくを家に置いたまま留守にできるわけねぇだろ。出かけるなら消す」と、僕がキャンドルランタンを開けると、やつは、
「ベツレヘムから来た火なのに!」と駄々をこねる。
「普段あんなにうるさく『火の元に注意しろ』って僕に言うくせに... 火事になったら金持ちになるどころか全部失うし、同じアパートに住んでる人が焼け死んだりしたらどうするつもりなんだよ」と言うと、彼は寂しそうに、
「分かった。消すよ」と言った。
「教会の人が "点け直した火もベツレヘムの火と同じ" って言ってただろ」とアンドレアを慰めつつ、市役所のプレゼーペを見に行く。
231228
28日(木)・30日(土)【白いコート】
12/28(木)
アンドレアと、その友人マッティーア(←アンドレアと同い年なのに腹が出てない。背は高くないけど)は、土地の購入を考えている。この日、彼らと一緒に、その候補地をいくつか見て回った。
今回は残念ながら、というか、幸い購入には至らず、プレダッピオ・アルタ(Predappio Alta) のレストラン*で昼食をとり、地元へ帰ることになった。
ちなみに、プレダッピオ・アルタより低い場所に位置するプレダッピオ(Predappio) は、かの有名なベニート・ムッソリーニが生まれた町だ。生家や墓などの観光地(?)があり、特に墓には、現代の人々が彼にしたためたメッセージが掲示されていて、それらを読むのはとても興味深い。世の中には色々な考え方があるんだなぁ...と実感することができるからだ。
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12/30(土)
午前8時半、ドン・ミケランジェロに今年最後の挨拶をするため、朝食がてらチェゼーナのサンタ・マリア・デル・モンテ教会へ車で出かけた。
混雑したバール "Fagioli" にて、
「このピザ、温めてください」
「もう温めてあります」
「これ、中に何も入っていないフランス風のコルネットですよね?」
「はい」
「こっちはハチミツ入りの全粒粉コルネット?」
「ええ、そうです」
...というやり取りののち注文し、車に戻って受け取った包みを開けてみたら、常温のピザと、クリーム入りのイタリア風コルネットと、ハチミツの入っていない全粒粉コルネットが出てきた。
まあ、年末だからしかたがない(?) 希望した品物ではなかったけれど、美味しくいただいた。
朝食後、サンタ・マリア・デル・モンテ教会[↓]へ。
ドン・ミケランジェロに挨拶をしたあと、プレゼーペを見に行った。
そして、断罪(?)のとき...
教会からの帰り道、ショッピングモールへ寄り、僕は白いコートとブラックチェック(白と黒)のパーカー、アンドレアはデニムのパンツ2本(濃い紺色と薄い紺色)を購入。
午後、やつは用事があると言って女の子のところへ出かけ、僕は自室で本を読んだり日記をまとめたりした。
夕方、アンドレアと家で合流し、車に乗り込み地元のレストランへ。現地で彼の仕事関係の人を含む8名と落ち合い、総勢10名で夕食をとった。僕はもともと社交的ではない上に猫を被らなけらばならなかったので、すげぇ疲れた。
明日は友達4人で大晦日の cenone、そして、年越しをする予定。気楽に過ごせそうで良かった...けど、夜中の12時前に寝てしまったり、打ち上げ花火を怖がったりしたらからかわれるだろうから、それだけ気をつけよう...
もうすぐ2023年が終わり、新しい年が始まる。
Cappotto bianco,
colore d’anno nuovo.
Starò al tuo fianco
Quando un anno esce da uovo.
Felicità, la provo.
Tanka capodanno
Fine dell'anno
Duemilaventitré
Fine del mondo 🌏
Sarà quel che sarà
Io e te in eternità
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