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ジャケット考 その1

ジャケ買いは、いわば音楽ファンの醍醐味だった。
好きな音楽の、好きなアルバムはたくさんあるけれど
ただ、この一枚、というとなかなか出てこない。

そんな醍醐味を、ダラダラと語りはじめると
それはそれでキリがない。
せっかくの醍醐味が大ゴミになってはつまらない。

春なので、春にちなんだ一枚はと思い巡らせて、
真っ先に、はっぴいえんど「風街ろまん」かな、
と勝手に思い浮かべている。
日本ロックの金字塔、であることは言うまでもない。
4人の顔ジャケのインパクトが忘れられない。

ただ、それは2ndアルバムであり、
ファーストのほうは通称「ゆでめん」
黄色と赤の2色のジャケットにはっぴいえんどの札の白抜き。
凄いとか、かっこいい、と言うか
そう大袈裟に言う次元ではないが、時代を反映した
味のあるコラージュジャケットで、音楽同様、50年前のものだが
一向に色あせない輝きを放っている大好きな一枚。

アートディレクション&ライナーデザインが矢吹申彦。
ジャケットデザイン&イラストレーションには美人画の第一人者林静一
そして写真はこの人しかいないマイク野上こと野上眞宏。

個人的にも、二色刷りや、ダブルトーンと言った
色数の少ない印刷手法に
職人肌のこだわりを感じ、好きなのだが、
時代の空気と音楽というものの情感が、今更ながら、
ぴったり寄り添った歴史的名盤だと思っている。
裏面には野上氏による
メンバーたちの当時のレコーディング風景やステージ写真が
うまく散りばめられていて、これまた味がある。
このアナログ感がたまらない。

斬新なデザインや目を惹くものはいくらでもあるが、
こういうノリは、音楽同様、簡単には出せない。
はっぴいえんどは3枚のアルバムをリリースしているが
それぞれに味があって面白いが、
ことデザイン、印刷の視点で眺めていると、
ファーストの「ゆでめん」が良いかな、って思っている。
音楽的には『風街ろまん』の方かな。
そんなことをいかにもテキトーに書いている。

ちなみに、モノクロの写真に深みを持たせるために
PHOTOSHOPなんかでダブルトーン加工するだけでも
雰囲気が変わって情感が増すのだな。


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